閑話 奏視点
「奏、これからご近所さんが挨拶に来るよ。奏と同い年の子もいるんだって。」
何気ない日常に何気ない母の言葉だった。気にも止めず窓から流れる雲を眺めていた。保育園に行けば同い年の子は沢山いたし近所といわれてもピンと来ない。しばらくして家のインターホンが鳴る。インターホンに出た母親が今度は玄関で何やら話してる。長い。さっき言っていたご近所さんかなと思っていたら自分の名前が呼ばれる。
玄関まで行くと、自分の両親ぐらいの歳の夫婦と女の子の3人で立っていた。いや、4人か。もう1人の女の子は母親らしき人の後ろで見え隠れしている。
「こんにちは。」
たったこれだけ。だって他に話すことなんて何もないから。痺れを切らした母が奏の名前や歳などを紹介する。すると前に立っていたピンクの女の子が自分の名前を名乗った。
「桃花です。よろしくね。」
にっこり笑い奏の手を握ってブンブン振った。ちょっとだけ躊躇った。保育園にいる女の子も自分のテリトリーにズカズカ入ってきて私を褒めてという顔をする。要するにぶりっ子だ。大抵こういうお姫様体質な女の子は面倒くさい。すると母親らしき人がもう1人の方を前に出し挨拶しなさいと促した。
「柚葉です。よろしくお願いします。」
水色の女の子はいい終えたと同時にまた母親らしき人の後ろへ隠れた。正直、奏には2人の女の子の見分けがつかなかった。ただピンクの女の子と水色の女の子という認識でしかない。
家族は再び挨拶を終えると失礼しますと言って自宅を後にする。見送りに玄関からアプローチに出てみて、びっくりしてしまった。それもそのはず家族が帰っていった家は自宅の真正面だったから。母に確認すると、あら言ってなかったっけとあっけらかんな返答が返ってきた。
自宅の前に住むのかと思うとなんだかあの双子が気になっていた。




