4.意味不明 - 獣人
バイト生活は順調…な…はずだけど…
金曜はピザ屋のバイトが無くバイト料が入ったので、学校帰りに服を買いにショッピングモールに行く。遊園地のバイト代はまだだから沢山は買えない。プチプラのショップでスキニージーンズとオーバーサイズシャツを買い上機嫌で店を出る。明日も朝からバイトだから早めに帰らないとね〜
駅まで歩いているとチャラい男に声をかけられる。無視して早足で歩くと
「JKだろ?遊ぼうよ!」
「今から帰るし無理」
「なぁ付き合ってくれたら奢るよー」
『しつこいなぁ!』
更に早く歩き出さすと手を取られた!私は小さいから力で勝てない!周りに助けを求めようとしたら
「離しなさい!彼女か嫌がっている」
「あ?なんだと!やんのか?」
急にチャラ男のトーンが下がる。チャラ男につられ声のするの方を見たら!
『若様⁈』
チャラ男も自分より大きく男前に怯んでいる。私も唖然としていたら
「悪い事は言わない…その手を離し立ち去れ」
「…っち!」
チャラ勝ち目がないと思ったのか足早に去っていった。まだ唖然とする私に若様は少し屈み目線を合わせ
「大丈夫でしたか?」
「あっありがとうございます」
「遅くなると軟派な奴が増えて来ますから早く帰りなさ…い…もしかして…」
『あ!ピザ屋の店員ってバレた?何か嫌な予感がする』
お辞儀をし目線合わさない様にお礼を言い踵を返し駅の方へ歩き出した時
「ラッキーピザの方ですよね!」
『あ…もっと早く逃げればよかった…どうすんの私!』
背を向けたまま必死で誤魔化せないか考えていたら
「やはり間違いない…」
「へ?」
顔を上げたら目の前に移動し微笑みながら私を見ている。若様は確信を持って話しかけて来る。もう逃げれない…
柔らかく微笑むが何かおかしい。私を観察?しているかの様だ。少し世間話をしたら観察が終わった様で駅まで送ってくれた。
何も無かった様に駅前で別れ、帰り道に意味のが分からない若様に悩む事になった。
若様に助けてもらった翌日から若様のSサイズピザの注文はされ無くなった。暫くはバイト仲間の間で色々と憶測が飛んだが、少しすると皆んな綺麗さっぱり忘れてしまった。
それから日々特に何も無く過ごす。着ぐるみのバイトもピザ屋のバイトもそつ無くこなしていた週末。今日は日曜で朝から遊園地のバイト。慣れて来てスタッフの皆さんとも仲良くやっている。私のサポートの水川さんが
「上の人らが”今日はオーナーは海外出張で来ない”て喜んでいたよ」
「マジっすか!」
やった〜何か思う所があるのか、かなりの頻度で週末来るオーナーにスタッフ皆んなが困惑していたんだ。心無しが皆んな表情が柔らかい。こうして気分よくお仕事していた。
日が暮れ出しパレードの為着ぐるみを着てスタート位置に着きダンサーと歩き出すと、パレードを見る群衆に一際目立つ男性が…
『マジ⁈若様だ!』
その目立つ男性はあのSサイズの若様だ。凄い美女とパレードを見ている。一瞬目が合った気がした。
『いやいや…こっちは着ぐるみだし私って分かる訳ないよね』
しかし目を見開き私を凝視する若時。隣の美女が必死に気を引こうとしているが無視している若様。今パレードは音楽に合わせて停止してこの場で暫くダンスするから逃げれない!
様子のおかしい若様に隣の美女は若様の腕にしがみ付いたが若様は邪険に腕を払う。驚く美女にまだこっちを凝視する若様。ダンサーは私に抱き着き小声で
「伽奈ちんあの男前と面識あるの?」
「知ってる位です」
「あの人獣人だよね!めっちゃいい男〜隣が婚約者かなぁ?」
「ですかね〜」
話していたら音楽が変わりパレードは動き出した。あの鋭い若様の眼からやっと解放されパレードに集中する。暫く進むとまた止まりパフォーマンスする位置にきた。
ダンサーと踊っていたら…
『うそ!』
また若様がいる!また凝視され着ぐるみの中で嫌な汗をかく。連れの女性は明らかに不機嫌だ。一生懸命若様にボディタッチし話しかけるが若様は完全無視し、最後は拗ねてスマホを触り出した。後ろに控える付き人も困惑を隠せない。
若様を見ない様にしながらいつもと違う位置で踊っていると、ダンサーのリーダーが来て位置が違うと小声で叱られる。
そんな事を繰り返してやっとパレードは終わり控室に戻る。今日はいつもより疲れた…
「早く帰りたい…」
何故なら疲れたのと明日は中間試験。早く帰り勉強しないと!慌てて帰り支度をして時計を見ると1本早いバスに乗れそうだ。いつもは電車の方が安いから時間はかかるが電車で帰る。しかし試験勉強をしたいから今日はバスにする。
シャワーを浴びてスッピンで荷物を纏めてダッシュで園を後にする。遊園地前にロータリーがありそこから出るバスに乗るが、乗るバスはエンジンをかけ出る直前だ!
「葛葉行乗ります!」
そう叫び走っていたら乗るバスの後ろに黒ずくめ高級車が止まっているのが目に入る。ブザーが鳴っているがギリ待ち合いそうだ!
あと少しという時に高級車から誰か降りて来た。そんなの気にしている間なく乗車口に真っ直ぐら。
「待って下さい!」
背後から腕を取られ背後に吹っ飛んだ。
「発車します!ブー プシュ…」
「あ!」
乗れるはずのバスは発車してしまった。
誰!私の邪魔したのは!
振り返るとそこは若様が驚いた顔をしていた。
『なんで若様が…』
意味が分からずフリーズする私。
「本当にいるなんて…待った甲斐があった…」
「はぁ?離して!も!アンタのせいでバスに乗れなかったじゃなぃ!」
力一杯抗うが大きい若様に勝てる訳もなくまだ腕を掴まれたままだ。すると若様のお付きの男性が離す様に言いやっと離してもらう。話す時間も勿体無くてお辞儀だけして駅の方に走り出す。
背後で若様が何か言ったが無視して走る。
若様が意味不明だがそんな事を言ってる間は無く急ぐ。電車を乗継ぎやっと家に着いたらおばあちゃんが迎えてくれたが…
「伽奈ちゃん!ピアスは!」
「へ?」
そう言われ耳を触ると着けて無い!慌てていてシャワーの後着け忘れてた。
この後たかがピアスでなんでこんなに怒られるのかこの時は分からなかったが、大事だった事を後で知ることになる。
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