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18.訳あり?

同じクラスの神田さんが付添いで驚く。あまり接点が無かった彼女と仲良くできるか心配で…

最近降って湧いた様に色んな事が起きる。唖然としていたら神田さんが徐にスマホを見た。そして暫くスマホを触っていたら


「今隼人から連絡がきましたが、今日は(虎谷の)若様は待ち伏せをしていない様です」

「!」


連日続いた待ち伏せが今日はないの? 嬉しいけど不気味で素直に喜べない。取りあえず隼人からの指示で念の為に姿隠しを発動し学校に入る。下足室に着いて下駄箱の陰から正門を見るがやはりいない。ホッとし教室へ向かい席に着くとスマホにメッセージが入り見ると…


【鬼オーナー】と表示され思わずスマホを裏返してしまう。隣に来た神田さんが心配そうに顔を覗き込む。

大丈夫だと告げると彼女は他の女子から話しかけられ席を外した。未だホームルームまで少しありスマホを持ってトイレに行き、個室でメッセージをチェックすると…


『凌牙は排除しました。これについては私が気に食わなくて勝手にした事で、貴女に見返りを求める事はありません』


どうやって若様を排除したかは分からないけど、若様が来ないだけで精神的負担は軽減される。オーナーは見返りは求めないと言うが、裏に何かあるんじゃないかと勘繰ってしまう。でも私では対処できないし、隼人も恐らく無理だろう。だからお礼だけは言わないといけないと思い連絡する。


「おはようございます。稀衣です。今お時間いいですか?」

『この世の中の全てを後にしても、貴女を優先しますよ』

「それはいいので…」


ホームルームが始まるまで時間があまりなく手短にお礼を述べた。約束どおりオーナーは口説く事なくお礼を受けた。安心して電話を切ろうとしたら


『伽奈さんを脅かすつもりはありませんが、これは一時的なもので長く彼を止める事は私でも出来ません。なので提案なのですが…』

「怖い事言わないで下さい。それにもうすぐホームルームが始まるので時間がありません」


そう言い電話を切ろうとしたら、次のバイトの時に時間が欲しいと言われる。その提案をしたら直ぐに遊園地を後にするという約束の元にオーナーの話を聞く事になった。


『一難去ってまた一難…』


テンション低く教室に戻ると神田さんが心配そうに来て声をかけるが、先生が来てしまい戻って行った。そして午前の授業を終えお昼休みになり美羽がお弁当を持って席に来ると…


「私も混ぜて」

「?」


神田さんがお弁当を持ってやってきた。あからさまに困惑している美羽。どうしていいか分からず固まっていると、いつも神田さんと食べているグループの一人が


「あれ?茉祐今日はそっち出張?」

「そうなの。今日から入るバ先が伽奈っと一緒なの。色々聞きたくて」

「ふ~ん。いってらっしゃい」


なんか勝手にこっちで食べる事になっている。顔が引きつっている美羽に視線を送り謝ると指を立ててOKしてくれた。こうして3人でお昼を食べたが、適応力半端ない神田さんは直ぐに美羽にも打ち解け違和感ない。美羽もバイト族だからバ先の話で盛り上がりあっという間にお昼休みが終わった。

そして放課後になり帰ろうとしたら隼人が来たので、朝のオーナーとの会話を伝える。相変わらず不機嫌な隼人は無言で私の話を聞き、神田さんに念の為に例の地下道から帰る様に伝え先に帰って行った。


そしてまた地下道を神田さんと歩き、会話が途切れた時に


「隼人って意味不明…」


そう言うと神田さんが


「きっと私が気に入らないのよ」

「へ?何で?」


そう言うと笑った神田さんは唇の前に指を立て「内緒」といった。気になり質問しようとしたら出口についてしまった。出口には隼人のお母さんの静子さんが待っていた。そして神田さんを見て挨拶をし出口を開けてくれる。でも気付いてしまった。穏やかで明るい静子さんの表情が引きつっていた事を。

もしかして隼人の家と神田さんの家は仲が良くないのかもしれない。

昔からこういった大人の事情を察する能力に長けていた私は、大人の関係性を見抜くのが上手かった。


神田さんも静子さんも何も言わないから気付かないふりをし、隼人の家を後にしバ先に向かう。隼人の家を出たら何か話してくれるかと思ったが、関係ない話を続ける神田さん。気付かなかった事し他愛のない話をしていたらバ先に着いた。

本当に神田さんは同じピザ屋で今日からバイトするようだ。それも同じ火曜と木曜の同じ時間に。

制服に着替えた神田さんは他のスタッフに挨拶をし直ぐに打ち解けていった。特に配達の男性スタッフから連絡先の交換を求められ初日から人気者になっている。彼女の適応力に感心していたら昼から入っていた社員さんが


「伽奈聞いたか?」

「?」

「どうやらこのラッキーピザが買収されてオーナーが変わるらしいぜ」

「へぇ~」

「気にならないのか?」

「だって誰がオーナでもやる事は同じだもん。時給を上げてくれるなら関心も湧くけど」


そう私には関係ないと笑い飛ばし、就業時間になり持ち場につき仕事を始めた。神田さんは社員さんと別室で入社手続きをしオリエンテーションを受けている。

そして21時半になり上がろうとしたら…社員さんに呼ばれ控室に行くと顔色の悪い神田さんが椅子に座り固まっていた。短い付き合いだがあまりにも顔色が悪く心配で駆け寄ると…


「お集まりくださってありがとうございます。ご存じの方も多いと思いますが、このラッキーピザは今日からオーナーが変わります。では新オーナーを紹介します」


噂は本当でオーナーが変わるのか…位の認識だったが振り返り驚愕する。


「今日からここラッキーピザのオーナーとなりました、虎谷凌牙です。皆さんが働きやすい職場をつくりますので、長く勤めて下さい。期待しています」

「・・・」


急転直下ってこんな時に使うのかと、思わず現実逃避をしてしまう。そして社員の和田さんを見つけた若様は握手を求め激励する。そして若様はスタッフ全員と握手し神田さんに手を差し伸べたら、神田さんは拒否した。そして小さい声で


「すみません。潔癖症が少しあるので初対面の方とは苦手で…」

「そうですが。配慮に欠けていましたね。気にしないで下さい」


そう言い私の前に来て手を差し伸べて微笑み


「稀衣さんよろしくお願いしますね」

「あ…」


断れる雰囲気では無く仕方なく手を出すと、両手で掴まれ引っ張られる。助けて欲しくて後ろを見ると、若様の秘書らしき人が飲み物を配っていて誰もこっちを見ていない。すると若様は少し屈み


「やっと貴女に接触で来た。こんな嬉しい事はない」

「あ…離して下さい」


中々手を離してくれない若様に困っていたら…

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