ステージ3・女神様の手厚過ぎるサポート
ノエリア様から生み出された、純白の大型リボルバー。十字をあしらった装飾がなされている。カッケェ。
「これが私の武器です。メインはこちらと、この剣ですね」
足元にその銃を向けて、引き金を引いた。地面に魔法陣が描かれて輝いた。その魔法陣の外周に、ずらりと剣が並んだ。総数16。鍔も柄もない、手で持って使う事は間違いなく考えていない。
その剣は、まるで意志を持つかの如く浮かび上がり、ノエリア様の背後に翼の如く整列した。
「術式制銃ヴォルバ・ヴェルクと、術式統合自立剣プロヴィエアルです。どうですか?」
ノエリア様のドヤ顔が可愛い。嫁にしたい。
「いやー、オタクとしては厨二心くすぐる素晴らしい出立ち。最高です」
「女神様、今の…ヴォルバヴェルク、でしたか。私達みたいなプロセスで出してましたけど…」
「私は元々は、貴女方と同じ勇者だったんです。勇者を補佐する神は、定期的に資格を有した人物と代替わりして、神の力を引き継いでいくんです。この場合の資格者は勇者の方々ですね」
つまりノエリア様は元は人間だったのか。
「ちなみに、地上でも似た様な武器の生成プロセスはありますから、この力を隠す必要はありません。というより、勇者の力を模倣しようとした物が流通してる、って感じなんです」
「なら大っぴらに剣を出しても問題無いんだなぁ。良かった良かった」
「次に、補助用の武具をお渡ししますね。遠距離用の武具を生成した人には近距離用。近距離系の武具を出した人には遠距離用の武具が有ります」
至れり尽くせりィ!めちゃくちゃ支援手厚く無いこれ。ありがたいわ。
「星也さんには…こちらの、私のヴォルバヴェルクのコピータイプを。弾丸を共有出来るので楽なんですよー」
消耗品の規格を統一出来るのは良い事だ。無駄に数を持たなくて済むし。
「千雨ちゃんは…どうしようかな?近接武器ははいっぱい種類があるけど。希望はある?」
「そう、ですね…なら、片手で使える剣を。杖なら左手に持っても問題ありませんし」
「ならこっちの斬撃を飛ばせる剣なんかどうかな。回転させれば斬撃が滞留して防御壁も作れる優れ物だよ!」
「なるほど。いいですね」
軽く振って具合を試す永夜サン。結構遠くまで斬撃が飛んだ…待ってそれ地味に俺のより強くない?斬るしか能がない俺の固有武器ィ!
「それでは、次は防具で、術式を仕込んだ衣服です。仕込んだ術式そのものが破壊されない限り、汚れは勝手に落ちるし傷も直ります。魔力を込めれば簡易の防壁を張れるので、咄嗟の防御も問題無しです!」
またスッゲーモンをお出しされた。勇者って大概力や能力を与えられて終わりだと思ってたからこの手厚さは素晴らしく感じる。ノエリア様のドヤ顔も納得である。
結果、俺は普通の会社員みたいなスーツに近い奴を選んだ。素材は大分違い、スーツなのは見た目だけでめちゃくちゃ動きやすい。多分、術式とやらの補助が効いているんだろう。
それに、更に強固な防御術式を仕込んだ手袋を添えた装備になった。
永夜サンはパーカーみたいな上着に膝位のスカート、白ニーハイ…と言った装備。ブーツの先端にもナイフが仕込んであったり、スカートの下にはハンドガンを仕込んだり…様々な場所に武器を仕込む暗殺者系女子。怖い。
「そして、私も同行しますから…こんな感じですかね?」
ノエリア様を光が一瞬包むと、服装が変わっていた。女神然とした白いドレスから打って変わり、カジュアルな服装になっている。白い服の上に青のジャケット。ミニスカートに黒のニーハイ、青のブーツに太腿にはサブウェポンのハンドガン。絶対領域が素晴らしい。
「それでは。最後にお二人に授けるのは…知識です。この世界固有の魔法、すなわち術式に関する知識をお二人に伝授します」