転機:口説く親友
バイト先の中ですごく仲良くなった友人にショウがいる。
同い年で一緒に仕事する事も多くずっと話しをしていた。
就活の事、恋愛の事、家族の事、本当に話題が尽きる事がなく、一緒に出かけたりすることは無かったが話しやすく僕は気を許していた。
そんなある日、ショウから思いがけない一言があった。
「エミと仲良くなりたい。むしろ好きかも、なんか知ってる?」
僕は悪い癖の何も考えず応援しようかどうかと迷ったが、今回は仲の良い友人なので本当に悩んだ。
色々なパターンを考えたが、結果的にいつも通りの選択をしてしまった。
「いいじゃん。彼氏いるかもしれないけど、落とせると思うよ」
「だよな。真剣だから色々考えてみてアプローチしてく」
少しだけ罪悪感を感じたが、それを遥かに超える高揚感があった。
どうなるんだろう。口説いた言葉やアプローチなど全部をいつも通り聞いてみたいと思った。
その日からショウはすごいアプローチをエミにしていた。エミから本気の相談を受けるくらいで、その過程で全てを見せてもらっていたがやはりそこに罪悪感などは無かった。
その時自分は歪んでいるのではと思った記憶があり、性格の悪さを実感した。
エミはレイにも相談していて、レイがショウにハッキリ伝えた。
「本当に迷惑みたいなので、やめた方が良いかもしれないです」
ショウは本当にショックを受けたみたいで夜中に電話で起こされ朝まで一緒に呑んでいた。
そこでの興味はたった一つだった。
「どんな顔しているんだろう」
本当に良くないと思いながらも、興味が強かった。
ショウはその日からアプローチをするのはやめたようで、またいつもの安定した彼女3人での生活が続いていくと思ったがカナの心は壊れていた。