出会い:スリル
バイト自体は楽しかった。
レイとエミが話していると内容が凄く気になり後からなんとなく内容を聞いていた。
「どんな話してたの? 恋バナ?」
「なんかエミちゃん結構大変な恋愛してるみたい」
「そうなんだ、エミちゃんみたいに可愛い子でもそんな思いするんだね」
優越感なのか、隠したいのか、楽しんでいるのか、自分でもわからない感情をずっと持っていた。
レイと昼間に初めて会ってデートをした。待ち合わせはバイト先の最寄駅、バイト先の人と会ったらその場で関係が終わる。終わると分かっていても、そのスリルから抜け出せない自分がいた。
「キョロキョロしてるけど、どうしたの?」
「人に会ったら恥ずかしいじゃん」
「恥ずかしい相手でごめんねっ!」
レイからしたら戯れている会話。僕からしたら本気の会話。
そんなチグハグな状況も楽しんでいた。
エミとの関係も良好。
たくさん想い出を作って、エミの友人とも仲が良く安定したカップルと思われていたし、僕自身はエミに対して不満はなく、周りから見ても可愛いて評判が良い。
レイもすごく美人でいつも話題の中心にいる人物だった。
贅沢な状態でその時の僕は天狗になっていてまた別のスリルを探していた。