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20.復帰

遊園地復帰の朝、また予想外の事が起こり…

今日は久しぶりの遊園地のバイトに少し緊張していると、おばあちゃんがお迎えが来たと言う。どうやら隼人と神田さんがついて来る様だ。


「はぁ…」


思わず特大のため息が出る。ほんの少し前まで呑気に過ごしていたのに、今は一人で行動する事もできなくなり、息苦しさを感じ始めていた。

玄関に行くとおばあちゃんが隼人と神田さんと話しており、会話に入るタイミングが無くスマホを手に話が終わるのを待っていた。やっと話が終わった様で隼人が視線を玄関に向けた。相変らず感じが悪く朝からテンションが上がらない。そんな私に気付いた神田さんが私の手を取り引っ張っていく。

すると前を歩いていた隼人が振り返り


「先に付近を確認したが獣人も妖もいない。安心していいぞ」

「ありがとう」


私との連絡手段を手に入れた2人は取りあえず付きまといは止めてくれたようだ。少し心が軽くなったのに朝一爆弾が投下される。


「そうそう。私はピザ屋のバイトに入ってしまったから、遊園地の方は隼人が行ってくれるから」

「はぁ?」


驚いて隼人を見ると隼人は無言で歩いていく。日々不機嫌になる隼人に苦手意識が増しているのに、バイト先まで同じとか勘弁してほしい。朝からテンションダダ下がりのまま遊園地に向かう事になった。


重い気分のまま遊園地に着くと支配人の角田さんと水川さんが出迎えてくれる。2人の表情から私の正体をオーナーから聞かされている様だ。


「色々ご迷惑おかけしました。契約満了までは勤めるのでよろしくお願いします」

「あ…オーナーから聞いております。勤務内容は変わっていないので、よろしくお願いいたします」


あからさまに態度が違う支配人の角田さん。彼は鬼の一族だから巫女の事を知っているのだろう。かたや水川さんは前と同じように接してくれ安心する。こうして控室に移動し神田さんの付き添いはここまでで帰って行った。私を護衛する為にバイトする事になった隼人は何処に配属されるのか気にしていると、それに気付いた隼人が


「俺はゆるキャラの付き添いだ」

「へ?」


唖然としていると隼人は手続きの為に角田さんと別室へ向かった。凹んだ私を水川さんが私の手を引き控室へ。控室は前のままでポールハンガーにゆるキャラの着ぐるみが吊るされている。心なしか少し変わっている気がするが…


「また会えて嬉しいわ」

「色々ご迷惑をおかけしました」


水川さんは私が休み中にあった事を支度をしながら教えてくれる。私が休み中の代わりは見つけることができず、ゆるキャラはリフレッシュ休暇で世界旅行中となっていた。


『お目見えして数ヶ月でリフレッシュ休暇ってどんだけ激務よ』


と心の中で突っ込みを入れていると水川さんが


「伽奈ちゃんが来なくなってスタッフのやる気(モチベーション)が下がってね。戻ってきて欲しいて声が多かったのよ。それにオーナーから貴女の事を聞いてね…」


どうやら私と繋がりを持ちたいオーナーは比較的仲良くしていた水川さんには私の正体を知らせたようだ。水川さんは言葉を選びながら


「私も妖だから巫女の存在は知っていたわ。でも詳しくは知らなくて汚染された妖界を元に戻せる存在だと親から聞いたわ。それがこんなに可愛い女の子だと知って驚いたよ」

「可愛いは褒めすぎ」

「本当だよ妹にしたい位だわ」


そう言い私の頭を撫でた。そして水川さんは現状の妖達について教えてくれた。妖達は2極化しこのまま人間界で生き(妖界)を諦める者と、巫女の力で妖界を取り戻し昔の生活を望む者達がいるそうだ。そして力の強い妖達が妖界の復活を切望する傾向にあり、その中でも鬼の一族が積極的だと話してくれた。


「私の一族は人魚族で力も弱く、妖界より人間界の方が住みやすいの。勿論先祖が眠る妖界に未練はあるけど、どちらかを選べと言われればこのままの方がいい…」


そう言い小さな声でオーナーに気を付ける様に助言した。きっと能力も権力もある鬼に逆らうのは勇気のいることだろう。でも水川さんはオーナーを避けている私を気遣ってくれる。そんな優しい水川さんにお礼を告げた。

話しながら着替え最後にピアスを外し頭を被り着替え終わると、タイミングよく契約手続きを終えた隼人が控室に来た。


「・・・」

「手続きは終わったの?」

「・・・」

「何よ?」

「それお前以外着こなせないな」


そう言い徐に着ぐるみの私を抱きしめる隼人。突然の事でフリーズすると水川さんが着ぐるみの私を褒め、それに賛同する隼人と話が盛り上る。私は隼人の腕の中で真っ白に。


「ぬいぐるみ扱いするな!」


慌ててそう言い隼人の腕の中から逃げた。そして隼人を睨むと、隼人は真っ赤な顔をし頭を深々と下げ謝罪する。その様子を楽しそうに水川さん見て何か言おうとした時、スタッフが開園時間だと呼びに来た。まだ真っ赤な顔をした隼人に付き添われ入場ゲートに向かう。

いつもと違う隼人に頭が混乱してしまい、復帰1日目は挙動不審になってしまい、後日SNSで【帰って来たゆるキャラはご乱心】とかかれてしまったのだた。

お読みいただき、ありがとうございます。

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