第十四話 柚葉視点
16歳秋 修学旅行
柚葉の水泳部に嬉しい知らせが届いた。茜先輩が某有名大学のスポーツ推薦を勝ち取った。今年のインターハイで好タイムを叩き出した結果だった。
茜先輩が目標に向かって邁進している。柚葉も嬉しくなった。
柚葉は修学旅行に来ていた。旅行先は沖縄で柚葉は初めてきた場所だった。行動を共にする班はキラリちゃんと晴人くんが一緒になった。飛行機はキラリちゃんと隣の席だった。キラリちゃんは何故かランドセルを一回り大きくしたリュックを背負ってた。何が入っているのかな。
沖縄に着くと各クラスがバスで移動してパイナップル農園に着いた。一通り説明を聞いて、各々が各自レポートの為に園のなかを散策しながら調べる。柚葉が何から始めようか考えていると、キラリちゃんが手を引っ張って連れて行く。
農園を出たところにコバルトブルーの海が広がっていた。わぁ、すごい。柚葉は海の色に感動した。
海が太陽の光を反射してキラキラ光る。水光が柚葉の目に入る。あの時の病室を柚葉は思い出した。奏にネックレスをもらった時だ。私どうしてあんな事してしまったんだろう、柚葉は物凄く後悔した。
浜辺を見ながら心が沈んでしまった柚葉の耳に歌が聞こえる。柚葉が振り向くと、歌を唄っていたのはキラリちゃんだった。キラリちゃんはアコーディオンを弾きながら誰も知らない洋楽を唄っている。柚葉のこころにその歌が沁み渡る。
ありがとう、キラリちゃん。
キラリちゃんの即興路上ライブは島の人々も惹きつけた。皆んなが歌を聴き、島の人が指笛を吹き出した。音楽ってこんなに楽しかったっけ。柚葉は静かに笑った。
路上ライブをしていると、晴人くんが山盛りのカットパインが入った皿を両手に持ってやって来た。
「柚葉ー!試食出来るって。ほら、持って来たぜ。」
晴人くん、こんなに沢山のパインは食べられません。柚葉が断ろうとした時、晴人くんの後から班の子たちが走ってきた。
「晴人!それ俺らの分だろっ!」
結局、私とキラリちゃんはパインを2口食べて、男子達がモリモリと完食してしまった。海に入りたいと誰かが言った。班のみんなが入ろうと賛成する。みんなちょっと待って。私たちだけ修学旅行から逸脱してるよ。
柚葉がオロオロしてるとフワッと体が浮いた。晴人くんが柚葉を抱っこしたのだ。下ろして〜!
結局、柚葉の班は皆んなで怒られた。勝手に海に入った事と路上ライブを行った事が理由だ。
ホテルに着いて、一息着いた。
それから女子の皆んなで夜ごはんを食べて、お風呂に入った。柚葉にとって早く過ぎた1日だったけど、とても内容の濃い1日だった。
コンコン。窓から音がして開けてみると、外には晴人くんが立っていた。どうしたの?柚葉が聞くと晴人くんがシィと口に人差指を立てて柚葉を連れ出した。
ホテルの目の前は海だ。浜辺を晴人くんと歩いた。星空が凄く綺麗。ここに来てよかった。柚葉が満天の星空を見上げていると晴人くんが何やらモゴモゴし出した。あの…とか、その……とか言い出しまた口籠る。そして意を決して。
「栗原柚葉さん!好きです!一目惚れです!
付き合って下さい!」




