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第1章 おこぼれで充分


*「まったく、弱っちいのに人助けなんてして、ガルハートが来てなかったら、どうなってたか、、」


そう言って一連の話を聞いて、冷たい目にしゃがれた声で文句じみた説教をしてきたのは、ラムカという人物である。


薄い桃色の髪をかきあげお団子ヘアーをした見た目は中年を過ぎたくらいの先生だが、噂では実年齢は7、80との事、昔からこの学園の治癒魔法の先生をしていて、治癒魔法のスペシャリストだ。


「、、すいません」


「ほら、もうこれで治ったから、二度と無理するんじゃないよ!」


光をカイトの傷口に当てると、みるみる傷口が塞がっていく現象を、キラキラした眼差しで見つめるも、手当が完了した瞬間、傷のあった部分を引っ叩き、部屋から追い出そうとするラムカ。


「いたっ、くない、、」


(凄いな、、これが治癒魔法か、身体中の痛みと傷が1つ残らず消えている、、すげーな魔法って)


「凄いですね、あんだけの傷を1分もかからず治してしまうなんて」


「その分凄い疲れんだよ、、まったく呑気な事言ってないで外でガルハートがあんたの事待ってんだから、早く出ていきな!」


(ガルハート、、年は俺より2つ上だから先輩か、にしてもかっこよかったなぁ、あんなとんでもねー魔法を易々と相殺して俺の事助けてくれたし、ちゃんと礼をしておかなきゃ)


「ありがとうございました」


「はいよ」


ラムカ先生にお礼を言った後、診療所を出るとガルハートと七バカが入口で待っていた。


振り返った時、シルエットしか見えなかったカイト。ガルハートは白と水色の中間の様な色の髪で、目は何に対しても興味を示さない様な冷徹で、喋り方や全体的雰囲気を照らし合わせると、とてもクールなイケメンと言うのがカイトの印象だった。


(絶対モテまくっている。正直もし俺が女だったら状況も状況だったし必ず一目惚れていた)


自分の中で開きそうになった危ない扉を押さえ込んでいるとガルハートが口を開いた。


「来たか」


「....」


七バカはカイトを見るなり、睨んできたがそれを無視するカイト。


「ありがとうございました!ガルハート先、、輩?さ、ん?様?」


(こういう場合どっちがいいんだろう?俺の中ではもうすでに尊敬に値する人物だから先輩ってよりかはさん付け、いや様でもいいな!このお方だったら)


「コホンッ、呼びやすい方で構わない、後様はなしだ、名前は?」


クールな雰囲気の中に一瞬だけ照れ臭さが現れるガルハート。咳払いでごまかし話を逸らす。


「んじゃさん付けで呼ばしてもらいます!自分はカイトって言います」


「カイトか、病み上がりで申し訳ないが早速話を聞かしてもらおうか、何が原因で2人は喧嘩などしたのだ」


ガルハートの質問に、カイトの中の怒りが再び燃え上がる。


「こいつですよこいつ!この七バカが平民だからって弱いものイジメしてたんっすよ」


「.....ちっ、下郎が...」


(ぐぬっ、こいつ反省してねーな)


「今の話に何か訂正や間違いはないか?」


「訂正があります、私はちゃんと理由があってやり過ぎたとはいえ、あんな事をしてました。それはあの平民が禁止されているにも関わらず、校内で魔法の練習をしていて、魔力制御が出来ずに、暴走した魔力で私の服を汚されたのが原因です」


(そう言えば、こいつの肩に汚れが少し付いてたようなーなかった様なー、、嘘だな、俺は信じねーぞ)


「今の話は本当か?」


*「は、はい、、間違いありません」


突如向けられた視線に驚くカイトだが、なぜ自分にこの質問を?と考える間もなくカイトの真後ろから先ほど殴られていた生徒が現れた。


(っだよビックリしたー)


「授業や修練場以外での魔法は禁止されている。何故そのような事をした)


「すいません、そのような規則がある事を知らなくて、、練習に夢中になってしまい、、、申し訳ありませんでした!」


そう言って額が膝に付くのでは無いかと思う程の勢いで腰を曲げ、七バカに改めて謝罪する生徒に、カイトの中で別の感情が湧き上がる。


(え?ホントだったの?だとしたら俺ちょっと恥ずかしいんだけど、、、俺はてっきりよくある貴族が平民を虐めているの図に見えたんだけど、もしちゃんとした理由があったら、、いやいやでもあれはやり過ぎだ!俺も殺されかけたし!うん!俺は悪くない!人助けをしようと思って空回りしただけだ!)


「だとしたら、悪いのはお前たち3人ともになる訳だな」


「ん?」

「....」


「いやいや、俺が悪いのはおかしくないっすか!?俺はただ人助けしただけですし!」


「それだけだったらいいが、この学園には身分はなくとも、その人物に関わる侮辱も許されない、、よって罰を言い渡す!」


ゴクッ...


罰と聞き、何か電撃で痺れさせてくるのか、はたまた自分の知らない魔法で何かされるのかと、妄想しながら固唾を飲むカイト。


「全員負荷魔法の刑だ」


(なんだ?大体予想はつくけど、、)


負荷魔法と聞いて大体の意味は言葉通りだと理解したカイトだが、何を負荷するのかと考えていると...


「まずはアルベルト!」


七バカではなく、アルベルトと呼ばれた貴族がガルハートの目の前に移動する。


(七バカってアルベルトって名前なのか)


「、、、はい」


「手を出せ」


七バカが手を差し出すと、ガルハートはポケットから3枚の紙を取り出した。


「お前の罪は重い、負荷期間は1ヶ月だ、次はないぞ」


シュルルルル

スッ


取り出した紙の内の一枚が七バカの手の甲に術式と共に入っていった。


「ングッ!!」


苦しそうに地面に膝を着くアルベルト。


(え、何?苦しそうなんだけど?)


「次はお前だ、校則を無視した罪も重い、負荷期間1週間だ」


「は、はい」


シュルルルル

スッ


「っ!!!」


痛そうにその場で両膝をつく男子生徒。


(こえーよ?なんだよ?)


「最後はお前だ、カイト、人助けをした事で罪は軽くしておく、3日間反省するんだ」


「お、お手柔らかに、、」


そう言って恐る恐る手を差し出すと...


シュルルルル

スッ


髪が手の甲に入って数秒後、感じたことの無い怠さが全身を襲い、次の瞬間には体が重くなった事に気がつくカイト。


(っ!!身体が重たい!)


アルベルトは1ヶ月、魔法と身体強化を使えなくする負荷をかけられ、イジメれてた子は1週間魔法が使えなくなり、カイトは身体が重くなる負荷をかけられた。


「って俺に一番身体的に負荷がかかってんじゃねーか!!」


思わず口に出して突っ込んでしまったカイト。


「それでは俺は忙しいのでもう行く」


「ちょっと待って、どうやったら解けるんですかーーー??」


シュッ


そう言ってガルハートはどこかへ行ってしまった。


「魔法使ってんじゃねーかよ」


(まぁいいや、どうせ時間が経てば解けるんだろ)


「あの...助けてくれてありがとうございました」


「ん?あぁいいよいいよ!次からは気を付けろよ?またどっかのバカに絡まれないようにな」


「バカは貴様だ、大バカ」


「んだとー?身体強化と魔法まで使って殴りやがって、この卑怯バカ」


「フンっ!貴様が魔法を使えないだけではないのか?所詮は平民、私とお前では既に立っている土俵が違うのだ」


「ぐぬぬ、今に見てろぉ、、最初に火属性魔法覚えて、その金髪のロン毛を真ん中だけダンプカーが通った後みたいに焼き焦がして、落ち武者みてーにしてやる」


「フンッ、言うだけ言っておけ、弱い犬ほどよく吠えるとはこの事か」


「コロス!今すぐにお前の金髪を全部毟りとって、デコに根性焼き6つ付けて何処かの寺の修行僧みてーにしてやる!かかってこいヤァ!」


「上等だ貴様!魔法なんてなくとも、また這い蹲らしてやる!」


シュッ


「まさか?また喧嘩か?」


「お(わ)、俺(私)たちこれからも共に精進していきたいと思いまーす!(汗)」


とっさに肩をくみ、額に汗を垂らしながら、ピースサインで仲良しなフリをするアルベルトとカイト。


「それでいい」


シュッ


「フゥ、、やめだやめ、おめーに構ってたら一生負荷かかっちまう」


「同感だな、これからは私に近づかないよう気を付ける事だな」


「いちいち一言多いんだよオメーは」


「と、とにかく落ち着いて2人とも、もうすぐ授業始まるし、僕はもう行くね」


「おう、じゃーな」


男子生徒が自分の学科の校舎へと走っていくのを見送る。


「ふんっ」


「よぉし俺も馬鹿はほっといて教室に行くとするかー」


「こっちのセリフだ」


....


.......


...............


「ってなんで付いてくんだよ!気持ち悪りぃな」


「それは私のセリフだ!私の方が先頭を歩いてきたのだぞ!」


ここに来るまでの道中、幾度の曲がり角や別れ道があったにも関わらず、真横を歩く七バカに遂に我慢できなく、声を荒げるカイト。


「お前が付いてきたんだろーが!」


「たわけ!私は剣術専攻でここに来てんだ!お前の方こそ付いてくるでない!」


「馬鹿野郎!俺も剣術専攻なんd、、、まさかお前、、」


「まさか貴様も剣術なのか?」


「あぁ最悪だ」



======================



ガラガラガラ


*「遅刻ですよ、2人とも」


教室の引き戸を右に引くと、中からカイトと七バカを見て、眉を顰める女性に俯く2人。


「すいません」


「申し訳ありません」


*「名前はー?」


「あっ、俺がカイトで横にいるのが七バカです」


*「七バカ?」


「貴様!ちゃんと紹介しろ、、、ゴホン、、失礼しました、私、アルベルト・クレインと申します」


アルベルトの名前を聞いた途端、2人の遅刻に静まり返っていたクラス内が少しざわつき始める。


*「クレインってあの侯爵家の??」


*「確か主席でこの学園に合格したって言う」


*「聞いた話によると、文武両道で悪い噂が1つも立たないって」


*「なんかかっこいいよね〜」


*「君が主席のアルベルト君ね!今日からヨロシクね!」


「はい!よろしくお願いします」


コソッ

「お前猫かぶりすぎじゃねーか?それにお前が自己紹介した後、みんなざわつき始めたがそんな凄いのかお前?」


「当たり前だ、言ったであろう、私とお前は立っている土俵が違うのだと」


「ぐぬぬっ」


一言多い七バカに腹を立てる傍らで名簿の様な物を取る女性。


*「それでは2人とも席に着いて!」


*「今日欠席が1人だから、、、これで全員ね!では改めまして、今日から貴方達の担任を受け持つことになったジルよ、よろしくね!」


アイボリー色のショートカットをした20代くらいの女性ジルがクラス担任としての自己紹介をした後、カリキュラムなどの説明を主にし、その後今カイト達のいる剣術家の校舎内の構造を見て周った。


こうしてカイトの学園生活はようやく始まりを迎える事となった。


ジリリリリリリッ


授業終わりの合図であるベルが鳴り、カリキュラムの説明と少し時間が空いたため、20分だけの授業を終え、今日はこれで下校時間となった。


「はぁ、やっと終わったー」


(やっぱり授業で椅子に座ってるだけってしんどいなー、でも前の世界では授業をちゃんと聞いたことなかったけど、この世界の授業はとても面白い、なにせ自分の知らない事だらけで興味しかないのだ)


ジルの行った20分の授業は主にこの世界の地理だった。


この世界には主に大きな大陸が3つあって、西にある大きさがアフリカ大陸ぐらいの面積の、ヴァルトイス大陸。


そして真ん中の北に位置するヴァルトイス大陸より面積が1.5倍広いと言われているフルフニカ大陸。


そして最後に東のアゴン大陸。


ちなみにカイトの故郷はヴァルトイス大陸の中にある6つの国の内の1つである、エリュードと言う国の南に位置するスレイムという町にカイト一家は住んでいる。


それと授業が終わるとセニカにどこに行ってのと聞かれたが適当に嘘をついて誤魔化した。


「そういえばカイト聞いた?さっき校内で喧嘩があったって?」


ビクッ!

「っん?知らないなー、初日でそんな事する奴ってよっぽどバカなんだろうなー」


早すぎる噂の広まりに、思わず体がビクンっと跳ね上がるカイト。


「それがね、聞いたところによると、あのアルベルトって人が喧嘩を起こしみたいだよ?」


「ま、まぁアイツならやりそうな顔してんもんなー、ハハッ」


一瞬七バカのいる位置からか視線を感じたが今は、この話で自分がボコられたとこまで掘り下げられないようになんとか終わらそうと考えるカイト。


「それにしてもなんか、怪しいんだよねーあのアルベルトって人」


「なんでだ?」


「一応貴族同士って社交辞令の場で色々情報交換するんだけどさ、クレイン家についてあんまいい噂聞かないんだよね」


「例えば?」


コソッ

「アルベルトくんってクレイン家の次男なんだけど、噂では母親が別の男性との間で授かった子供かもしれないって、それでクレイン家の跡を継げなくなるかも知れないって」


「へぇ、貴族からしたら大きな問題っぽいなー」


(めんどくせぇ家柄に生まれたもんだなアイツも、だからあんなにひねくれてやがんだな)


「ていうかカイトってアルベルトと仲良いよね、そういう話とかしないの?」


「はぁ?俺があいつと仲がいい?世の中何が起きても俺とあいつが仲良くなる事だけはあり得ないな」


「じゃーなんで2人して遅刻して、自己紹介の時に代わりに紹介してあげたの?」


(やべっ、また話戻りそうだ)


「そ、それは、、、あのだな、、」


「うんうん」


「、、、っ!セニカとはぐれて迷っていたらたまたまあいつと出くわしてー、それでー、、そうなったみたいな?」


「ふーん、なんか怪しいね」


「あ、怪しくないって、、そもそもセニカが俺をちゃんと案内してくれなかったから遅刻する事になったんだぞー!?」


「あ!さっき許してくれたのに!またその話掘り下げるー!」


「アッハハ、悪かった悪かった、ちょっとからかってみただけだ」


セニカとの距離間もなんとなくわかってきたカイト。


「そういえばセニカ」


「ん?何?」


「ガルハートさんって知ってる」


「っ!!ガルハートってあの水の精霊使いガルハート・クインス!?」


唐突に振り上がったセニカのテンションとリアクションに少し圧されるカイト。


「あ、あぁ?凄い人なのか!?」


「凄いも何もこの学園で知らない人はいないくらいの有名人だよ!」


「へぇー具体的にー?」


「この世界に数体しかいない、最上級精霊の内の水の精霊ニンフから誓約を受けた、この学園の上位5名しか名乗る事を許さない、五星の1人よ!!」


「精霊かー、俺も一体欲しいなー、それに五星ってなんだ?」


「精霊を探して、契約する事さえ難しいのに、精霊の方から誓約をしにきたんだからほんと凄いよねー、、あぁ!それと五星っていうのはさっきも言った通りわかりやすく言うと、この学園で生徒なのに学園長と同等の権力を持った、最強の5人なの」


「いいなぁ、権力持ってるってー、俺も欲しいなぁその権力と星」


「そんな簡単に、手に入れられるものじゃないんだよ?」


「わかってるけどー、やっぱそんくらい凄い人なんだなガルハートさんって」


改めて自身を助けてくれた相手の凄さを認識したカイト。


「まぁ私に手も足も出なかったお前には、何百年かかっても無理だろうがな」


「うるせぇー、すっこんでろ、馬鹿が移ったらどうすんだよ」


席を外すついでに話に入ってきた七バカを見るなり服で顔を覆うカイト。


「そもそも五星は元々は八星だったんだけど、五星の内の1人が残りの3人は弱いからって言う理由で、3人纏めて叩きのめして自ら五星を作ったらしいの」


「おっかねえなそいつ」


「聞いた話だと、強そうな人を見かけたら、決闘を申し込まれるみたいで、拒否権は与えられないみたいなの」


「じゃー強くなり過ぎない程度で頑張るかー、そんな奴に絡まれたら命がいくつあっても足りないし」


「私は、この学園で強くなるよ!そしていつか五星に入るのが目標なの!」


「だったら今のうちに媚でも売っておくか、な?セニカちゃん」


「もうやめてよカイト〜」


「ささっ肩をお揉みしましょうか?それとも何かお飲み物は?」


「アッハハ、じゃ〜肩でも揉んでもらおうかなー?」


「ハハァー」


それから数分後にルフトとの約束を思い出し、急いで校門に向かい、校門付近でセニカと別れたカイト。


「それじゃあ待たなー、セニカー」


「うん、またねーカイトー」


「おいおい、どう言う事だー?登校初日に女の子と仲良しになっちゃってぇー、隅に置けませんなぁ」


「ったく濃い一日だったよ」


「なんかあったのかー?」


カイトは今日の一日の出来事を話ながらルフトと帰った。ルフトは元々明るい性格もあって初日で友達もかなりできたらしい。ちなみにカイトはセニカとしか喋らなかったのでできた友達は1人。


七バカ?誰そいつ?


「てかお前五星って知ってる?」


「星の名前か?」


「やっぱいいや」


聞くからに知らなさそうな返事をしてきたので、話を逸らして、今日の出来事を聞いた。


それからカイトとルフトはスレイムにあるいつもの分かれ道まで着く。


「今日はうちに寄ってご飯食べていかないのか?」


「今日はやめとくわー母さん帰ってくるみたいだからー」


「そうかー、おばさんによろしくなー、んじゃまた明日ー」


「バイバーイ」


ルフトと別れ、1人で家に向かうカイト。



======================



ガチャ

「ふぅ、ただいまー」


「あらおかえり、カイト、ご飯もうできたわよ」


ダダダダダッ


「にーに!エリーのおかしぜんぶたべたでしょ!!」

「アー!」


「悪かったって、そもそもエリーがあんな事するからいけないんだぞ?」


「せっかく、、、うぅ、、楽しみに、、してたのに、、うぅ」

「あぅう」


エリーゼが泣き出しそうになってるのにつられてアルトも泣き出しそうな表情をする。


(ふふっ、俺はこうなる事を知っていて、あらかじめお菓子をいっぱい買ってきてあるのだ!説教も踏まえてお菓子を食べたのである。決して小腹が空いたから食べたわけではないから?)


「ほら!エリー、ちゃんと食った分のお菓子買ってきたぞ〜、だから今度から、もう今朝見たいことはするなよ!後起こす時も優しく!わかっt」


「ありがとにーに、行こ!アルちゃん」

「アァーイ」


タッタッタッタッ


「......」


見事エリーゼの嘘泣きにしてやられたカイトであった。それからリビングに向かいご飯を食べる。


「カイト今日は学校どうだった?」


リビングで食事をしていた父であるルドガーがカイトに話しかけてくる。


「んー?別に普通だよー」


「その普通を聞いてるんだ」


「んー、人助けしてー、何故か怒られてー、ガルハートさんに会ってー、かっこよかってー、セニカって友達ができてーって感じかな?」


めんどくさそうに、それもかなり簡潔に話を纏める。


「随分大雑把に説明したな、、、」


「まぁ入学初日はこんな感じだよ」


「お父さんこう見えて学園生活に憧れがあったのよ」


「ま、まぁこれからは大変だろうが、気を引き締めて学業に専念するんだぞ!剣のことは分からない事があったら父さんに聞くんだ!いつでも修行をつけてやるからな!」


「えーそれは嫌だ」


父ルドガーとの修行には嫌な思い出しかない。剣術に対して強い憧れを持ってやっていたが、父さんとの打ち合いは決まって父さんがいつも本気で叩きのめしてきてくるのだ。


子供だから少しは勝ちを譲ればいいものを、最初から本気で打ち合ってくるのだ。そしていつも決まって勝った時にガハハと言って大笑いし、悔しさの余り大泣きして、母さんに叱られるのだ。威厳を保つのに必死なのが見え見えである。


「ご馳走さまー」


「アルちゃんと一緒にお風呂入ってきなさいカイト」


「わかったー」


アルトを探しにエリーゼの部屋に行くと、アルトが全身服でぐるぐる巻きにされていた。


「、、、おい」


「あ、にーにどうしたの?」

「アゥ〜」


「お前、いつもこんな事アルにやってんのか?」


「うん、アルちゃんが言う事聞かなかったらオシオキするの」


「ったく、どこでそういうの習ったんだよ」


「ヒミツー」


「もういいよ、今日は疲れたし風呂入って寝るから、アルも一緒に入るぞ」


「アァーイ!」


「エリーも一緒に入りたい!」


「エリーは父さんとだ、また今度な」


「ブー」


そう言って、アルトを連れて風呂に入った後、ようやく自分の部屋に入りベッドに1日の疲れを込めてダイブするカイト。


「やっぱベッドはいいなぁ、疲れがゆっくりとんでいくぜぇ〜」


(明日から剣術の訓練始まるし、楽しみだな〜、七バカには負けないくらいには強くならくちゃ、、、後、セニカの、、おこぼ、、れ、、)


そのままゆっくりと気絶する様に眠りにつくカイト。





次回からは剣術の授業に入ります。

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