4,本気?冗談?
『もう一度、やり直さない?』
「・・・えっと・・宮田・・先輩?」
『いや、だから・・・もう一度、俺とやり直さない?ってことなんだけど』
----高校入ったら、会えなくなるし、別れよう。
5年前に一方的に言われたこと。
別にどっかに引っ越すとかじゃないし、会おうと思ったら会えたハズなのに。
先輩は一方的に【別れる】と言った。
中学卒業するまでの2年間、あたしがどんな気持ちでいたのか知らないくせに。
高校に入ってから、ようやく気持ちの切り替えができた。
新しい彼氏もできた。
『勝手なこと言ってるのはわかってる』
『杏菜のこと、傷つけたのもわかってる』
わかってるなら、どうして今さら・・・。
そう言葉にしたくてもできない。
頭の中が真っ白になる。
『言い訳でしかないけど、俺なりに反省してるし、それに・・・』
そこで言葉が途切れて、フワっと抱きしめられた。
なななな、何!?
何で抱きしめられちゃってるの!?
意味不明。
『俺は5年間、杏菜のことを忘れられなかった』
「・・・・・・・嘘だ」
たかが中学生の頃のおままごとみたいな恋愛で(あたしは運命とか思ったけど)、そんなことあるわけないじゃん。
あたしなんて、ホント平凡なんだし。
『嘘って・・・。嘘じゃねえし。マジで後悔した』
あたしは、運命の人だって信じてて。
それなのに一方的に別れを告げられて。
こんな奴いなくても一人で生きていけると思ったところなのに。
なのに・・・。
いきなり現れて。
やり直そうとか言われても・・・意味わかんない。
本気?それとも冗談?
「・・・あたしはっっ!!そんなこと・・いきなり、言われても・・・」
先輩の体を押しのけて、少し距離を置く。
「信じられないよ」