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第1章 修学旅行2日目 Ⅰ



ラパダイス島へと向かう航海中、多数の魔物が現れたが難なく船員の人達によって退治されていった。勿論カイトも退治に参加しようとしたが、当然ジルが許すはずもなく、ただ見ている事しか出来なかった。そして1日船の上で泊まり、いよいよ到着の朝。



「後2、3時間で着くわ、それまで大人しくしてるのよ」


「「「はーい」」」


「船の中も全部見回ったし、なーにしよーかなー」


「カイトー、こっち来て遊ぼうぜー」


「おうー、今行くー」


取り敢えず、島に着くまでの暇つぶしをクラスメイトとカードゲームをしていると。


ガタンッ


「うぉっ、結構揺れたな」


「また魔物かな、大変だよな船員って、寝る暇も無く交代で魔物の警備やってるし」


「だよなー、すげぇ大変そうだもん、この前の魔物とか怪我人が出たらしいしな」


「元々そんなに、魔物が出るような海じゃないのにな」


「もしかしたら、この前の闘技大会で出てた救世主の3年の人が関係してるんじゃね?」


「もしかしたら関係あるかもねぇ、だってぇ、古文書に書かれてる救世主が現れる時ってぇ、世界に危機が訪れるときだしぃ、もしかしたら魔物の活発はその前兆とかぁ?」


「嫌だな〜なんでこんな時代に生まれたんだろ」


ガァンッ!!!


「うあっ!!なんだ今の揺れ!?」


「ちょっと見てくる」


「おいカイト!外に出たらダメだって」


「大丈夫だよ、バレないバレない」


そう言ってカイトはクローンを出し、外へと出ると。


「うぉー、こいつ絶対クラーケンだ」


先ほどの揺れと衝撃の正体は船全体に触手を絡ませた巨大なイカだった。


「まずい!!デールが倒れてる!あいつがやられたら舵取れねぇぞ!」


「でもあんな魔物が守ってると何も出来ねえよ」


「お任せ下さい」


「ん?嬢ちゃん坊主たちの先生だろ?怪我しちまったらどうすんだよ!」


「流石にこれほどの魔物が出たら私が出た方がいいでしょう、皆さんは避難していて下さい、あの人は私が助けます」


「お、おう、悪いな、頼むぜ後は!お前ら全員後は嬢ちゃんに任せるぞ!」


「ん?あれはジル先生じゃん、どうしてこんなとこに?てか戦えるのか?」


ジルは腰に携えた剣を抜き、魔物に飛びかかる。魔物は触手を伸ばしジルに攻撃するが、全て斬り落とされる。


『斬破』


斬撃を飛ばした瞬間、魔物は海に潜り込み、姿を消した。


「ん?退治したか?」


ザバァン


魔物はカイトの真横から姿を現し、触手をカイトに巻き付けた。


「うわー、ヌルヌルしてて気持ち悪りぃ」


「カイト君!!今助けるからね!」


「あ、大丈夫です、海の魔物は多分全員俺と相性悪いんで」


『エレクトロン』


バチバチバチッ!!


触手が緩み、魔物が再び海に潜ろうとする。


「逃すかよ!」


『ライトニングボルト』


落雷が魔物へと直撃し、黒焦げになり、海に浮かんでいる。


「ふぅ」


「カイト君!危ないから外に出ちゃダメって言ったでしょ?」


「分かってますけど、流石に船が沈められそうになると危ないっすからね、それにこのくらいの魔物なら余裕っすよ」


「全く、、怪我でもしたら、、」


「心配ないっすよ!」


「はぁ、、」


こうして船の損傷は軽くすみ、無事に魔物を退治して2時間後、いよいよ島が見えてきた。


「おぉ〜、あれがリゾート地か〜、なんか緑しか見えないぞ?」


「本当に凄いのは島の裏よ、まぁ本当は今見ている方が裏なんだけどね」


「ほぉー、楽しみだなそれは」

(一応場所は覚えたけど、流石に家からこの距離テレポートしたら途中で魔力切れで海に落とされそうだな)


「そろそろ到着だ!!錨を下げろ!」


そして船は港に到着し、全員船から降りる。


「ウルミスト学園、剣術科の皆様ですね、ようこそラパダイス島へ!早速ですが長旅のお疲れもあるかと思いますので、直ぐに別荘へとご案内させていただきます」


「よろしくお願いします」


船から降りて少しの所で、タキシードで身を包んだ男がクラスの方と歩み寄り、丁寧に出迎えてくれた。


「それでは皆様の荷物をお預かり致します」


荷物を大きな荷車に置いて行き、クラス全員が入れる馬車の様な物があるが、引き手が見当たらない。


「なぁセニカ、これ誰が馬車引くんだ?」


「馬車?あぁ〜、ここはね馬車じゃなくて特別な生き物よ」


「何だろ、楽しみだな〜」


「そろそろ到着する筈ですが…あ、来ました」


そう言うと、遠くの方から巨大なトカゲが走ってきた。


「ん?あれはトカゲ?いや、コモドドラゴンにも見えるが…」


だんだんと近付いてくる四足歩行の生き物にカイトは全く身に覚えがない。


「あれは地竜よ」


「竜!?ドラゴンか!?」


「うん、普通竜は手懐けられないのだけど、地竜だけは産まれたばかりに調教すると言う事を聞くの」


「地竜だけ?へぇ〜」


グルルルルゥ


「おぉ〜、かっけ〜!あの!触ってみても良いですか?」


「えぇ、怖く無ければどうぞ」


「まじ〜!?」


地竜へと近づき、手を伸ばすとこちらを向いてきた。


「ごめんよ〜、ちょっと触るだけだからな〜…おぉ〜、ゴワゴワしてる〜すげぇ〜」


クルルルゥ


「うぉっ、何だ?甘えてるのか?よしよし!ここか?ここが気持ちいのか?アッハハ」


「よく触れるな〜、普通だったら食われてもおかしくないのに」


「ここの地竜はどれも大人しいですのでむやみに人を襲ったりはしないよう調教しておりますので、しかしあれほどすぐに心を開くのは珍しいですね、竜というのはどの種族よりも気高い存在なので、あの様に頭を人の位置より低くして擦り付けるのは凄いことですよ」


「カイト君!そろそろ出発よ!」


「あ!了解っす!んじゃな!」


グワッ


カイトが地竜から離れようとした瞬間、服を口で捕まれ、背中にカイトを乗せた。


「おぉ〜!いいのか背中に乗って?てか操縦士はいないのか?」


「地竜はとても賢い生き物なので目的地を伝えれば勝手に運んでくれます。それでは出発いたしますので皆様、良い旅を!」


グアァアアア


「うぉっ!速い速い!行けー!!」


「あいつ、昨日から普段と全く違うくらいはしゃいでんな」


「うん、確かに楽しいけど、あそこまではしゃげないわ、本当に優勝しても貫禄もなにもないよね」


「お、トンネルだな、ここ抜けたら島全体が見えるってセニカが言ってたな」


暗いトンネルの先から光が見え出し、やがてトンネルから出ると。


「、、、、、」


((どうした?期待はずれだったか?))


((いや、むしろ期待以上で言葉が見つからない))


そこには人工の島が海に浮かんでいた。地竜の背中から馬車の上に飛び乗り、辺りを見回す。


「すげぇーな、、こんな綺麗な景色見た事がない、、」


島の裏からは想像がつかない程の絶景が広がっている。建物は全てモダンな感じで、どこか前世の景色を思い出させる。やがて自分達が泊まる別荘へと到着した。


「よし、着いたわね、みんな荷物を持って私に付いて来なさい」


「すっげ〜、こんなとこに泊まるのか!?」


「変わった形の別荘だね」


「そうか?俺はむしろこっちの方が見慣れてる感じはするけど」


別荘は、先ほど馬車の上から見た町の建物と同じモダンだった。


「こんなとこに泊まらせてもらえるなんて、やっぱり学園もかなりの金を余らせてたんだな」


3階建の別荘の中に入るととても広かった。まさに前世のお金持ちが住んでた様な広さで、プールも庭も、地下にトレーニング施設も付いている。1階はキッチンやリビングで、2階は更衣室や書斎、客室などがあり、3階が寝室だったが今年に改造して空室になったのを学園が手を加え、クラス全員が泊まれる様に女子部屋と男子部屋を分けて作ったみたいだ。そしてきわめつけは、3階の男女部屋から島全体を見渡せるバルコニーだ。


「このバルコニーから見える景色最高だな」


「おーい!そろそろ昼食の時間だってよー!!」


「いこ、カイト」


「うん」


昼食は近くにあるレストランで軽くとり、夕食は学園のお金で各自で決める事になった。


「んー、折角だし、BBQとかしてみるか?」


「ビービーキュー?なにそれ?」


(あれ?この世界にはバーベキューないのか?)

「ん?みんなの家にはないのか?BBQ、バーベキュー」


「聞いた事ないわね」

「俺もないねぇ」

「私も〜」


「んじゃ教えてやる!クラス全員で旅行しに来たんだ!折角だし俺が腕を振るってやる!」

(こう見えても、一人暮らしで料理だけはちゃんとこだわって作ってたからな!)


「カイト料理出来たの?」


「おうよ!いつも母さんの手伝いしてたからな(嘘)」

(ふふん、果たしてこの世界でも料理が出来る男はモテるのか!?)


「そもそもBBQって何の料理?」


「チッチッチ、BBQは料理名じゃないぜ、マシュー君、取り敢えず今から材料を言っていくから、各自グループを作って、買って来てくれ」


こうしてカイトは16人のクラスを4組に、食材調達班4人、食材の仕込み班4人、器材の準備班3人、後片付け5人、そしてカイトが焼く係である。先生はほかの学科の先生達とミーティングの為、夕食は別で取る事となった。


「よしそれじゃあ、食材調達班は買いに行って来てくれ、欲しいものは紙に書いてある。それと準備班と仕込み班は調達班が帰って来てから作業に取り掛かる」


「「「はーい」」」


「んじゃあ行ってくるわ〜」


「おう、気を付けてな!あ、後もしあったらでいいから…」


「張り切ってるわねカイト」


「そうね、なんだかここに来てから少年の様に目をキラキラさせてる」


「へぇ〜、よくカイトの事見てんじゃん」


「え、え?別に、見てないよ〜」


調達班が帰ってくるまで別荘で寛いでおく。そして1時間後…


「帰ったぞ〜」


「お、速かったな、どれどれ〜…よし!大体これで十分だ、よし今から仕込み班と準備班は作業に取り掛かるぞ!」


カイトは仕込みでやる食材のカットや串の準備は料理が出来る女子に任せ、調味料の調合は残りのメンバーに任せ、調達班に任せていた器材の調達はこの世界には無かったため、BBQコンロを紙に書いて、準備班のロンに渡しイメージ魔法で作って貰う。そして同じく1時間後…


「よーし!焼くぞ〜!!」


「「「「、、、、、」」」」


「ん?どうしたみんな?」


「え、外でやるの?」


「うん、もう暗いけど、俺の光魔法で、よっ!」


庭が色んな色で照らされて明るくなる。


「外でやるもんなのか?」


「あぁ、外じゃなきゃはしゃげないだろ?ちょうど少し涼しいこの時間にやるのがいいんだよ!」


「これは確かに新しいわね、外でご飯を食べるなんて聞いたこともない」


「まぁまぁ、とりあえず、座って肉が焼けるまで談笑してろって!」


カイトは肉を焼き始める。クラスメイトは今日あった出来事や、明日どこに行くか、何処に何があるかの話をしながら肉が焼けるのを待っていた。


「へいおまちぃ!」


「おぉ〜って言いたいけど、普通に焼けた肉だな」


「まぁ仕込み班が作った俺特製のタレつけて食ってみろって!」


「んぅ〜!美味しいぃ〜」

「、、おぉ、ホントだ!うめぇ〜」

「みんなで準備して作ったから余計美味しく感じるよね」


「だろ!?これがBBQだ!最高に楽しいだろ?みんなと色々準備して、外で談笑しながらご飯食べるって、最高だろ?」


「案外楽しいね、バーベキュー」

「気に入ったぞ俺は!」

「セニカたん、これ拙者が買ったお肉ですぞ、デュフフ」

「おいニューロ!でかいケツ押し付けんなバカっ!」

「あ、オーロンそれ私が狙ってたお肉ぅ〜」


それからパンとパンに焼けた肉と野菜、タレをサンドにして食べる方法を教える。


「おぉ〜!これは革命だ!サンドウィッチと違ってまたこれはこれで美味い!」

「セニカあたしの一口噛んだでしょ!?」

「モゴモゴ、、食べてないよ?」

「オルグもこれ食べてみろよ」

「俺、玉ねぎアレルギーなんだ」


「よし、最後はメインディッシュ、串焼きだぁー!!」


「もうちょっと俺お腹いっぱいかも」

「あたしも〜、もう食べれない〜」

「ふぅ〜食った食った〜」


「へぇ〜、お腹いっぱいか〜、じゃ〜俺1人で食べとこっかな〜」


ササッ


スパイスの効いた調味料を焼けた串にかける。


クンクン


ぐぅ〜


「あれ、さっきお腹一杯だったのになんかいい匂いしてきただけで腹が…」

「カイト何それ?」

「一本だけくれ、、、」

「俺もちょっと欲しいかなぁ〜」


結局、一口食べた後、また一口と止まらず、最後まで食べ尽くしたのだ。


「ぐぷぃ、、もう、食えねぇ」

「あぁ〜、絶対太ったわ」

「太ったらカイトの所為だからね」

『くぅ〜、美味かったぜぇ』


「喜んでもらえて嬉しいが、なんでお前まで出てきたんだよ」


『もう食ったし寝るわ』


「お、おい!、、まったく…取り敢えず後は片付けだ、任せたぞ〜」


「なぁカイト、ここ大浴場あるみたいだからいかねぇか?」


「お?そんなのあったのか?」


「あぁ、男女共用だが、俺たちが先に入れば女子は入ってこれねぇ」


「急いで向かうぞ、ルシータ!」


大浴場へと向かうと、そこには男子と女子が言い合いになっていた。


「おぉう?俺達男子のニューロが先に来たんだぜぇ?順番守ってくんねぇとよ?」


「先に見つけたのはメウィンよ、だから私達女子が先に入るべきなんじゃないの?」


「はぁ〜?何だそれ〜?そんなの社会に出てまかり通るとでもお思いですかなぁ?」


「男なんだからレディーファースト出来ないわけ?」


「しらねぇよ、そんなのぉ、知りたくもねぇよぉ、なんか言ってやれニューロ!」


男子の前に出て、物凄いムカつく顔で女子を煽るメルト。


「デュフフ、、ではこうしましょう、拙者達男子側の出す条件を飲めば、今日はあなた達に一番風呂をお譲り致しましょう」


「な、条件ってなによ?」


「ゴホン!スキャンティーをブフッ!!」


「お〜い!ニューロ!目を覚ませぇ!!クソッ卑怯だぞ!俺が仇を討ってやる!!」


ガシッ


「落ち着け、今は身を引くんだ」


「でも最初に来たのはニューロだぜ!?いいのかよこんな事されてんのに!!」


カイトは口をメルトの耳に近づけ、メルトにしか聞こえない声で話しかける。


「女子の入った後の匂いや、座った後の椅子、浸かった後のお湯の浸かれるんだぞ?」


ニヒッ


メルトの顔が一気にゲスい笑みを浮かべ始める。


「ゲッヘヘ、そうだな、よぉし、じゃあ今日からルールを決めよう!今日はお前ら女子に一番風呂を譲ってやる、しかし明日は俺達が一番風呂に入るからな」


「ねぇ、やっぱりやめない?なんかメルトの顔がニューロよりゲスい顔になったよ」

「きっと罠よ、あの顔で私達を動揺させるつもりだから気を強く持ちなさい」


「じゃあ、先に失礼させてもらうわ」


「おうおう、どうぞどうぞ?」


こうして男子は女子の残り湯を堪能し、その日を終えたのであった。





















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