39、装甲車にとびひざげり
思いつく限りのいちばんの美少女をさんざん追いかけまわして、やっと捕まえたのに、世界中で戦争が始まって、彼女を奪いに軍隊がやってきて、戦わなければいけなくて、約束もできないままに離れ離れになって、軍隊に入隊して、快進撃して、外国の軍隊を蹴散らして、国内の敵対勢力をぶちのめして、必死に彼女を探していたら、別の女の子が見つかって、その女の子が彼女のことを知っているといって、一緒に壁をぶっ壊して、自分が幻の中にいないか確認して、外国の軍隊はしつこくて、むかし不合格だった勇気を試す試験をすっぽかしたままで、がんがん敵をやっつけて彼女に追いついて、「会いたかった」「あたしも」と会話して、彼女に聞くと、人生とはずっと戦場で番いを探して戦いつづけるもので、それまでの人生で聞かされていた平穏な人生なんて嘘っぱちで、実は育ての親もみんな偽物の親で、我が民族は生き残るために戦場で戦いつづけているのであって、世界中から番いを奪う兵士やスパイが押し寄せてきて、それと戦いつづけ、戦いつづけるのが人生で、会社なんて本当はどこにもなくて、民族を守るための軍隊しかなくて、おれと彼女は見つけたり見失ったりの追いかけっこをくり返して、敵と戦いつづけて、一ヵ月がたち、一緒に食事をして、その後すぐに戦場でマシンガンを撃ち合って、敵のいうことは嘘しかなくて、味方の会話は暗号ばかりで、嘘しかなくて、嘘しかなくて、嘘しかなくて、それが戦争で、信じられるものなんてなかなか見つからなくて、せめて彼女の真剣な顔だけは覚えていたくて、外国が攻めてきて、我が国は無事かわからなくて、戦いつづけて、戦いつづけて、医者より治療がうまくなってきて、一年がたち、メモ用紙に日付を書いて記憶して、カレンダーが貴重品で、時間感覚も日付感覚も曜日感覚もムチャクチャで、たまに美味しいものを食べて、そんな時に彼女はそばにいなくて、戦場でプレゼントを探して、芸術家魂は戦場に必要だと喧嘩して、彼女を探して軍隊を襲撃して、反撃がすごくて、予想以上の攻撃に味方が崩れて、意地で押し返していると隣で仲間が泣いていて、廃屋で秘密基地づくりに夢中になり、彼女を連れて来ておれの戦場オブジェを披露して、記念に一緒に眠って、戦場で男と女を引き離す工作をずっとやってて、それと戦いつづけるのが人生で、彼女とまた引き離されて、ドローンとか飛ばして、戦車にマシンガンで勝負を挑んで、勝って、かわいい女の子をほんの一瞬だけ大量に見かけて、夢か幻かあれが司令部か、と頭の中がこんがらがって、彼女にたどりついて、二年がたち、彼女が出産して、遺伝子検査したら本当におれの子で、息子を偽物の町に置き去りにして、また、彼女を探して戦場で戦いつづけて、人類は絶滅するまで戦争をつづけるという噂を聞いて、ひとりじゃ止められなくて、戦争に反対したら彼女と喧嘩して、なぜか意見が合わなくて、すごくショックで、落ち込んで、罪悪感にかられて、それでも、敵が次々と攻めてくるからドローンとか飛ばして、新作の戦場オブジェを製作して、彼女と遊んでいたら、敵が攻めてきて、押し返すために戦って、狙撃兵に注意して、宇宙からレーザーで撃たれて、怒りのロケット砲で軌道衛星を撃ち落として、彼女と食事して、三年がたち、彼女の強姦履歴を質問したら、すごく少なくて、戦場で戦って戦って戦って、かつて見た幻の女の子の大群に思いをつのらせて、知り合った女の子に裸の写真だけもらって、女の子の裸の写真を賭ける賭場にでかけ、「イカサマ上等」って看板にビビり、女の写真が二枚になって帰ってきて、彼女に見せびらかしたら、「男の写真もあるんだよ」といわれ、おれの裸の写真をプレゼントして、戦場に行ってマシンガンを撃ちっぱなし、敵味方の名前のデータがシャフルされる事件に会い、戦って、戦って、戦って、四年がたち、二人目の子供が生まれて、今度は女の子で、娘を偽物の町に置き去りにして、あと、十年は戦う覚悟を決めた。




