21、すれちがいと世界
宇宙はすれちがいでできている。
陽子と電子はすれちがうことで原子になる。
星は、めったに衝突することなく、すれちがいつづける。
文化は、人のすれちがいを表現するもので、政治は、人のすれちがいの調整をする仕事だ。
すべてはひとつには集まらない。すれちがいによって分散する。
二十一世紀の政治家が人のすれちがいを調整しようとして、人と人の遠ざかりと、人と人の接近と、人と人の衝突に干渉した。
一か月、すれちがって衝突する二人。
一年間、すれちがって衝突する二人。
十二年間、すれちがって衝突する二人。
人と人の衝突を政治家が調整した。
小学校の知り合いが、十二年後に衝突する。それで人は幸せになれる。
遠ざかり、接近、衝突。
それらを引き起こすすれちがいの度合い。
それですべてが理解できるかもしれない。
結婚した男女がその後ですれちがい、喜びと悲しみを体験する。
結婚した男女の遠ざかり、接近、衝突。
お互いに目的は異なっていて、進む方向がちがい、どうしてもすれちがう。
世界のすべての人のすれちがい。
戦争だって、すれちがいの一種にすぎない。
敵と味方のすれちがい。
司令官と一兵卒のすれちがい。
人類はひとつにはならずに、すれちがいつづける。
それが宇宙の法則だから。
すれちがいがわかれば、世界がわかる。
万物がどのようにすれちがうか。
幸せなすれちがいを構築することが政治家の仕事だ。




