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第1章 優越感



パチッ...


小枝の燃える快活な音で目が覚めるカイト。


(、、、なんだ?、、あったかい、)


「、、んぅ」


*「起きたか」


「ここは、、確か俺は魔物に追われて、、」


*「そのまま気絶した」


カイトの後に言葉を繋ぎ、繋いだ相手を見て、再び気絶しそうになるが、何とか堪える。


「、、すいません2回も助けてもらって」


*「後は自分でどうにかしろ」


そう言って立ち上がりすぐさま何処かへ立ち去ろうとするが、立ち上がり後ろから付いて行く。


「せめて、お名前だけでも、、、」


*「名前はとっくの昔に捨てた」


「あの!転生の事について何か教えてもらえないでしょうか?俺向こうにたった一人きりの妹がいて、どうしても帰らないといけないのです、、」


*「俺も帰ろうとした、でも失敗した、それで何かもかも奪われた」


「帰ろうとしただけですか?」


*「そうだ」


ジーッ


最早命を助けて貰って、気絶した間も面倒を見てくれた目の前の人物からは恐怖心は何故か感じるものの、震えたりはしなくなったカイト。


*「何を見ている」


「あの〜、、差し支えなければ教えていただきたいのですが、あなたから感じる禍々しさや負の感情はなんですか?」


*「お前には関係ない」



*「もう行く、最後に忠告しておく、この世界を信用するな、自分の力だけで生きていけるようになれ、それと元の世界の事は諦めろ」


「あ!ちょっと!まだ聞きたいことがっ、、、」


フッ


目の前から一瞬で姿を消した転生者。


「行っちゃったな」


(何だったんだ?あの異質な感じ、、、)


カイトも森から離れる。日はとっくに沈んでいて真っ暗だが、光を出せるカイトにはなんの支障もなかった。


(にしても、だいぶ長い時間気絶してたな)


(その間守ってくれてたのか?どうなんだろう、まぁいいや!悪い人では無さそうだし、なにせ俺を2回も守ってくれたんだもんな)


(次会ったらちゃんと礼をしておかないと)


そしてそうこう考え事をしてると、家に着いた。


(ん?なんだか騒がしいな?)


ガチャ


「ふぅ、ただいま」


「「「「、、、、、」」」」


「どうしたの?みんな固まっちゃって、あ!ばあちゃんちゃんと逃げられたんだな、よかったよ」


部屋を開けるなり、お通夜の様な雰囲気の家の中でリビングに座っていた家族を見るなり、目をキョトンとするカイト。


「カイトちゃん?本物かい?幻覚じゃないよね」


「カイト?本当に生きてるの?」


「、、っふぐ、、んぐっ、、にーに」


「「「「カイト!!!(にーに!!!)」」」


カミラ、エリーゼ、爺ちゃん、婆ちゃんが一斉にカイトの胸元に飛び込んだ。


「ちょちょ、みんななんでそんなに人を死んだみたいに」


「だって、、お婆ちゃんから、、あんたはもうダメだって、、、お母さん心配で、、、」


「にーに!んぐっ、、ズルッ」


「ハハッ!よしよしエリー、ちゃんとにーには生きているよ、母さんもほら泣いてないで」


「本当に良かったわい、うちの婆さんもカイトちゃんが心配で心配で」


「何行ってんだい、、あんたも家を出てエリーちゃんと助けに行くなんて言い出したくせに」


「じいちゃんもばあちゃんも心配かけたね、ごめんね、ちゃんと俺が結婚して奥さん連れてじいちゃんとばあちゃんに見せるまで死なないからね」


「っ!!爺さんや、カイトちゃんも立派になってぇ、、私はもう死んでもいいさね」


「、、何馬鹿なこと言ってんだ婆さん、孫が約束守ってくれるのちゃんと見てやらんと、、」


結果ルドガーと、一緒に寝ているアルト以外家族全員ギャン泣きであった。


(本当に2回目の人生がこの家庭でよかった)


そして家族みんなで晩御飯を食べてる間も、エリーゼはいつも以上にカイトに懐き、母さんも隣でずっとおかずを俺の皿に入れてくれる。


「ご馳走さま、、ちょっとトレーニングしてくるわー」


「ダメー!どこにも行っちゃダメー!」


「カイト?今日お父さんとあなたが死にかけたのよ?せめて今日はお家で休まない?」


「大丈夫だよ母さん、家の周りを走って、剣の素振りをするくらいだからさ、それに魔物はもう死んだから、安全だよ」


「そ、そう?でも、もし万が一」


「魔物が死んで、いつもの生活が戻っただけだよ?すぐ帰ってくるから大丈夫」


そう言ってカミラにハグをするカイト。


「それじゃあ行ってくるね!」


バタン


カイトはランニングに出る。


(今日ばあちゃんの家の扉をこじ開けた時と魔物追われてるとき、一応試しで身体強化を使ったが、ちょっと練習すれば使えそうだな)


(それとさっき目が覚めてからずっと体からへんなモヤモヤがたまに出てくるんだけど何だこれ?)


体の表面から淡く光る魔力では無い何かのモヤモヤが偶に見え、変に思うカイトだが気にせず考え事をしながらランニングをした。



そしてランニングが終わり、素振りを500回やった後、魔法の練習をする。


(そうだな、まずはテレポートからだな、いつどこで誰に襲われても逃げれるように)


魔力を集中させる。


(目的地をイメージする、場所は徒歩3分の距離にある自分の家、、、)


「ンーーーーー、セイッ」


プシュン


スタッ


目の前の景色が突如一変し、見慣れた家の前に立っていたカイト。


「おぉぉぉぉ!!!出来たぞ!!」



試しに学校をイメージしてテレポートを使ってみる。


バシュン


「、、、失敗か」


(何が問題なんだ?距離に応じて難易度が増すのか?)


さらに集中して学校をイメージする。


(かなり魔力も練ったし、これなら!)


「セイッ」


プシュン


スタッ


「おぉー!校門の前まで行けた、よし!後はかえrっ!!」


魔力がごっそり持っていかれた。


(やべぇ、、めんどくさい事になったなー、走ってもう一回ランニングするか)


身体強化の魔力は少し残っているので、猛スピードで家まで走る。学校から家まで走って30分の距離を20分弱で到着する。


「ハァハァ、だいぶ慣れてきたな、今日はこれくらいにしておこうか」


そしてシャワーを浴びた後、ベッドにダイブして間もなく眠りについた。


そして珍しく朝妹たちに優しく起こされて、朝食をとった後学校へ向かうカイト。


「おはようーセニカー!」


「あ、おはようカイト?なんか雰囲気変わった?」


「そうか?まぁ昨日はすぐに帰って、色々と練習したからな、テレポートも使えるようになったぞ」


「もうテレポート使えるようになったの?凄いね!私は昨日とあんまり変わらないかな」


「そうか、ルフトの奴はどうだった?」


「それが先生が言うには、魔法の才能が結構あるみたいで、私よりも魔力操作が正確で、動く的にも的確に魔法を当てることができるの」


「へぇー、あいつにもそんな才能があったのか、ただの女たらしの馬鹿だと思ってたわ」


「あと先生にちょっかい色々かけて、その度に先生の授業の実験台になってたわ」


「やっぱり馬鹿だわ」


ジリリリリリッ


座学の授業を寝て過ごし、運動着に着替えた後修練場へと向かうカイト達。


「それでは今日の授業を始める」


「今回の授業は、前回結局2人欠席していたので詳しく話さなかったが、もう一度流派についてだ、これから言う事はこれから強くなっていく上で、欠かせない要素の一つでもあるため、誰一人欠けることなくしっかりと聞いてもらいたい」


「昨日、俺のほかにだれか休んでたのか?」


「アルベルトくんがいなかったわね」


「へぇ、どうでもいいや」


「最初に言っておく、色んな意見もあると思うが、俺は流派など取るに足らないと思っている」


「え?」


「セニカー怖い顔になってるぞー、まぁ理由もなく流派はいらないって言ってるわけではないと思うぞ、俺もなんとなくわかるからな」


「この中で流派を使っているのは1人を除いて、全員だ」


「また俺だけかよ、、、」


「その中の殆どがオルフォルト流だ。即ちここにいる殆どの者が、同じ戦い方をする」


「言ってしまえば、流派なんてのは作った奴が自分に合う技や動作を下の奴に教えただけに過ぎない、十人十色、強さに差が出る、同じ型を、同じ練習量こなしているのに何故違うのだ、簡単な話だ」


「ただそれが自分に合っていないだけだ、同じ流派で強い奴は何故強いのかは、単純に流派が自分に合っているからだ。セニカ!アルベルト!」


「「はい」」


「お前たちは同じ流派で実力もほぼ同じだが、何故セニカはアルベルトに勝てないか分かるか?」


「分かりません」


セニカが暗い顔で答える。


「それは単純に、オルフォルト流がお前の本来の才能を邪魔しているからだ、そしてアルベルトは元々オルフォルト流が本来の自分の戦い方に合っているからだ」


「アルベルト、お前は幼少期色んな流派の門を叩いたそうだな」


「はい」


「何故数ある力ある流派の中で最後はオルフォルトに行き着いた?」


「先生の言う通り、自分に合っていたからです」


「そう言うことだ、アルベルトは直ぐにその事に気が付き今こうしてこのクラスで1番強い。お前たちに言っておく!流派を習うのは良い、だが自分に合わない事は決してやろうとするな!自分に合うところだけを吸収して、アレンジを加え、なければ自分で作るのだ!そうすることでお前たちは立派な一人前の剣士になれる!俺が約束する!」


「「「はい!」」」


「それでは各自俺が言ったことを忘れないよう打ち合いだ」


自分達が信じてきた流派は価値のない物だと切り捨てられ、多少思う事があった生徒達だが、ヴァイスの話を聞き、それぞれの表情に曇りが消えていた。


「カイト!」


「あ、はい」


「話がある」


突如名指しで指名され、修練場の外に連れていかれるカイト。


「何があった?」


「何があったとは?」


「今日授業が始まってから、お前の雰囲気がおかしいことに気がついたのだ、昨日欠席していた事と関係あるのか?」


何かあったのは確かだが、ヴァイスの質問の先が見えないので取り敢えず何があったかを説明するカイト。


「あぁ、えーっと説明するとー昨日は親父が討伐しに行った魔物に返り討ちにされ死んだと思って帰ってー」


「クエートの町で騒ぎになっていたあれか」


「そうですそうです、そのあと親父が無事だと知って、クエートに預けていた、妹と弟をじいちゃんが連れて帰ってきて、じいちゃんを家に泊めようとしたら、ばあちゃんが心配だからと言って、俺が迎えに行ったら、そこに魔物がいたんです」


「どのような魔物だ?」


「えーっと確か、体長が3メートルあって、黒い毛に覆われていて、ツノが大きいのが二本、四足歩行でした」


「大きさからにタイラントべへモスか、そんな所に現れるような魔物ではないはずだが、、」


「あと、確か目が紫色に光っていましたね」


「なんだとっ!?」


突如カイトの答えにヴァイスが目の色を変えて、カイトの迫った。


「うわっ!ビックリしたー」


「そいつは今どこにいる!?」


額に汗を僅かに流し、焦りを含んだ表情でカイトに訊問するヴァイス。


「一応死にましたけど、、、」


「誰がやったんだ?」


「顔はよく見えませんでしたね、目を凝らしてもよく見えなかったし、名前もないって言ってました、ただ、、、」


「認識阻害の魔法か、、、ただなんだ?」


「その人を見た途端、そのべへモスって魔物がかなり震えていました、自分も走馬灯を見るぐらい恐ろしかったですけど、その後魔物はその人を襲ったのですが気がついたら瞬殺でした」


「っ!ありえない、、、」


「何がですか?」


落ち着きを取り戻した様子でカイトの肩から手を離すヴァイス。


「いいか?お前が遭遇したタイラントべへモスは普通のべへモスではなく、ヘルトラの大穴に生息すると言い伝えられている魔物だ」


「ヘルトラの大穴?何ですかその危なっかしいそうなもの?」


「ヘルトラの大穴、この世界の海の真ん中にある、裁きの穴とも言われている、かなり大きな空洞で、伝承では神が人間に与える超えられない試練がこの世界には2つあるのだが、そのうちの1つがヘルトラの大穴だ」


「ヘルトラの大穴は一般人では立ち入る事が禁止されていてな、何故かはお前が昨日出会した魔物が原因だからだ。ヘルトラには様々な魔物がいるが、全員統一して目が黒紫に輝いているのだ」


「て事は、俺が出会ったのはかなりやばい魔物になるわけですよね、、」


「あぁ、なにせ俺が本気で戦っても勝てるかどうかもわからない、竜種と同等か、もしくはそれ以上かもしれない」


「今思い返すと怖くなってきますよね」


「それよりもその魔物を怯えさせ瞬殺した者が気になる、、、そうか、そんな経験をしたのだな、どうりでお前から感じ取れるわけだ」


「何をですか?」


次の瞬間ヴァイスの口からとんでもない吉報が知らされる。


「闘気だ」


「え!?えぇぇぇぇぇ!!!」


「それくらいの経験をしたのだ、しかもその闘気かなりのものだな」


「マジですか!!??闘気!?やったーーー!!!」


先程の重苦しい雰囲気も一変、喜びのあまりその場を駆け回るカイト。


「喜びすぎだ、いつ死んでもおかしくなかったのに呑気な奴だな」


「うれしーー!!一年生で唯一俺だけ闘気を使えるんて、、、フッハッハッハッハ!ざまぁ見ろ七バカめ、とうとう俺がお前よりも上の土俵に立っちまったなぁぁぁ」


「心の声が漏れてるぞ」


「ハッハッハ、、すいません、それでこの闘気はどういう使い道があるのですか?」


「攻撃から身を守ってくれるだけだ」


「え?」


「そもそも闘気は死にそうな体験をして初めて出てくるもので、いわゆる人間が本来持っている防衛本能が具現化したものだ」


「練習する事は、自在に引っ込める様にするくらいだ」


「えー?大した事ないじゃんー」


ドゴォッ


突如、先生の拳が目の前に来て、気がつくと吹き飛ばされていたカイト。


「、、ゴホゴホ、急に何するんですか!?」


「お前を殴っただけだ、どうだ?大した事あるだろ?」


「え?、、、そういえば全然痛くないぞ」


「それが闘気だ」


「こんなにダメージ軽減できるんだな」


「取り敢えず、話したかったのはそれだけだ、練習に戻っていいぞ」


「わかりました、、、あ!後で打ち合いしてもらってもいいですか?」


昨日の練習成果を少し試してみるとする。


「構わん」


「それじゃあ先に失礼します」


そして嬉々とした表情を浮かべ、クラスメイトのいる広場に向かう。


「あ、カイト!なんて言われたの?」


「フッフッフッ、セニカ?どきたまえ」


セニカの肩にそっと手を置いて、通り過ぎるカイト。目的は勿論あの男。


「カイト?なんかすごいゲスい顔しているよ」


「おいバカベルト、貴様闘気は使えるのか?」


「訳の分からん事をほざいてる暇があったら、素振りでもしていたらどうだ?」


「アーッハッハッハ、やはりバカにはこの俺の強さが分からない様だな、見よ!この闘気!」


ブォンッ


「「「っ!!!」」」


何をしでかすのかと様子を見ていたクラスメイトの全員が一斉に驚く。そしてソレは目の前の男も例外ではなかった。


「き、きさまそれは闘気!?いつのまに!?」


「カイト!?闘気なんていつのまに!?」


「まぁバカなお前には一生得る事が出来ない力なのだ、アーッハッハッハ、セニカ、後で俺が特別に!お前にだけ教えてやろう!」


「あはは、、なんか今日のカイト変だね」


「では俺はこれから素振りと“闘気”の練習でもするかぁ」


闘気の部分だけわざと大きな声で言ってその場を後にする。


「ちっ、平民風情が、、」


(バカベルトのやつ悔しそうにこっちを見てやがるなぁ、カッカッカッカ、いや〜愉快愉快、闘気が使えるだけで、みんなのあの目、優越感とはこの事かぁ)


フッ


フッ


ブンッ


(あ、今音が変わった!)


(剣先まだ思うように止められないけど、少し振る時のコツを掴んできた)


ブン ブン ブン


ザスッ


「あ、ヴァイス先生!」


「よし、打ち合いをやるか」


「はい、、、今日は剣を持つんですね」


「一昨日のお前とは違うくらい気付いている、来い!」


すぐさま魔力を溜めヴァイスの背後にテレポートする。


スタッ


「テレポートか」


剣を振り上げ、カイトのいる位置まで、直ぐに距離を縮めようとした途端、カイトが右手に溜めた魔力をヴァイスに向ける。


「フラッシュ!、、からの、、オラァ!」


フラッシュで目を眩ませた後、足と剣に魔力を込め一気に距離を詰め全力の一撃を振り下ろす。


「甘い」

ガンッ!


魔力を上乗せした剣を受け止められた瞬間、直ぐに距離を取ろうとしたが、背後にステップをしたと同時に、前にステップをするヴァイス。


(やべっ!速すぎる!)


「終わりだ」

スッ!


剣を振り下ろし、頭の上で寸止めされた。


「やっぱつえーマジで」


「光魔法が使えるのか、珍しいな」


「はい、一昨日ファミル先生から適正属性を見てもらい、練習しました」


「久しぶりに光魔法を持つものと対峙した、いい動きだったぞ」


「やっぱり珍しいんですか?光魔法って?」


「割とそうでもないと思う、この学園の魔法学科の生徒の10人に1人ぐらいだ」


「えーそんなに珍しくないじゃん、つまんね〜」


「しかし闘気を纏えるのは俺の知る限りお前だけだ」


特別さがないと聞き、しょぼくれるが闘気の話で一気に機嫌が良くなるカイト。


「そうだ、昨日お前に渡そうと思っていた物がある」


そう言われ、魔法陣gs描かれた紙を14枚渡された。


「2週間分の身体負荷魔法だ、使えば1時間だけ効果を発揮する」


「ありがとうございます」


「それじゃあ他を見てくるから、引き続き素振りを、それと攻め方は悪くは無かったぞ」


「うっす!」


ブン ブン ブン


...


......



ジリリリリリッ


「よし、今日の授業はここまでだ、解散」


「「「ありがとうございました」」」


「カイトどうする?このまま第8修練場まで行く?」


「そうだな、ちょっとシャワー浴びたら行くわ」


「それじゃあ私も浴びてくるね」



修練場内に併設されている浴場でシャワーを浴びた後、修練場の外でセニカを待つ。


「ごめーん!待ったー?」


そう言って髪の毛がまだ少し乾ききっていないセニカが現れた。


「なんかセニカってモテそうだよな」


「き、きゅうになによ」


「いやー、なんか昨日死にかけた時に、走馬灯の中でセニカが出てきたんだよ」


セニカには授業の終わりに昨日の出来事を話した。かなり驚いていたが、結果無事だったのでよかったと、それが原因で闘気を纏ったのも納得していた。


「わ、わたしがー?」


「うん、それで改めてセニカって、綺麗だなーと思って聞いてみた」


「べ、べべ別に普通だよー、、お、お付き合いもした事ないですし、そのー」


照れるセニカを見て、ふと自分の口説いているとも見受けられる台詞を思い返し、慌て始めるカイト。


「お、おう、そうか、、、」


(やべ、、ついつい本音が口に、、)


前世では恋愛の一つもしてこなかったので勘違いされるような事をついつい口走ってしまうカイトであった。


「今日は何教えてもらおっかなー」


修練場に入っていくと、ファミルの姿が見えた。


「あら、早かったわね」


「あ、先生昨日はすいませんでした」


「あれ?先生、ルフトはまだきてないのですか?」


無断欠席を謝るとカイトに続きセニカは少し遅めに来たつもりの自分達より遅いルフト。


「あらあらセニカちゃん、昨日まで君付けで呼んでいたのに、もうそんな仲になったの〜?」


「ち、ちがいますよ〜、もうそんなんじゃないですから」


「何で俺の方見て?」


「あらカイトくん気づいてないの?」


「何がですか?」


「先生!もうからかわないで下さい!」


慌てた様子でファミルの口元に手を当てようとするセニカ。と同時に入り口からルフトが入ってきた。


「おはよ〜みんな、先生!今日もお美しいですね」


「お、ルフトお前今日もボロボロだな」


「まぁね〜うちの先生超厳しいから困ったもんだよ〜、、それよりカイト、母さんから聞いたけど、ルドガーおじさん大丈夫か?」


「あぁ〜何回目だこの質問、友達が少なくてよかったよ、、、」


昨日起きた事をルフトに説明する。


「大変だったなお前も」


「おかしいわね、そもそもなんでヘルトラの魔物があんな田舎町の森に出現したのかしら、、、」


「あ、そういや聞きたかったんですけど、認識阻害の魔法ってどうすれば解除できるのですか?」


「そうね、今のところ解除の方法はないわね、直接かけている相手に頼んで解除してもらうしか方法はないわ」


「そうか、、」


ジリリリリリッ


「それじゃあ授業を始めましょうか」


「みんな今日は何の魔法が聞きたい?」


「僕は先生の事をもっと知りたいです!」


「あ、そういえば俺も知りたいかも、教えるのうまいし、只者じゃない感はするし」


「私も知りたいです、実力と名誉がないとこの学校では教鞭はとれないのに、どうして誰も知らないのか」


「そうね、貴方達には教えてもいいわね、私の本名を、では改めて私の名前はファミル・エルグランド、エルフよ」


そう言うとファミルの耳に光が当たり、耳輪の上側が少し伸びていき、自身がエルフである事を明かした。


「「「え、えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」


「まさかこんな所でエルフに出会えるなんて!!」


「カイト凄いのはそこじゃないよ」


エルフという事に驚きを隠せないカイトに対して、驚きながら指摘するセニカに続くルフト。


「俺でも知ってるよ、この大陸最強魔道士、三賢王の1人!」


「あら、よくご存知で」


「あのあの!先祖返りって本当ですか!?」


セニカが嬉しそうに目を光らせながらファミルに質問をする。


「本当よ」


「何で耳は尖ってなくて、髪も金色じゃないのですか?」


「髪は先祖返りで元々この色で、耳は認識阻害で普通の耳に見せてるの」


「何でこんな所で教師をやっているのですか!?」


「んー、故郷の掟やらなんやらが窮屈で家出したの、そしたら外の世界の生き方を知らなくて、途方に暮れていたら、今の学園長に拾って頂いたのよぉ、後この事を知ってるのは貴方達と学園長だけだから他言はダメだからね」


「とんでもねぇ事聞いたな、、、」


「何で最初の授業は本名名乗らなかったのですか?」


「授業がめんどくさくて、この学校にああいう事があるの知っていたからわざと名乗らなかったのよ?」


「授業をサボろうとして嘘ついただけかよ」


「そしたら貴方達が残ったものだから、一応教えたけど、なかなか素質もあって、可愛らしいから気に入っちゃったわ」


「ま、まさか!今のは告白!?」


「間違えてもお前には告白しねーよ」


「ハハハ、私もう何が何だか、、」


驚き疲れたセニカが床にぐったりと膝を着いた。


「しっかりしろ、授業はまだ始まったばかりだぞ、もう一々凄いって驚いてたらキリがないぞ」


「そうね、凄い幸運に巡り会えた事に感謝しましょ」


「それじゃあ俺は今日は火属性魔法を教えてもらいたいかな」


「それだったら私が教えようか?」


「いいのかセニカ?先生に聞きたい事ないのか?」


「正直今混乱してて聞きたい所じゃないの」


「そうか、んじゃ頼むわ」


「ルフト君は私と、引き続き魔力量をあげましょうね」


「はい!ファミルさん!」


そしてカイトは、セニカから直々に火属性魔法の基礎教えてもらう事になり、ルフトはマンツーマンで教えて貰う。


「それじゃあまず右手に魔力を右手に集中させてみて」


「ほい!」


「その集めた魔力に、火をイメージするの」


(火か、、、燃える火をイメージ)


ボッ


掌に蝋燭の様に僅かに燃える火が出現した。


「お、ちょっと燃えた」


「そこから魔力を更にあげて、魔力を燃料にするイメージよ」


(なるほど、火を起こした後、魔力をガソリンのように使うのか)


ブワッ


掌から魔力を火に供給するイメージをし、流し込むと蝋燭の様な小さい火から、荒々しく燃える炎に変わった。


「おぉー燃えたー!!すげぇセニカ!分かりやすかったよ今の例え!」


「そう?」


「後はそれを放出すると初級魔法フレアになる

わ」


「よし、いくぜぇ!フレアァァ!!」


シュッ


ボォンッ!!


「いいねぇ!初めてちゃんとした魔法を使ったぜ!」


(そうそう!これだよこれ!これこそ魔法だよ〜!いいねぇ!)


「今日中に水と火を使えるようにしてやる!」


「任せてカイト、一からちゃんと教えるね!」


「おう!頼むわ!クゥ〜テンション上がってきたぜぇ!」



そしてそのまま順調に剣術と魔術を磨き上げ、一月が過ぎていった。



========================




バチンッ!!!


カイトの手から放たれたジグザグの光が的に直撃し、的を黒焦げにした。


「「「おぉ〜」」」


「このように片手に水と火と風の魔力を集中させ、魔力で振動させると、、名付けて初級雷魔法『エレクト』の出来上がり!!!」


「凄いわね、カイトくん」


「すげぇなどうやって思いついたんだそんなの?」


「んーと、たまたま複合魔法を使おうとしたらできた?みたいな?」


(全くの嘘だ、取り敢えずイメージは教えたのでこれで出来るだろう)


この一ヶ月でかなり魔法と剣の腕を上げたカイト。魔法のレベルは未だ初級だが一応他の2人と一緒で全属性は会得したのだ。


身体強化も強化レベルの限界が3倍なのだが、今では2倍まで引き上げる事ができ、テレポートも家から学校までの距離(25km)を2回往復できるようまでには魔力量が上がった。そして一番の収穫は収納魔法だ。これは所持品や荷物などを別の所から出し入れできる魔法で、上級者になると自分で空間を作りそこに収納できるようになるが、収納している数や重さ、時間などに比例していき、継続して消費する魔力が上がる。今は武器を任意の場所とタイミングで取り出せるように練習している。


剣の腕は今では他の生徒との打ち合い練習に混ざれるくらいのレベルまで到達し、昨日は初めて生徒と模擬戦をやり、闘気のおかげもあり見事勝てたのだ。


そして明日はアルベルトとの模擬戦がある。残念ながら未だにヴァイスからは一本も取れていないカイトだが。明日にはエレクトを試して、一本取るつもりのカイト。


この日は陰で練習していた雷魔法を初披露し、魔力量を上げるトレーニングと、収納魔法の練習で授業が終わり、次の日の朝...


取り敢えず長くなったので、ここまでにしておきます。

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