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王子とヘーデル

 舞踏会の翌日の朝食で、3人の楽しんだ話を聞いていた私は、時間制限は有ったけれど、有意義な魔法を使えたとホクホクした気持ちになっていた。

 だが、憂鬱な気持ちにさせるものが、取り除けていなかった。部屋にいる魔法使い(魔王)だ。

 『一体、何時になったらいなくなるんだろう』と心の中で叫んでいたら、それが、顔に出たらしく継母が心配して、声をかけてくれた。


「シンデレラ?、ねえ、どうしたの?」

「えっ、あ〜、ちょっと考え事を…。それより、お相手の方々との連絡交換は?ヘーデル、カーラ。」

「それがね…。」


 3人が、帰りがけの魔法が解けるかもと言う気持ちで、連絡を聞く暇が無かったという説明で、私はちょっと、『シュン』とした気持ちになってしまった。


「そんな風に落ち込まないでよ…。本当に、みんな楽しかったんだから。それにご縁があれば、また、k必ず何か起こるはず。ねっ!そう思わない。お母さま、カーラ?」

「そうよ、そうよ。ヘーデルも私も久しぶりのダンスで、とても素敵な一夜だったて思ってるんだから。」

「そう?ヘーデル。カーラ。」

「ええ。そうよ。だから、心配しないの。素敵な魔法をありがとう。貴方が、娘で本当に良かったわ。そうそう、へーデルの靴が片方だけになったのは、話したでしょう?」

「うん。それが?」

「これだけ、魔法が解けなかったみたいなのよ。」


 そう言って差し出された片方の靴は、本当にキラキラと輝いたままだった。


「本当…。どうしてかしら?でも、素敵な思い出だし、綺麗に飾りましょう。」

「そうね。もしかした良いこと有るかもしれないし。」


 みんなで、顔を突き合わせて、靴を覗き込みながら『ぷっ』と吹き出して笑って…その靴を飾る場所を決めることにした。


「あっそうだ、庭先の飾り台の上なんてどう?お日様の光でもっと輝いて見えるんじゃないかしら?」


 カーラが思いついて、皆に聞いた。この意見に全員納得はしたが、雨の時や無くなったりしたらとなって思案した。その時、ダニエルが話に入ってきて、妙案を出してくれた。


 「それでは、その靴を覆えるガラスケースを設置しては?いかがでしょう。それくらいの魔法なら、シンデレラお嬢様の魔法でも時間制限などもないかと?」

「あっ本当ね。何か小さくても良いからガラスケースさえ有れば、それに魔法をかけて靴を覆えるものに変えて見せるわ。」


  そして、靴を設置するそんな様子を上から眺めながら、つぶやく魔王フェリペ。『まったく…中途半端な魔法をかけおって。母親と同じだな。あいつは。一から教えねば。俺の様な犠牲者がまた、増える。』と思案するのだった。


 一方、魔法の掛けられた片方の靴を持つ王子は、ヘーデルともう一度会うために、王様に何度も掛け合い、何とか公的に探す許可を得て、お触れを出すのだった。

 そして、町中の貴族にそのお触れが伝わったころには、町民の間でもちょっとした騒ぎがとなっていた。『ちょっと聞いた?』『ええ、王子様がガラスの靴を忘れて、消えたご令嬢を探してるって…。』「ええ。聞いたわ。ご成婚の前なのに・・・大丈夫なのかしら?』等とまことしやかに、噂は噂を呼んで広がっていった。

 そんなことも知らない私たちは、ガラスの靴をガラスのケースに収めて、いい思い出だと大変満足して普段の日常を取り戻していた。


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