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キミの瞳の色  作者: にこにこ
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第一話

叶わない恋の物語、もどかしく切ない淡い恋、、、

『キミの瞳の色』                  

                                            

君にはどんなふうに世界が見えているんだろうか          

いつも明るく悩み事なんか何もなさそうな君           

君も苦しい思いをしたことがあるだろうか      

想像できないけれど、ここにいるのだからあるんだろうな        




もう少しだけ、もう少しだけ、              


君と世界を見ていたかった               




第1話


「ごめんね」


なんで謝ってるんだ、何に対して謝ってるんだ。

俺を抱きながら母が言う。


「ごめんね」


床に大きな涙を次々に落として言う。


「ごめんね、ごめんね」


少し離れたところに父がいる。俯いて、歯を食いしばって、、、



深夜、物音で目を覚ましてしまった俺は、喉を潤すために台所へ行った。

その時、玄関で物音がした。泥棒かもしれない、、、

近くにあったフルーツナイフを片手にゆっくり玄関へ行く。

そこで見た光景に、思わずナイフを落としてしまった。

泥棒ではなかった。


「え?お父さ、、、んと、お母さん?」


目の前には、大きな荷物を持った父と母がいて、扉を開けるところだった。


「るり、、、お前、起きて、、」


驚いた父の声が俺の耳を通り抜ける。

母が突然、荷物を話して俺に抱きつく。

同じ単語を、何度も何度も叫んでいる。


あぁ、俺は生まれてくるべきじゃなかったのかな、、。


こうなる事はなんとなく分かっていた。

俺が、父さんと母さんをここまで追い込んでしまったんだ。


父さんと母さんを、これ以上追い込んだらだめだ。

縛ったら駄目だ。

一緒にいては、、、駄目だ。


高一の成長途中の少し大きな身体で、俺は母を突き放した。


「行っていいよ」


静かに、落ち着いた声で言う。


「る、、り、、、」


震えた母の声


「行くなら、行くなら早く行ってくれる?」


突き放つように冷たくいうと、母の表情は悲しげに曇った。

父が何か言いたげに顔を上げたが、

「ごめんな」

と一言だけ残して外へ出た。


父に腕を掴まれ、父と外へ出た母は一度だけ振り返って、、

「机の上に薬、あるからね、、」

俺に言った。



バタン、と扉の閉まる音が響く


ナイフを拾い上げて台所に戻しに行くと、そこの机の上には母が言っていた薬があった。

薬の横には見覚えのある時計と手紙もあった。


「これ、父さんの」


父さんが、初めて自分のお金で買った大切な時計

俺が欲しいと言ったことが一度だけあった。

それを覚えていたのか、、、、

手紙は母が書いたものらしい、今は読む気がしない。



そして、両親からの最後の贈り物は、


数分後、


両親の形見となった。



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