第四章:目覚め
白い天井の下で目覚めた崇史。失われた記憶の断片と、脳裏に響く謎の声。
2032年6月24日、木曜日、昼過ぎ。
崇史の意識が次に目覚めた時、彼の視界に飛び込んできたのは、見慣れない白い天井だった。
消毒液の匂いが鼻を刺激する。
点滴のチューブが腕に繋がり、全身は鉛のように重く、頭には激しい痛みが走っている。
「……っ」
かすかに唸り声を漏らすと、すぐに看護師が駆け寄ってきた。
「気がつかれましたか! 警察の方をお呼びしますね」
(警察? 何を言っているんだ…?)
頭の中が霧がかかったようにぼんやりしている。
昨夜の出来事、家族、あの惨状。
強烈な悲しみと、言いようのない喪失感だけが胸に渦巻く。しかし、具体的な記憶は、まるで悪夢を見た後のように曖昧模糊としている。
何か、とても重要なことを聞いた気がする。
しかし、それはまるで霧の中に隠された真実のように、指の隙間から零れ落ちていく。
ただ、深い絶望と、言いようのない喪失感が胸に残っていた。
そして、遠い残響のように、あの声が聞こえる。
「――お前には、もう一度……その時が来ればわかる――これが最後の……」
まるで夢の中の声のような響きが、彼の意識の奥底でこだましていた。
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