表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/81

第四十章:解けない問い

包囲された公園、静かな夜。崇史は、敵の不可解な執着の理由を考察する。目的はβグリッドか、それとも…。

 2032年8月7日、土曜日。午前1時30分ごろ。

崇史は、中央公園の比較的開けた場所のベンチに腰を下ろした。

かすかに**『クロノスタシス』**を感じる。弱い。だが、途切れることなく持続している。

(俺の正確な位置は掴めていないが、この公園を包囲している、か)

この辺りには、都合よく監視カメラもない。追手は、公園の出入り口を固めているに違いなかった。

ベンチに深く座ると、どっと眠気が襲ってきた。慣れない状況に、身体と心が全くついてきていない。能力のおかげか、感情が鈍くなっているおかげで、何とか精神が保たれている気がした。普通の自分なら、とっくに壊れていただろう。


そこで、崇史の思考に、一つの解せない疑問が浮かび上がった。

(俺は今日、二度も奴らの前で、この力を使った。特に、バーでの出来事は、監視カメラにはっきりと映っているはずだ。俺の動きは、普通ではとても理解できないし、理解したとしたら勝ち目が無いことがわかるはずだ。それなのに、なぜ、まだ執拗に追ってくる?)


思考を巡らせるうち、一つの可能性に行き当たった。

(…βグリッドか。川越が持ち出した、あのデータ。あれを起動するためのパスワードが、奴らの目的…?)

その仮説は、全ての辻褄が合うように思えた。だが、すぐに新たな矛盾に突き当たる。

(いや、待て。そのためには、奴らは俺が『久我 崇史』だと分かっていなければならない。だが、今の俺は顔を隠している…)

崇史の思考が、可能性を模索する。

(…ひょっとしたら、AIによる画像解析で、骨格などから特定された、という可能性もあるのか?だとしても…)

(たとえ俺の正体がバレていて、パスワードが目的だとしても、なぜ勝ち目のない戦闘を仕掛けてくる?もっと別のやり方があるはずだ。分からない。今は、考えても答えは出ないだろう。)

(…もう少し、眠ろう)

崇史は目を閉じ、ベンチの背もたれに体を預けた。

夜の公園は、静かだった。ただ、耳元で、虫の羽音だけが、やけに大きく響いていた。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます!

今回の話はいかがでしたでしょうか?

もし「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、

ぜひページ下の☆☆☆での評価や、ブックマーク登録をしていただけると、

めちゃくちゃ執筆の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ