第七話 柚葉視点
15歳3月1日 誕生日パーティー
足の手術が無事終わり、後日、柚葉は車イスに乗ることを許された。すると両親から柚葉の誕生日パーティーをしようと提案された。療養中は常に暇だった柚葉は快諾した。
遅れてしまったけど誕生日パーティーが柚葉の病室で開かれた。最初に入室したのは両親だった。ケーキを5つ持って。ケーキは病院から許可してもらったのかなと思い、柚葉はクスッと笑う。
次に入室したのは桃花と奏だった。桃花は奏の腕に寄り添って柚葉の前に立った。柚葉は桃花の首からぶら下がるピンクのハートのネックレスをチラリと見て、気付かないフリをした。
応接セットのソファに両親が並んで座り、両親と向かい合うソファには桃花と奏が並んで座った。柚葉はその4人の横に車イスを着けた。
ショートケーキが配られ、柚葉は奏からプレゼントを渡された。
「……ありがとうございます。」
柚葉は少し躊躇った後、プレゼントを受け取った。
一瞬、奏は悲しそうな顔を柚葉に向けた。柚葉はプレゼントを開けずに車イスでベッドまで行くと、サイドテーブルにソレを置いた。再び戻り、ケーキのイチゴを口にした柚葉は、とんでもない話を父親から聞かされる。
「なぁ柚葉。桃花と同じ高校へ通わないか?」
お父さんが言うには、桃花の行く高校に事情を説明したところ、柚葉の内申を鑑みて特待生として迎えるという話だった。柚葉に桃花の高校の願書が手渡された。
これ以上何も考えられなくなった柚葉は、会話にも入らず、ずっと窓の外を見つめていた。
気を使った両親が、疲れちゃたのかしらと言って、その日は早めにお開きになった。
病室に1人になった柚葉は、桃花の行く高校の願書をゴミ箱へ捨てた。
そして奏からもらったプレゼントを手に取った。銀色の包装紙に青いリボンがされている。柚葉は丁寧にその包装を開いて箱を取り出した。ゆっくり箱を開けると、水色に輝く雪の結晶が目に飛び込んできた。
ネックレスを手に取って上に掲げてみる。窓から差し込む太陽光で石は更に光り輝き柚葉の病室を水色に染め上げた。柚葉は泣きながら笑顔で
「……やっぱり水色だったね。」
そう言いながら柚葉は項垂れた。腕を下ろした際に手からネックレスが滑り落ちた。
先程捨てた桃花の高校の願書と一緒にカシャンと音をたててゴミ箱の中に吸い込まれていった。
柚葉は拾う気力もなく、病院の指定されたカウンセリングルームへと向かった。
……数分後。
カラカラ。静かに柚葉の病室の扉が開いた。
入ってきたのは奏だった。
奏は柚葉に気持ちを伝えるために戻ってきた。
でも柚葉はいない。
あるところに目が留まった。
ゴミ箱に。
奏はゴミ箱の中を覗いた。
光るもの。
見覚えがあるはずだ。
どうしてコレがココに。
奏はそっとネックレスを自分のポケットに入れると、柚葉の病室を後にした。




