第1章 修学旅行2日目 Ⅳ
『竜爪』
ガキィン!!
「くっ、、」
「大丈夫か!ファリア!」
「ラルフ後ろ!」
「戦ってる最中に会話か?随分と余裕だな」
ガキィン!!
「くっ!」
「アルベルト!ここは私に任せてカイト達の所に!」
「バカを言うな、相手は大人2人だぞ」
「大丈夫!なんだか嫌な予感がするの!ここは私1人で絶対なんとかするから!」
「いいのか本当に任せて?」
「えぇ!」
「すぐに終わらせて戻る、それまで絶対にやられるなよ」
アルベルトはラゼッタに後を任せ、カイト達の救出へと向かった。
「これでも大陸四貴族の内の長女よ!」
『五月雨突き』
『アイゼンシールド』
ガァンッ!!
バチンッ!!
「流石に大人相手に1人は調子に乗りすぎだろ」
「あんまり大人をなめないほうがいいわよ?」
ラルフ土魔法の属性変換である鉄魔法の盾で槍を弾かれ、バランスを崩したラゼッタに炎を纏った鞭が襲いかかるが、弾かれた勢いを利用し後ろへとジャンプする事でなんとか避けた。
(本気で行かないとまずいわね)
『ドラゴンフォース』
「なんだと!?その技と額の紋章、、スレイニル家、、、」
「なぜこんな所に…」
『ライジングドラゴン』
槍を地面に投げると、地面が竜が登り2人を飲み込み爆発する。
ドォン!!
シュウゥゥゥ
「ゴホッゴホッ」
「ファリア!!」
『竜牙』
ガキィン
とっさに鉄の壁を作るがすぐに突き破る。
「こいつっ本当に子供かっ!?なんて力なんだ!」
「ヤァッ!!」
『アイアンメイデン』
穴の空いた鉄の玉に突撃してきたラゼッタを閉じ込め、鉄で作った針を穴に突き刺す。
ギギィ
しかし突き刺した針は穴を少し通った所で止まっている。
『竜翼』
バキィン!!
「ちっ、、竜の力を借りて戦うってのは本当みたいだな、、」
『サラマンドウィップ』
バチィィン!!!
背後から真っ直ぐに伸びきった鞭がラゼッタを捉える。
「ガァッ!!」
『アイゼンプレス』
鉄の壁が左右から押し寄せる。
ガァン
槍を横に持ち、壁を止めた後上にジャンプする。
『アイゼンオックス』
上空からラゼッタが飛んでくるであろうと予め予想していた位置から斧が振りかかり、ラゼッタに直撃する。
「ガハァッ、、、ハァハァ、、」
「ふぅ、全く手こずらせやがって、怪我は大丈夫か?」
「もう治ったわ、それより早く連れて行きましょ、さっきアジトの方へ行ったあの坊やが気になるわ」
「あぁ、、悪いが保険はかけさせてもらうぞ」
ラルフが手を伸ばし、魔法を使おうとした瞬間。
((準備できたわリリー!))
『幻惑解除』
ブワァ
ファリアとラルフを中心にラゼッタを含んだ周囲の破壊された木々や抉れた地面がはラルフがアイアンメイデンを発動した後の状態のままであった。
「いつのまにか幻惑を!?まずい!ここから離れろ!」
『ドラゴンロア』
「間に合わない!」
『アイゼンウォール』
鉄の壁が3枚現れるが、勢いを落とす事すらなく壁の後ろにいたラルフとファリアごと破壊する。
「たった1発で魔力が、、、くっ」
その場に倒れ込み大量の魔力の消費で気を失うラゼッタ。
場所は変わりルフトが戦っている位置から遠く離れた場所でカイト達は一時休息をとる。
「はぁ、はぁ、、宿場まで後どれくらいだよ、、、」
「もう少ししたらまた走るぞ!」
ガサガサッ
「なんだ!?また新手か!?」
木陰から物音がする。
(正直今新手が来られたら全員をかばいきれない、どうする、、)
「あらあなた達は?」
「あ!リリア!」
「ゼシカ!?何でこんな所に!?先生もみんな探してたわよ!」
「ツリーアイランドで迷子なっちゃって、気がついたら知らない場所に他の学科の子と一緒に捕まえられてたの、それでね!剣術科の人達が助けに見てくれてたの!」
「あらそういえばあなた大会の本戦で私を倒した剣術の方じゃない」
「悪いが今はそんな話ししてる場合じゃない」
「見るからに逃げてきたのね、安心しなさい!私が来たからには追っ手の心配は必要ないわ」
「なぁ、あんた確か本戦で魔法コピーしてただろ?例えばだけどこの刻印を見ただけでコピーして解除とかできないのか?」
「今はそれよりみんなを宿場に連れて行くのが先決よ」
「頼む!もし出来るなら解除してくれ!俺の友達が今戦っててすぐにでも助けに行かなきゃいけねぇんだ!」
「あなた状況は分かってる?今は悪いけどそんなkっ」
「お願いリリア、この人の願い聞いてあげて、私達はもう十分助けられたし、それにこの人の仲間が私達を逃してくれた時のこの人の表情とても苦しそうだったの、だから私からもお願い」
「俺からもお願いだ、もう十分助けてもらったんだ」
「拙者も行きたいがこの状態では足手まといでござる、だからカイト殿にセニカたんを守らせてやって欲しいでござる」
他の学科の生徒も続々とカイトの願いを聞き入れて欲しいと言い出す。
「貴方達がそう言うのなら仕方ないわ、ちょっと手を貸してみなさい」
「わがまま言って悪いみんな、ありがとう、助かる」
刻印をつけられた場所を見せる。
「少し時間は掛かるけど問題ないわ、少し痛むけど我慢なさい」
リリアが魔法を唱え始めると、刻印が光り出す。
「グアアアァァ!!」
「どうするやめる!?」
「いいから続けてくれ、、気にするな」
それから10分後カイトの身体から刻印が消え自分の身体の中の魔力の流れを感じ取ることができた。
「ハァハァ、、んのやろぉ、反撃開始だぁ、、後は任せていいか?リリアだっけ?」
「これで恩は返したぞ、後は私に任せて構わない」
「んじゃあ頼む」
身体能力をフルに上げ、まずはルフトの元へと向かう。
10分前、リリアがカイトの刻印を解除する前。
『烈風刃』
竜巻で自信を回転させ、無数の風刃を飛ばす。
『影落ち』
影に身を隠し、ルフトの背後へと忍び寄る。
ブフォン!!
「ちっ、、厄介な精霊だな、だったら」
『シャドウクローン』
ザトーの影がフラフラと起き上がった。
「クローン、、ただのクローンじゃないな」
『シャドウダイブ』
影とザトーがルフトの影に入る。
『上刻印・同体』
影からルフトの足元から伸びる。
「おっと、、それはいくらやっても当たんないよ」
槍を地面に突き刺し、上に飛ぶ。
「もらったぁ!」
「やべっ、」
上に飛んだ瞬間、ザトーの影がルフトの影から飛んできた。
『風衣』
((ありがとう!フィス!))
『トルネイド』
ザトーは竜巻を発生させ、すぐさまルフトを守っていた風が打ち消される。
「なっ!」
「今度こそぉ!」
ドッ
ルフトの身体から何かが抜けて行く。
「やっべ、当たっちま、、ぐっ!」
ルフトの影に短剣が刺さっている。
「これで終わらせてやるよぉ」
『影星ノ舞』
『大車輪』
槍を振り回し、目に見えない速度で放たれる短剣の舞を跳ね返して行くが、油断した隙に影を攻撃される。
「このままじゃ、、」
((フィス!準備はできた!?))
フィスを見ると、軽く頷いた。すぐさま後ろへ飛び、距離をとるが、ルフトの影の中に身を潜み近づいてくる。
『風魔手裏剣』
近づいてくザトーとその影に手裏剣を放つが避けられる。
「終わりだぜぇ」
「くっ」
『暴嵐の社』
フィスの翼から放たれた風刃はザトーの影に直撃した途端、旋風が巻き起こり風に巻き込まれたルフトとザトーは身体中が切りきざまれる。
「はぁ、はぁ、、」
(風衣を使ってなかったら危なかった、、っつってももう、、立ってられな)
ドサッ
「ふぅー、ふぅー、、んのやろぉ、自分ごと派手に巻き込みやがってぇ、、殺してやるぅ、グフッ」
一歩ずつ、ゆっくりとルフトに近づいて行くザトー。
「うぅ」
魔力が底を尽きフィスも消える。やがてザトーは倒れ込んでいるルフトの目の前までくる。
(ここで、、死ぬのか?)
短剣を振り上りあげ、ルフトの喉元に振り下ろす。
バサッ
「なんだ!?この気配、、上から!?」
「おおおおら゛ぁああああ!!!!」
「ぐっ、、、んんんんらぁあああ!!」
ズドォン!!!
「、、カ、カイト?」
煙から姿を現したのはカイトであった。しかし、ルフトが見ている目の前の人物は今まで一緒に育った幼馴染とは少し違う雰囲気であった。
しかし、直ぐにそれがただ単に自分の知らなかったカイトの一面に過ぎないと知った。その雰囲気の正体はルフトが今までに見た事ない親友の怒りであった。
「持ちこたえてくれたありがとうなルフト。もう安心しろ」
そしてすぐさま、他の場所へと向かう。