表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/127

第1章 エルグランド防衛戦 Ⅳ




ドガァン!!


「サリー!無事か!?」


爆風で舞い上がった土煙の中からフリーシャが受け身を取りながら出現し、隣で受け身を取り損ねたサリーに声をかける。


「うん!大丈夫!」


ドガァン!!


すぐさまヒールで傷を癒し、2人は目の前で後から爆風で飛ばされた短髪で、全身を重鎧で身を包んだエルフに声をかける。


「レイジェ隊長、このままでは押し切られます!」


「撤退だ!私がしんがりを務める間に皆を引き連れ下がるのだ!」


「サリー、お前はみんなと共に退がるのだ、私が隊長と共にしんがりを務める」


「いや!フリーシャが行くなら私も」


「サリー」


「隊長!私もしんがりを!」


「今のお前は足手まといだ、大人しく退がれ」


「行くぞサリー!」


「、、、、」


他の隊員に連れて行かれ、撤退を余儀なくさせられるサリー。


「おやおや〜?もうお遊びはお終いですか〜?」


滞空しながら曲刀を持った腰まである長い髪の男が地面にひらりと着地する。


「安心しろ、お前が死ぬまで私が付き合ってやる」


「それはそれはとてもお優しい事で〜、3分は保って下さいよ〜」


「悪いなフリーシャ、最後まで付き合わせてしまって」


「いえ、隊長、、姉さんだけには任せられないですから」


「任務中だ、バカ者」


『天魔装』


『天装』



======================



((どうだアッシュ、魔力の回復は))


((加護のおかげでもう半分だ、便利だなこりゃあ))


「13隊の所まであとどのくらいですか?」


「このまま走っていけば後5分で着く、、、ん?」


前方の方から7人のエルフがボロボロになりながら歩いている。


「おい!お前たち!13隊の者か!」


「ランザード隊長ですか、、我ら13隊の隊員は撤退を余儀なくされて、今はレイジェ隊長とフリーシャ副隊長がしんがりを、、」


「状況はわかった、にしても酷い怪我だ、お前たちには第8のヒーラーを1人付けるから、動かずここで休んで、後は俺たちに任せるんだ」


「オスロット隊長、ランザード隊長、、どうかフリーシャと隊長を助けて下さい、、、」


「あぁ、必ずレイジェとフリーシャは助ける、心配するな」


いつも気楽で元気なサリーがボロボロになりながら目に涙を含み、必死に両隊長に懇願する。


「こうしている間にもレイジェとフリーシャが戦っている、すぐに向かうぞ!」


第8の部隊にヒーラーを1人置いていきすぐさま第13の隊長達が戦っている場所へと急ぎ足で向かう。




======================




『ネロ・ライトニング』


ズガァン!!!


『巳鏡の盾』


レイジェが呼び出した天装、巳鏡の盾は放たれたあらゆる魔法を跳ね返すが、これまで幾度となく盾で跳ね返された事を経験したい魔族は、技と盾を使うように仕向け、盾を前方に構えた途端背後から空間魔法で現れる。


「それっ!」

ガキィン!


2本の曲刀で突き刺そうとするが、フリーシャがカバーに入り不意打ちは失敗に終わった。


「いいですねぇ、その体が私の物になると想像するだけでもうっ!」


『エクスタシー!!』


魔族が叫び出した途端、空間にヒビが入る。


「おっと失礼、、ついつい喜びのあまり、、ホホッ」


「姉の中にお前が入るなんて、私の手で姉を八つ裂きにした方がまだマシだ」


ガシッ


「あくびが出そうになる剣筋ですね〜」


「ならば永遠に寝ていろ」


『ララバイ』


「ふぁ〜、なんです、、急に、眠気が、、」


魔族の瞼がゆっくりと下がっていき、やがて立ったまま眠りについた。


『サウザンドアイス』


千の数に及ぶ武器を瞬時に氷で造形し、ターゲットを捉える。


ズガガガガガッ


「どうだ、、はぁ、はぁ」


やがて砂煙が消えると、そこには串刺しになった他の部隊のエルフがいた。


「ゴフッ、、」


『スケープゴート』


「こっちですよ」


「なっ!!」

バキィン!!


「盾がっ!」


「姉さん!」


盾が破壊され、レイジェの横からカバーに入るフリーシャ。


「バカ者!来るな!」


「ま〜ったくおバカさんですねぇ」


『螺曲刃』


渦巻き状の斬撃がフリーシャに飛んでいく。


『スイッチ』


ブシャッ!!


「ガハッ!!」


「姉さん!!」


レイジェは自分とフリーシャの位置を無属性魔法テレポートを応用した位置の入れ替えの魔法で身代わりになる。


「なんとも見ていて反吐が出そうな姉妹愛ですねぇ〜」


両膝をつくレイジェ、長い髪を左右に揺らしながら魔族がレイジェの目の前まで近付き右手を額に添える。


「やめてぇー!!」


「そこで見ていなさい」


『シャドウプリズン』×『ソウルイート』


フリーシャを影に閉じ込め、瀕死のレイジェの体を乗っ取りに行く魔族。


「させねぇぞオラァ!!」


レイジェの横にある茂みの中からオスロットが爆速で魔族に走り込み、大鎚を魔族の頭部目掛けて振り下ろす。


「回復魔法が使える者はすぐさまレイジェの回復に、他の者は俺とオスロットの援護だ!」


ランザードが茂みの奥から声を上げて、指示をする。


『ライトヒール』


テレポートでレイジェに近付き、即座に腹部を貫通した箇所に集中してヒールを当て回復をするカイト。


「今僕に出来る範囲は止血ぐらいです、止血を終えればテレポートでファミル先生の所までお連れします、それまでなんとか持ちこたえてください」


目が虚になるレイジェに話しかけ意識をなんとか保たせるカイト。


「あらあら後もう少しの所でそのエルフの体を奪えていたのに、、、」


「よくも俺の女に手を出しやがったなぁ、覚悟しろクソ野郎!」


オスロットが自身の恋人であるレイジェの姿を見て、怒りを露わにする。


『陸速』


オスロットの姿が消え、次の瞬間には魔族の目の前まで大鎚を振りかざしていた。


『影流し』


魔族がオスロットの速度に反応し、影でオスロットの大鎚を受け流そうとするが、速過ぎて流せないとわかった魔族は瞬時に影の中に潜り込む。


『ガイアクラッシュ』


ドゴォン!!


半径10メートル大のクレーターが出来るが魔族の姿はどこにもない。


『サモンズゲート』


空に突如空間が広がり、中から大量の魔物が現れる。しかしどの魔物も今のオスロットでは止めきる前に生き絶えていくが…


ガキィンッ!!


「なっ!」


オスロットの陸速を角で止めたのは魔獣タイラントべへモスだった。


「ふぅ、なんとか止血は終わった、後は」


「、、ろ」


「何か言いましたか?」


耳を近づける。


「ぅしろ」


((アッシュ!))


ガキィン!!


即座に後ろを確認せずアッシュを呼び出し、魔族の不意打ちを躱す。


「ランザードさん!こっちです!」


他のみんながオスロットとべへモスの戦いを見ている最中、オスロット以外の全員が此方を振り向く。


『テレポート』


すぐさまレイジェをファミルの元に連れて行くカイト。


「先生!後は頼みます!」


「えぇ」


シュンッ


すぐさま戦場に戻るカイトアッシュ、ラゼッタ、ランザードは魔族と奮闘しており、オスロットは魔獣と交戦。影に囚われているフリーシャを見つけ、すぐさま駆け寄る。


「姉は無事か!?」


「姉?、、あぁ!今はファミル先生に診てもらっていますので多分大丈夫かと、、」


「よかった、、」


「にしてもこの檻どうやったら、、」


「内側からは魔力が使えない、光魔法でどうにかなる筈だ」


『ライトスラッシュ』


「おぉ、、これだけでいけるのか」


「助かった、礼を言う」


「すぐに加勢に向かいましょう、僕はオスロットさんの所に行きます」


「それじゃあ私も」


「あなたはランザードさん達の方に、13隊はあの魔族と交戦していたので情報共有した方が良いかと」


「そうだな、それじゃあまた後で」


「はい」


オスロットの方へと向かうが、ランザード達でさえオスロットの足手纏いにならない様に傍観するしかなかったのにカイトはあの戦いの中にどの様にして介入するのが正解かを探る。


(取り敢えず今はオスロットさんの攻撃パターンと相手のパターンを冷静に分析するんだ、、)


オスロットがべへモスの突進を大鎚のブーストで避けた後、背後に回り大鎚を振りかざすが、べへモスは後ろ足で蹴りあげる。


なんとかガードしたがオスロットが身体ごと吹き飛ばされ、大鎚のブーストが切れる。


壱速から入れ直し、少し時間が経つとまた元の速度に戻るが、またしてもべへモスの攻撃でブーストが切れるのを見てカイトは思い出す。


(車みたいだな、、1速から入れて走り出す車みたいなもんか、いきなりトップスピードを出せないのは体に負担がかかるからだろ、現に最初猛スピードで敵に飛び込んだ後に息が乱れていたからな)


(1から3速あたりのスピードなら俺でもまだ動きが見えて追いつける範囲だ、狙うとしたら次にブーストが切れた時だ)


直後、魔獣の角を一本オスロットがへし折るが、無理矢理入れた一撃だった為、多少のダメージを負うオスロット、そして大鎚そ壱速から入れ直そうとするが、角を折られた魔獣が怒りに身を任せオスロットに突撃する。


(今だ!)


観察中ずっと魔力を溜めていたカイトは闘気を練り込みテレポートで魔獣の背中に乗り込み魔法を放つ。


『ボルテックス』


自身の体から放出された大量の電気は巨大な魔獣の体の全身を感電させた。


「今です!」


『陸速』


カイトの掛け声と同時にオスロットが一気にトップスピードで勝負をかける一撃を放つ。それに合わせ、カイトも地面に降りて魔獣の腹部の狙いを定め剣に魔力を込める。


『デストロイスマッシュ』


『八風刃』


魔獣の顔を地面に叩きつけ、腹わたを抉り出す。


「ふぅ〜、、もう魔力切れです、、」


「よくやったカイト、、助かった」


「後は向こう側が上手くやってくれれば」


「俺ももうダメだぁ〜!二回無茶したせいで足に力が入らん」


(急に思ったんだけどエルフでハンマー使うって珍しいな)



「おや?あちら側はどうやら終わった様ですね」


『よそ見してんなよ!』


『天烈脚』


「どこを狙ってるんです?」


『ミラージュドーム』


アッシュ達の周りを巨大なドームで覆う。


「フリーシャ!」


「この技は相手の姿、魔法や技の幻影を見せて撹乱させてくる技です、姉に魔力眼があったので対処は姉がしてくれたんですが…」


『めんどくせぇ、ドーム自体を破壊しちまえばいいだろ』


「試そうとしたのですが敵の攻撃に阻止されて何も出来ませんでした」


『おっさん!お前上級の光魔法使えんだろ、俺が守ってやるからその間にこのめんどくせードームぶっ潰せ』


「分かった、10秒だけ頼む」


ランザードはアッシュに言われるまま魔力を集中させる。


10


『他の奴もだ!おっさんを何がなんでも守れ!』


フリーシャとラゼッタ、第8隊員3名が構える。


9


『螺旋刃』


4方向から同時に剣撃が飛んでくる。


『風車』


バキィン!


『風ノ羽衣』


ビュインッ


『烈拳』


バキィン!


『エアリアルブレイド』×2

『フレア』


バゴォン!


8


「なっ!」


「4つとも本物?」


「その通りです〜今の私はエルフの肉体を得て、更なる境地に達したのです!」


7


「まだまだ踊り続けなさい!」


『ネロ・プロミネンス』


今度は6つ同時に真上から黒い火球が現れる。


『非天ノ構え』×『破天』


『ドラゴンフォース』×『ドラゴンロア』


『ケオ・メイルシュトローム』


『ケオ・アイスバーグ』×3


6


「くっ、もう魔力が、、」


「俺も、、」


「私も悔しいけど、、」


第8の隊員が魔力切れを起こし、次々とその場で膝をつく。


5


『サモンズゲート』


巨大な空間からまたも20体近くの魔物が現れる。


『オラァオラァオラァ!!』


アッシュが先陣を切って魔物達に突撃する。それを援護する様に、フリーシャも後を追う。


4


「全く〜おバカさんですねぇ〜」


突如ランザードの背後から魔族が現れ、ランザードを曲刀で攻撃するも…


ガキィン!!


「結界ですか、、こんなもの」


バキィン!


『ライジングドラゴン』


「お返ししますよ」


『影流し』


「キャアア!!」


技をそのまま跳ね返され吹き飛ばされるラゼッタ。


3


「終わりです!」


2


『残波羅』


魔族はランザードを滅多斬りにした。


1


ブワン


「おや?」


「俺の事をお探しか?」


『奥義・退魔ノ光刃』


「なっ!」


『影ながっ「おそい!」


ズンッ


バァァァァン!!


瞬時に魔族は影流しを使おうとするが技を使う前に右の肩に斬り込み、右半身が光熱により跡形もなく消える。


「クソッ!向こうの技がギリギリ間に合ってトドメになっていない!」


「ありがとうリリー」


「はなからドームを破るつもりは無かったのですね」


『いーや、はなから壊す気だったぜ、ただうちのラゼッタとおっさんが機転をきかせたんだ、舐めてかかるから痛い目見るんだぜ?それに安心しな、踊りはまだ終わってねぇからよぉ』


ズパァン!!


「ゴフッ」


「姉の体を乗っ取ろうとした罰です」


ドゴォ!


「あたしは何もないけどノリで?」


グサッ


「お前たち、、瀕死の相手に遊びすぎだ、とっととファミル様の所に連れて行くぞ」


ドゴォ!


腹部に拳をめり込ませ魔族を気絶させるランザード。


(やっぱりストレス溜まってたんだねランザードさんも)


心の中でランザードに同調するラゼッタであった。


「カイト!」


「はい!」


「俺はもう魔力が殆どない、コイツをファミル様の所に連れて行って貰えるか?」


「分かりました」


カイトが魔族をテレポートで連れて行こうと手を伸ばした瞬間…


ズドォンッ


「んぅ〜〜〜、、あぁ!よく寝た〜」


「敵だ!」


「敵だ!って事はやっぱ敵なのかお前ら」


ランザードとカイトの横に上空から現れた男にアッシュは即座にカイトを守りに駆け寄る。


『気を付けろ!まだ憑依をしてねぇが、今まで戦った奴らとは違うぞ!』


「どこ見て喋ってんだ?」


背後から声がし、後ろを振り向くも、また別の方から声が聞こえてくる。


「消えた?」


カイトが小声で呟く。


「いや、目に見えない速度で移動しているだけだ」


ズザー


「ふぅ、準備運動は済ませたしやるか!」


『破天』


ガシッ


ズドォン!!


アッシュの技をもろに掴んで吹き飛ぶ魔族はカインとリューゼと共にいて寝ていたジールであった。


「なんだその技、おもしれぇな」


『だったらもう一発くれてやるよ!』


『破天』


技を放ったのはアッシュではなくジールであった。


ズドォン!


まともに技を喰らったアッシュは四散し、カイトの中へと戻っていった。


「アッシュが一発で、それに技を」


「よそ見してていいのか?」


カイトの目の前にジールが現れ腹部に拳がめり込み、そのまま大きく吹き飛び、カイトから見た景色が瞬時に遠のく。


「グッ、、、」


拳が当たる直前で闘気を無意識に腹部に集中させたが、闘気の防御をもってしてでも体が全身痛む。


『五月雨突き』


ラゼッタが高速で槍で突くが、全て紙一重で避けられ、槍を掴まれる。


『参速』


槍を掴んだ瞬間、オスロットが少し無理をしてのスピードでジールの真上に現れる。


『五月雨突き』


ラゼッタの槍に電撃を通し、槍を奪った直後に先ほどラゼッタが放った技をコピーし、現れたオスロットに向けラゼッタよりも早く精密に突いてオスロットを吹き飛ばす。


『ケオ・ブレイド』


「やっぱり連戦だからキツイか?」


吹き飛ばされているオスロットの後ろから飛んできたランザードがジールに向け技を放つがあっさりと避けられ柄の底で腹部を突かれそのまま倒れる。


「隊長2人が一瞬で、、」

「こんなの絶対に無理だ、、」

「、、、、」


第8の隊員は信頼している自分達よりも遥かに実力のある隊長格の2人がなす術なく倒れていく様に絶望し、武器を落とす。


「なんだもう終わりか、、取り敢えずエルフは回収してー」


空間魔法にランザードとオスロットを放り込む。


「お前達はダメだ、戦う気がねぇ奴に用はねぇよ、しっし!」


回収しながら第8の隊員に向けどこかへ行くように手で追い払い、すぐさま逃げ出す第8の3人。


ビュンッ


ズサッ!


ラゼッタの持っていた槍を投擲し、一度に3人を突き刺し、殺すジール。


「はっは、逃す訳ないだろー」


『テレポート』


シュン


ラゼッタの目の前にテレポートし、すぐさま回収を試みようとするカイトだが、ラゼッタ体に触れようと下を見た瞬間に、自分とは別の影が頭上にあった。


ガキィンッ!


「ぐっ、、」


「いい反応だな」


ブゥンッ


『震残』


体を左右に震わせ、相手に次の攻撃を予測させない動きを取り、『狼爪』を放つが相手に素手で剣を受け止められる。


「こうか?」


『震残』


「うっ、、」


「使いすぎには注意するんだったな」


『テレポート』


「先生!」


「、、、」


「先生!?」


「ん?あなたは確か女王様の生徒さん、、」


「ファミル先生はどこに行ったんですか?」


「落ち着いて下さい、もう安心していいですよ、つい先程戦場を終わらせに向かわれた所です」


エルフの民は戦争が終わっていないにも関わらず、楽観的な表情でカイトの肩に腕を乗せそう言った。


「そうですか、、」


それは完全に自分達の女王の実力を信頼しきった上での余裕であるが、カイトにはファミルの実力を知らないので心配だったが、自分に出来ることは全てやりきったので、ラゼッタを診療所へと運び、魔力の回復に専念する。




======================



「ある程度数が減ってきたわね」


上空から戦場を見下ろすファミル。つい数時間前まであった美しい故郷は見るも無残な場所へと変化していた。


周りの木々は燃え上がり、黒煙が上空を覆い、悲鳴、苦痛、絶望の声が辺りから聞こえてくる。いくら掟に縛られ嫌いで出て行った故郷でも、ファミルにとってはかけがえの無い自分の家族の安住の地であり、育った故郷だ。


「ここまでされて、何も出来なかった自分に対して久し振りに頭に来るわね」


少し高度を下げ、魔族の魔力を感知する。


『フォーステレポート』


残りの10体の魔族を強制的に自分の任意の場所にテレポートさせる。そして同時に残っている第3と第12の隊長を2人を自身の両脇にテレポートさせる。


「敵が消えたと思ったらファミル様でしたか」


ファミルの右の位置にテレポートさせられたのは、小柄で、その小柄の体と同じ大きさの黒い木でできた杖をついた、ファミルを除いては魔法では右に出る者はいないと言われるほどの魔法の達人、先代から護衛隊で現役を貫いている老兵第12の隊長であるビヒメル。


「、、、流石です」


左の位置にテレポートされた口数が少なく、血まみれの薙刀を手にして、今回の戦争でノイドに次いで活躍を見せたレイゼン。


「ちょうど2個だけ持ってたからはい」


豊潤な胸から光る液体が入った容器をレイゼンとビヒメルに放り投げ、2人が液体を飲み干す。


「、、、全開した」


「100歳くらい若返った気分じゃ」


3人は眼下にいる10体の魔族の目の前まで降りる。


「やっと大将自らがお出ましって訳か」


最初に啖呵を切ったのはジールであった。


「あなた達が派手に暴れまわるものだからね、それに貴方達には聞きたいことがあるのだけど」


「お前達とする話なんかなーいよっ」


ブゥンッ


10体の魔族の中の1体が高速でファミルにワンステップで目の前まで近づく魔族は、ムン婆を襲いカイト達をてこずらせた薄紫色の髪の魔族で、今はエルフの体に憑依をし、エルフの隊長格でさえ苦戦を強いられる程の強さとなっていた。


「それっ!」


レイゼンとビヒメルには高速で動いている魔族を目で捉えきれていたが動じない。


チュンッ


そしてレイゼンとビヒメルが予想していた通り、ファミルに攻撃が当たる前に、チュンと音がし、この場から消えていった。


「先ずは1匹ね」


「何をしやがったんだあいつ、、」


リューゼが驚いた様子で口を開く。


「今のはコピーのしようがねぇな、、」


「質問の答えを聞けていないのだけど?」


「俺たちが話すとでも?」


「話してくれないのかしら?」


「当たり前だ」


「じゃあ話は終わりね」


『ホワイトノヴァ』


話が終わった瞬間、ファミルの目の前に5つの巨大な魔法陣が現れ、目の前を光線で焼き払った。


「グッフ、、」


「後8匹ね」


即座に8体の魔族が反応し避けたが、1体だけが転送される前にレイゼンとの戦いで消費していた為、魔法を直撃し、瀕死になって倒れる。反応し魔法を避けた魔族はそれぞれ瞬時にコンタクトを取り、配置に着く。


「、、、少ない」


「お前、、強いだろ!」


不満を漏らすレイゼンの前にジールが立ちはだかる。



「ワシ相手にも1人か、、」


「寧ろやり過ぎなくらいだよジジィ」


ビヒメルの前にはリューゼ。そして残りは全て四方からファミルを取り囲んでいる。


「それじゃあ始めましょうか」






















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ