原始世界の漂流者
目が覚めた瞬間、違和感が全身を包み込んだ。
潮の香りが鼻をつき、波の音が耳に響く。照りつける太陽が肌を焼き、目を開けば、見たこともない風景が広がっていた。
「ここ……どこだ?」
砂浜の上に倒れていた俺は、重い体を起こしながら辺りを見回す。そこには、青々と生い茂る密林と、見たこともない奇妙な鳥が飛び交う空。
しかし、最も異様だったのは――沖に見える巨大な影だった。
初めは岩かと思った。しかし、それがゆっくりと動き出したとき、俺は全身の血が凍るのを感じた。
それは、恐竜に似た巨大な爬虫類。
「……嘘だろ?」
そんな生き物、現代には存在しないはずだ。だが、目の前にいる。
混乱しながらも、ふと脳裏をよぎる考え。
まさか……これは夢か? それとも……。
俺は足元の砂を握りしめた。温かく、しっとりとした感触が指の間に広がる。これは夢じゃない。現実だ。
この世界は――俺の知る時代じゃない。