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王宮からの使者

 街での騒ぎを知らない屋敷では、領地経営で黒字が出たとことで新しく使用人を雇う話になっていた。


「奥様、とりあえずシンデレラお嬢様に、お掃除を任せっきりも行けませんので、屋敷内の清掃が先ですね。それと、皆さまで、なさっている食事の準備等も雇いましょう。昔ほどの人数とまでは、いきませんが…それなりに揃えられるぐらいの準備が出来ました。」

「そうね。その事は、ダニエルに一任するわ。後は、お茶会が出来るくらいになれば…社交界の情報が入って来て、娘たちのお相手も見つけられそうね。」

「はい。少しづつですが。元の状態に戻せましたね。奥様。」

「ダニエル…。ありがとう。本当に貴方のお陰だわ。あの時、あきらめずに頑張れてよかった。」

「ええ。そうですね。頑張られました。」


 そんな会話をしていると玄関先で、誰かが訪れる声がした。


「お母さま!!お母さま!!」

「何ごとなの?シンデレラ。大きな声は、はしたなくてよ。」

「ごめんなさい。でも、驚いてしまって。王宮から使者がいらして、ヘーデルに会いたいって。」

「ええ~!!。どうして?ヘーデルに?」

「それがね。ヘーデルが踊っていたお相手は…。王子様だったの。」

「でも、王子さまは、金髪で碧眼で…。ヘーデルと踊っていたのは、明るいブラウンの髪色の方だったわ。まさか…。間違いじゃないの?」

「でも、あの靴を持って来ているのよ。」

「ああ。とにかくお待たせしてるわね。貴方は、ヘーデルを探してきて。私は、使者の方に話を聞くわ。」


 継母が執務室から出て、使者の相手に向かう中、私は、ヘーデルを探しに屋敷裏にある花壇に向かったその時、だった。


「おい。ちょっと待て。」

「え?あ~。魔王どうしたの?」

「どうしたじゃない。お前、我の存在を完全に無視しているだろう。」

「もう。そんな事話している場合じゃないの。忙しいんだから。」

「あの靴のせいだろう。」

「そうだけど。なんかあの靴のを持っているのが王子様らしいのよ。」

「ったく。中途半端な魔法をかけたせいだぞ。」

「ちょっと、綺麗に見える魔法しかかけてないわ。心を動かすような魔法じゃないもの。」

「はあ~。あのな。あの靴にかかっている魔法は、その、心を動かす魔法が含まれてる。」

「ええ~!!嘘。そんな…。」

「もう、成就するまでこの魔法は、消えない。」

「どうして?」

「精神系の魔法は、そういうものだ。あの靴を飾っているのを見た時から、危ないと思ってたんだ。ちょっと、水晶玉で王宮の様子を見てやったが、あっちは、大変な事になっているぞ。」

「どうしよう?どうしたら良い?」

「知らん。お前が自分で収拾つけろ。お前の魔法だ。」

「そんな~。」


 魔王は、言うだけ言うとまた、不意っと消えて居なくなったので、私は、まず、ヘーデルを探すことを優先した。裏庭にいなかったので、魔王の言葉を思い出し飾り台へ向かうと、飾られている靴をぼーっと眺めて、立っているヘーデルがいた。


「ヘーデル。」

「シンデレラ…。どうしたの?何かあった?」


 私はコクリと頷いて、王宮から使者来ている事を告げた。驚いたヘーデルは、顔を赤らめて、あの夜のことを思い出した表情をしていた。


「あの方と会えるのかしら。」

 

 とぽつりとヘーデルが呟く。私の心は、魔王が言った言葉でザワザワとして、どんどん不安が大きくなるばかりだったが、とにかく使者のところへ、ヘーデルを行かせることにした。


「ヘーデル。私は、靴を飾り台から出して、応接に持っていくわ。貴方は、早く使者とお母さまの元へ行って来て。」

「ええ。シンデレラ。ありがとう。靴をお願いね。」


 そう言って、嬉しそうに向かうヘーデルの背中に、お相手が王子様だと言い忘れたことで、罪悪感を感じてしまう私だった。




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