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異世界より君へ  作者: 青春千冬
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第一章 1.『異世界の始まり』

 「異世界転生?チハル、なんだそれ?」


 「ユウタ、異世界転生というのはな!――


――『異世界転生』


 この単語に『ヲタク』と呼ばれる者の想い、願いがどれほど詰まっているのかは計り知れない。


 そして、何を隠そう――私『三輪千春(みわちはる)』もヲタクである!


 異世界転生は大体引きこもり(ここ重要)が不慮の事故で命を失い目を覚ますと異世界で超絶イケメンに生まれ変わり美女という美女にモテモテ、なにかしらのチート能力が発覚し富も名声も得まくりの女あり金ありのスーパー勝ち組ライフをおくれるという神様が与えてくれたご褒美である。


 ユウタにそういう異世界転生についてのいろはを熱く説明しているうちに自分の興奮も少しずつ冷めていき、体にべっとりと染み付いたあの忘れがたい熱もいつのまにか冷めていった。



**  *  *  *  *



 「――ということは…チハル、俺たち死んだのか?」


 この男『川越雄太(かわごえゆうた)』は幼稚園からの親友だ。所謂幼馴染である。

 ユウタは()()()()で僕の隣に座っていた。僕たちは十中八九交通事故に遭ったのだろう。なんて学生異世界ものの王道な死に方なんだ。ありきたりといえどいざ自分が死んだとなれば全く笑えないがな。


 「あぁ、おそらく僕たちが乗ってたバスが事故に遭ったんだな」


 「でもチハル、俺たち今生きてるじゃん」


 「だからそれが異世界転生なんだよ。て、ん、せ、い。簡単に俺らは天国にいると思ってくれていい」


 「天国?ここがか?」


 「…異世界だがそうだ」


 まぁ、ここが天国にしろ地獄にしろ異世界であることには違いはない。

 ――となるとまずは情報収集だな。異世界ものはこれが鉄板。情報を制するものは異世界を制す。

 情報を怠ると出遅れるだけでなく最悪命を落とす。二度目の死はいくらなんでもごめんだね。


 「ユウタ。まだ頭の中こんがらがってんだと思うがまずは情報を集めよう」


 「お、おう!そうだな!」


 まずは街だな。

 街に行くことでこの世界のおおまかな姿、つまり一般的な外見、衣食住、生活習慣、文明のレベルなどなどここで行きていくのに必要不可欠なことが知れる。

 だが見た所街らしきものはない、辺りは森林のようなものに囲まれていていかにもモンスターがいますよという匂いがプンプンしている。 


 「ここらへんに街とかあったら一番手っ取り早いんだけどなぁ」


 「街か。うーん……あれ、街じゃないか?」


 「え!どこ⁉」


 「真っ直ぐ」


 …全く見えない。

 

 ユウタは頭がすご、、少し弱いがその分視力を始めとする体の機能全てが人外の域に発達している。

 


**  *  *  *  * 



 移動中まずは持ち物を確認した。

 交通事故にあったはずだというのに体、服、持ち物全てがキレイに無傷だ。

 

 僕が持っていたのはスマホ、時計、3色ボールペン、ポケットティッシュ。

 ユウタが持っていたのはスマホ、時計、財布、イヤホン。

 

 こういう世界の文明はたいてい地球のほうが栄えている。

 だからありとあらゆる物が原住民との大きなアドバンテージを得れるのだ。

 

 特にスマホは役に立つ。

 やはり電波は飛んでおらず機能はだいぶ絞られてしまうが、オフラインでも使える写真機能はここではそこらの魔法より使える。

 

 ユウタと他愛のない思い出話なんかをして1時間弱歩いたところで森に入った。

 森には()()()()()()()()()()()()ができていた。

 おそらくこのずーっと続く道の先に街があるのだろう。なんとなく街が見えるような気がしてきた。

 

 隣にいたのがユウタでなければあの野原で永遠さまよってたかもしれない。

 いつも側にいてくれてありがとな、と口に出すのは気恥ずかしいから心の中で言っておこう。

 

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