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HAPPYSTORY  作者: 空ノ助勘太郎
夢の始まり
1/1

第1話「夢の始まり」

~内容変更中~



この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

幸せとは何か。

愛か、金か?



これらは幸せではない、ただのまやかしだ。


幸せとは夢である。


夢を見るのが幸せではない、それはただの空想だ。

では人が幸せになる時、それは───


  ()()()()()()()である。


ロック・フォージャー日記 より引用

------------------------------------


ロック「本当にいい景色だ」


山々に囲まれている風景はやっぱり


アン

「ロックー!」

ロック

「んー?アンじゃないか。どうしたんだこんなところで」

アン

「それはこっちのセリフ!というか、こんな丘で油絵なんか書いて熊とか出たらどうすんの!」

ロック

「大丈夫、大丈夫。熊なんて滅多に出やしないし、仮に出たとしても色々、対策はしてるから大丈夫だよ。」

アン「対策してるからって必ず大丈夫とは限らないでしょ!」

ロック

「でも、アンだって一人で来てるじゃん」

アン

「わ、わたしはいいのよ!でもロックはダメ!」

アン

「もし、ロックに何かあったらわたし...」

ロック

「ん?なんだって?」

アン

「何でもない!」


もちろん聞こえているし、アンに対する好意もとっくに気付いている。

でも、僕としてはその好意に対する解答が出せないでいる。

きっと、僕の中ではまだ幼馴染の関係でいたいんだ。

その理由としては多分だけど憧れのシャルル先生に対する感情が大きいんだと思う。

まだ、この気持ちが憧れからくるものなのか、それとも愛情からくるものなのか僕自身分からないんだけど・・・

それでも他の人から見ると好意を寄せてくれる人を保険にして、関係をキープしつづける最低な男に見えるんだろうな



ロック

「あ、もうこんな時間だ。先生の所に行かないと」

アン

「ねぇロック。誰か忘れてはないかしら?」

ロック

「誰って?」

アン

「私の事よ!こんなかよわいレディに一人で村に帰させる気?」

ロック

「かよわいって、自分でいうの?ここまでこれたって事はきっと大丈夫だよ。んじゃあ!」

アン

「ロック...」


彼女はいつものようにまるで今生の別れかのように僕を見つめている


ロック

「あーもう降参です。んじゃあ手を繋いでいくよ!先生の用事以外にも色々しないといけないし」

アン

「あら、領主候補は色々忙しいのね。というか、そこはお姫様抱っこするのが紳士というものでではなくて?」

ロック

「別に紳士じゃなくてもいいよ。というよりアンってちょっと重いし(小声)」

アン

「聞こえてたわよ!ロック!今度という今度は許さないんだから!」

ロック

「何という地獄耳!?ひええええ、ごめんさいいいい」

アン

「待ちなさーい!」


-------------------------


ロック

「先生ー!シャルル先生ー!」


ドアを叩くように開ける


シャルル

「!」


シャルル

「なんだロックか。いつも言ってるだろ、人のドアをあける時はノックしなさいって」


ロック

「はーい!シャルル先生。でさ!いつもの授業やろうよ。科学っていうの」


シャルル

「ったくわかってるんだろうか。この子は」


シャルル

「まぁいい、医者である私としてはそこまで教えられることは限られてくるが」


ロック

「はーい!先生ー!。そういえば話は変わるんだけど玄関に飾ってある鳥の仮面みたいな奴ってなーに?」


シャルル

「あーあれか。あれはペスト仮面と言ってな。とても大昔に使われていた医者用の仮面だ」


ロック

「なんであんな鳥っぽいの?」


シャルル

「昔はペストっていう病気が流行していたんだ。

そして、そ病気の原因は空気が悪いからなのでは?と考えられていたため、大量の香辛料を積めて、悪い空気を吸わないようにするためあの形になったというのが理由の一説だな。」


ロック

「へー」


シャルル

「まぁ人間なんてペストで絶滅しとけばこんな醜い化け物にならずに済んだのにな」


ロック

「先生・・・」


先生は医者なのに人嫌いだ。

だから、こんな村はずれの山の中に住んでいる。

僕が最初の時は何度も追い返されそうになったっけ。

その分、何度も訪れたら先生を諦めて、付き合ってくれるようになったんだけど


ロック

「やっぱり理由は・・・」


シャルル

「言わなくてもわかるだろ。『奴隷』だ」


奴隷、それは人ならざる人と違う亜人の事を指す。

人はその亜人に対して奴隷化を図り、強制労働している。

この村ではエルフを奴隷とし、強制労働を強いている。


ロック

「でも、それは仕方ない事だって村の人達は言ってるよ。」


この村は高齢者が多い限界集落だ。

だからこそ、奴隷のエルフは無くてはならない労働力とされている


シャルル

「ああ、分かっている」


シャルル

「だが、理解していても納得行くかは別だ!これが我儘だったとしても私は嫌悪し続ける。」


先生は奴隷制度について、かなりの嫌悪感を感じている。

なぜそんな嫌悪感を感じているか。村の人達に聞いた所

先生はコールドスリープ?という技術を使って、大昔の時代からやってきた人らしい。

それもあって、今の時代との価値観が多少違いがあるとの事だ。


ロック

「で、でもさ!奴隷にも奴隷任期があって、ある程度経過すると解放されるんでしょ?」


シャルル

「───ああ、そうだな。」


先生は僕の発言後に虚ろな表情をし、煙草を咥え、一服した。


シャルル

「すまないな、ロック。なんどもこの話を蒸し返してしまって」


ロック

「仕方ないよ!いつもの事だし。じゃあさ。次は僕の秘密の話を聞いてよ!」


シャルル

「ほう、珍しいな。いつものパターンだったらここから抱っこか、ひざ枕を要求するのに」


ロック

「そ、そんな恥ずかしい事、もう要求しないよ!???っというよりもう僕10歳になるんだよ!???」


シャルル

「ロックもそんな事を言える歳になったのか。嬉しくもあるような。悲しくもあるような・・・」


ロック

「ほんと先生ってば子供みたいに激情する時もあれば。理知的になる時もあるよね。まさか・・・メンヘラ?」


シャルル

「───」

シャルル先生はかなりのショックを受けていたようだ


シャルル

「ロック。どこでそんな言葉ををを」


ロック

「先生が読んでいいっていう本の中に書いてあったよ。精神的に不安定な人を指す言葉なんだってね」


シャルル

「知識本しか渡してないはずだが。まさかそんな事まで書いているとは・・・」


シャルル

「まぁそれは良い。私はお前のその発言により、かなり傷ついた。なのでお前の話を聞く代わりに膝枕を要求する。」


ロック

「えー」


シャルル

「いいか。これは道徳の授業だ。お前には無意識に人を傷つける男にはなって欲しくない」


ロック

「うーん、わかったよ。なんだか丸め込められたような気がするけど」


シャルル

「いいぞ。ロック、納得は全てに優先する。理解こそ進歩の第一歩だ」


そう言うと、僕の膝の上に先生の頭が乗っかった。

うーん、やっぱり近くで見るとクールでカッコよくて

そして・・・可愛い。

同じ話題を何度も蒸し返す性格じゃなければきっと引く手あまたぐらいの容姿はしている。


ロック

「じゃ、じゃあ。これで僕の話を聞いてくれるよね」


シャルル

「ああ、ロック。なんでも聞いてやる」


ロック

「僕、将来の夢があるんだ。」


シャルル

「将来の夢か。いいな、どんな夢なんだ?」


ロック

「亜人も人間も皆が笑いあえる風景を見るのが夢なんだ。」


シャルル

「───」


先生は絶句する


シャルル

「でも、それは」


ロック

「うん。とても難しい事だって分かってる。でも絶対、叶えたいんだ」


シャルル

「なぜ突然そんな事を私がいつも奴隷についての不満をぶちまけてたから感化されてしまったのか?」


ロック

「突発的な事じゃないし、先生のせいじゃないよ。昔からずっと思ってたんだ」


ロック

「先生と僕が初めて会う時の事を覚えてる?」


シャルル

「──ああ、とても覚えてる」


ロック

「その日に先生に会う前にある人に会ったんだ。」


シャルル

「ある人?」


ロック

「かっこも全然覚えてないけど。でもこう言ってたって事は覚えてるんだ。『皆を平等にしたいって』って」


シャルル

「それはお前が自分で考えて出した夢なんだな?」


ロック

「そうだよ。その人の言葉がきっかけだったけどその人に言われたからでもない。自分で思い描いた夢なんだ」


先生は泣きそうな顔になったが思いとどまった。


シャルル

「そうか、なら良い。とても難しいかもしれないがお前なら出来るさ。なんてたって私の生徒なんだから」


ロック

「~~~先生ー!」


先生の頭に対して覆いかぶさるようにハグをする。


シャルル

「やめろロックなんというか、とても興奮する。」


----------------------------------------


ロック

「そういえばさ、先生は将来の夢とかあったの?」


シャルル

「私か、やはり医者だな」


ロック

「へーきっかけとかあったの?」


シャルル

「きっかけか・・・一概には言えないがやはり父の影響だな」


ロック

「お父さんの?」


シャルル

「ああ、私の父はとても厳格な人だった。普段笑いもしない鉄仮面のような人間だったが誰かの病気が治った時、とても良い表情をしていた。そんな表情に私も憧れを抱いたのかもな・・・」


シャルル

「さて、授業といきたい所だが。今日の領主補佐の仕事は無いんだな?前も私の授業が楽しみすぎて領主補佐の仕事を忘れていて、お前の父がやってきた事を覚えているか?」


ロック

「う・・・ないよ・・多分。きっとな・・・」


ロック

「あ~!奴隷管理の事、忘れてたたああああ」


シャルル

「はぁ・・・領主補佐の業務が沢山あるとはいえ、また忘れてたのか・・・」


ロック

「だって、先生。一か月に一回ぐらいしか授業してくれないもん・・・」


シャルル

「それくらいが丁度良いんだ。無駄な知識なんていうのは無駄になるくらいが丁度良い」


シャルル

「ほら、さっさと行きなさい。領主補佐も夢と同じでやりたい事なんだろ?」


ロック

「うーわかったよー!」


シャルル

「奴隷管理という事はエルとフットにも会うって事だな?もし空き時間があれば親御さんの病態がどうか聞いてみてくれ」


ロック

「了解ー!」

---------------------------------------


ロック

「ふぅーまぁ一通りのチェックは終わったかな」


奴隷達の体調をまとめた紙を冊子に格納し、奴隷場に入る。


フット

「おーロックか、おつかれさん」


檻越しに話しかけてくるのは僕の親友フットだ。


ロック

「こちらこそ、おつかれー。ごめんね、時間かかちやってー」


フット

「別に構いやしねぇよ。それがロックの仕事だろ?」


ロック

「そう言ってくれると助かるよ。そういやエルは?」


フット

「何いってんだ。そこにいるじゃねぇか」


エル

「ロックさん。こんにちは」


ロック

「わわ、ごめんね、エル。気付かなくて、あとそれからこちらこそおはよう」


エル

「大丈夫ですよ。ちゃんと挨拶してくれてありがとうございます。」

フット

「仕方ねぇさ。エルってはいつも影が薄いからなー」


エル

「もーお兄ちゃん。毎度のことながら私に失礼ですよ。」


フット

「わはは、すまねぇ、すまねぇ」


ロック

「そういえば、親御さん達の体調は大丈夫?」


フット

「あー、今ん所は大丈夫だな。まだ様子見って所だけど」


ロック

「なるほど、ありがとう。フットとエルは特に異変とかない?」


エル

「私は大丈夫です。」


フット

「1000年生きてる親父達ならまだしも、まだ俺たち、100歳だぜ?病気とは無縁だっての」


ロック

「相変わらず、凄いね。エルフの寿命は」


フット

「まぁ時間間隔なんて人とあんまり変わんねぇよ。ただ人より長生きなだけさ」


エルフは生後の段階では成長が早く、個人差はあるがある期間をすぎると成長スピードが極端に遅くなる特徴をもつ。


ロック

(まぁ、1000歳までいきたら流石に老いてしまうんだけど)


ロック

「ok,シャルル先生には順調だって言っておくよ。それじゃあ」


エル

「あ、ロックさん。」


ロック

「うん?どうかした?」


エル

「あーえーとうーんと・・・やっぱり何でもないです」


ロック

「?」


フット

「相変わらず、口下手だなエルは!そして、ロックは相変わらずだな!」


フットが茶化す


ロック

「なんだよ、フット、その相変わらずって

まぁいいや僕はこの報告書を父上に渡さないといけないからそれじゃあ!」


エルは何が伝えたんかったんだろう


エル

(ロックさん。いつみてもかっこいいな・・・すきぃ・・・♡)


------


村の道中、ダイアナとニックと出会った


ダイアナ

「ロックさん。こんばんは」


この7歳なのにしっかりした少女はダイアナ。パン屋の跡継ぎの子でアンと僕、ダイアナ、ニックの四人でいつも遊んでいる。


ニック

「ロック兄ちゃん!鬼ごっこしよー」

こっちはニック。鍛冶屋の跡取り息子で

いつも僕に好意を寄せてくれる


ロック

「ごめんねーニック。今から報告資料を届けないといけないから」


ニック

「えー遊んで、遊んで」


ダイアナ

「こら、ニック。ワガママ言わない!もう5歳でしょ!」


ニック

「うー」


ロック

「まぁまぁ、明日は遊んであげるから。」


ニック

「ほんと!?約束だよ!」


ロック

「ああ、男同士の約束だ。」


ニック

「わーい」


ダイアナ

「もーニックってば、ごめんなさいニックが無理言ってお忙しいのに」


ロック

「大丈夫大丈夫。ダイアナもいつもニックの面倒みてくれてありがとうね」


ダイアナ

「〜〜〜」 


ダイアナ

「いえいえ、大丈夫です。ニックは世話の焼ける弟のようなものですから!」


一瞬彼女の頬が赤くなった気がした。


----

家に帰り、父に奴隷管理の結果について報告をし、その後、身支度を済ませベッドで横になる


ロック

(あー今日も大変だったな。でも色んな人に会えて楽しかったなぁ)


ロック

(いつまでもこんな日々が続きますように)


------


───1ヶ月後、シャルル先生が自殺した。

死因は首吊りとのことらしい


ロック

「・・・」

ただ、放心し、教会の墓の前で立ち尽くしていた。


トニー

 「おーロック坊っちゃんいたいた。」


ロック

「ニックのお父さん、こんばんは」


トニー

「こちらこそ、こんばんは。いつもニックが世話かけてすまんね」


ロック

「いえいえ、とんでも無いです。」


トニー

「まだ9歳なのに受け答えがちゃんとしてるなぁ!全くニックにも見習わせたいよ」


ロック

「ニックにも良い所はありますよ。あの真っ直ぐな所は正直、羨ましい。」


トニー

「そうかな?やっぱりそう思う。」


ロック

「そこは謙遜しないんですね」


トニー

「なにただの親バカって奴だ。ガハハ!」


ロック

「それで、何が用があったりしますか?無いなら僕、シャルルの家の身辺整理をしたいですけど」


トニー

「あー用ってのはシャルル先生の事だ。ほい」


トニーさんから白い手紙を丁寧に渡された


ロック

「これは?」


トニー

「何か事件性の可能性がないかの調査をしてたら、偶然見つけた。シャルル先生のロック坊っちゃん宛の手紙らしいぞ。手紙の裏に書いてあったわ」


ロック

「わざわざ、ありがとうございます。」


トニー

「気にすんな。じゃあ、あっしはこれで。くれぐれもお気をつけて」


ロック

「トニーさんさようなら」


さて。

あまり見たくは無いが仕方ない、手紙の封を切るか。


ロックへ


この手紙を読んでいるという事は既に私はこの世には居ないでしょう。


なぜこんな選択をしようとしたのかあなたには理解できないと思います。


ですが、私はこの選択しか出来なかった。

この方法以外思いつかなかった。

私は弱い女です。

こんな逃げの選択肢しか思いつかなかった。


ロック

「先生は弱い人じゃなんかないよ。誰よりも強い人だよ!」



ロック。覚えてますか?

あなたと初めて会った日のことをあんな邪険に扱ったのにあなたは引こうともしなかった。

あまつさえ、暴力も振るったのにあなたは一歩たりとも引こうとしなかった。

ロック、あの日私は命を絶とうと思っていました。

あの事を知ってから、この世界は私が知るものでは無くなってしまったから───

ですが、ロック。あなたが私を変えてくれた。

私の命を引き伸ばしてくれた。


それでも耐えきれなくなってしまった。

あなたの夢を聞いて、私の罪を思い出してしまった。

ロック、あなたが悪いわけじゃない。

絶対に悪いなんて誰にも言わせない。

あなたは正しいわ。


でも少しでも私に対して、罪悪感を感じていたら・・・本当に意地悪な事を言います。恨んで貰っても構わない。

どうか、何があっても

あなたの夢を叶えて下さい。

それが私、シャルル・ブルーの

最後の望みです。


絶句した。

まるで呪いのように僕の理想の夢が

絶対に叶えなければならない夢と変わった瞬間だった──


-----

〈9年後〉





 ども、空ノ助勘太郎です。貴重な時間を割いて頂いた上でご愛読して頂きまして、誠にありがとうございます。完結まで面白いお話の作成に努めていきたいと考えております。何卒応援の程よろしくお願い致します。

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