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1,至上最悪の再会

ちょっと待って・・・。


一度、落ち着け・・・。


あたしはもう一度大きく深呼吸をした。

そして、改めて目の前に立っている人物を見る。



最後に見たのは5年前。

あたしたち2人ともまだ中学生だった。

今よりもずっと幼い顔立ち。お互い背も小さくて、セーラー服と学ラン。



だけど。

今、目の前にいる人物は・・・。



あたしが背伸びしたって頭に届かないくらい背が高く。

何を食べてるのか知らないけど、うらやましいくらい細くて。

暗くてもわかるくらい明るい茶色の短髪で。

あの頃は自転車だったのにいつ取ったんだか知らない、大きなバイクに乗ってて。

洒落っ気出たのかシルバーのネックレスをしていて。



・・・・・正直、かっこいいって思う。



って違う!!何でっっこいつがあたしの家の前にいるわけ??


あたしたちは5年前に終わっている関係のハズ。





あたし、藤崎杏菜ふじさきあんなは、徒歩15分くらいで通える公立高校の3年生。

夏休み前の今は、受験勉強に本腰入れなければいけない時期。

とくに取り柄もなく、どこにでもいる普通の女子高生。

背の高さとか体重とか、成績とか、どれも標準で目立つこともない。

唯一得意なのは英語で、大学は都内の女子大学で英文科を目指している。





『こんな夜中にそんな格好で外出たら危ないよ?』



クスクス笑いながら、上から下までを眺められる。


そんな格好--今のあたしは、ハーフ丈のジャージにTシャツ、スッピンの眼鏡姿。



「なっっっ!!!変態っっ!!!」



夜だということを忘れて、つい大声を上げてしまった、あたしの口をその男は慌てて両手で塞ぐ。



『大声出すなって!!本当に変態だって思われるだろうが!』

『・・・あのさぁ、ちょっとだけつき合ってよ』



「・・・・はぁ??」


『ほら、いいから早く来い』


そう言いながらバイクのヘルメットを被せられ、乗せられた。




彼、宮田和人みやたかずとは2つ上で今年20歳になる。

大学生なのか、社会人なのか、フリーターなのかはわからないけど。

風貌からしておそらく、社会人ではないだろう、と思う。

まさか・・・ホスト!?って、こんな時間にここにいるわけないか。


この今の生活が謎な男は、あたしが中1のときにつき合ってた人。

同じバスケ部の先輩で、仮入部のときに一目惚れをしてしまい、猛アプローチの結果、夏の大会前につき合うことになった。

部活を引退した後、受験で忙しい彼を部活の合間をぬって、応援していた。


あたしにとって、子供ながらに『運命』だと信じていつも一緒にいた。

大好きで、大好きすぎて、毎日が楽しかった。


けど。


彼が卒業する日、突然フラれた。



『もう遊びは終わりにしよう』



子供だけど真剣に恋していたあたしにとって、この発言は衝撃だった。

彼にとってあたしは中学最後の半年間だけ遊びでつき合ってた存在だったのだ。



そんな最悪な彼氏と別れ、5年がたった。

しばらくは彼のことが忘れられずにいたけど、高校に入る頃には吹っ切れて、新たな彼氏もできた。

まぁ、その彼氏とも数ヶ月前に別れたんだけど。





あたしたちを乗せたバイクはキラキラと明かりに照らされた道を颯爽と走っていく。


ってか、今更、何なのよっ。

しかも、どこ向かってるわけ??

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