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ミンミン蝉は夜鳴きはしない、アブラ蝉は夜に狂い鳴く。
目を醒ましたら、どこかしこから聞こえてくるのはミンミン蝉の鳴き声だった。
ミンミン蝉……カメムシ目、ヨコバイ亜目、蝉科に分類される33〜36mmの幅が狭く頭部と太くて短い腹部をもち、太くて短い卵型の体型をした蝉である。
ミンミン蝉の鳴き声で目が醒めたのか?
それとも怪奇怪奇、奇々怪々な夢物語のせいか?
未来翔は、自分の部屋のこれまた自分のベッドの上で、暫くミンミン蝉の鳴き声をお経を聴くかの如く、聴き入り余韻に浸る―――。
そぅ、夢を見ていたのだ。気付いたら25歳の誕生日を迎えた辺りからこの摩訶不思議な不可思議現象が続いている。
そして、その夢に決まって出てくる人物は、いつも決まって未来翔に色々と問い掛けてくるのだった。