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第1章 闘技大会本戦1日目 Ⅰ



朝いつものようにエリーゼとアルトに起こされ、闘技会の支度をする。


「なぁ、父さん以外本当にみんなで来るのか?」


「当たり前じゃない、せっかくカイトの晴れ舞台なんだから見に行かないとね、ルミラの時も行ったんだから当たり前でしょ?」


「まぁカイトは学校もあってずっと来れていなかったからな」


「じゃあエリーは来れないんじゃないのか?」


「いくのー!」


「エリーはどうしても行きたいって言うから適当に熱って言って休みもらったわ」


「どう考えても親のする事じゃないだろ、、」


「まぁ母さんを許せカイト、見たいものは仕方ないのだ」


「パパはエリーゼが嬉しかったら何でもするよ〜」


「はぁ、家族全員揃ってダメダメじゃねーかよ」


コンコン


窓を見るとルフトが手を振っている。


「ほら、ルフトも来たしさっさと行きなさい!」


「言っとくけど、来るのはいいけどあんまり、その、はしゃぐなよ、恥ずかしいし、、」


「分かったから早く行ってきなさい、ほら!」


「んじゃあ行ってくるわ〜」


ガチャ


「おっす!どうだ?眠れたか?」


「うん、だいぶ寝れたわ」


「俺なんか全然寝れなかった〜、今でもちょっと緊張するし」


「まぁ緊張感持ってるほうがお前の場合いいかもな」


「一言余計だぞ?、それよりまさか俺たち2人がこんな大会に出るとはな」


「本当にそうだよ、俺なんて入学当初はセニカの甘汁吸おうとしてたんだぜ?」


「お前らしいな、でもカイトここ数ヶ月で色々変わったよな〜」


「そうか?何処らへんが変わったんだ?」


「だって昔は俺と同じで気怠そうにしてたじゃん?でも今は毎日修行してるし〜、人一倍努力するようになったし〜、分かりやすく言うと大人になったって感じ?」


「まぁ頑張らないといけない理由が出来たしなー、俺追い詰められないと何も出来ないタイプなんだよな〜」


(てかそもそも大人だよ、悪かったな2度目の人生でもガキっぽくて!)


「そっかそっか〜」


他愛もない会話をしていると学校に着いた2人。


「んじゃまた後でなカイト」


「あいよ〜」


教室へ向かうとみんなの顔が緊迫していて、話す雰囲気じゃないのを感じ取れたカイトは一言も発さずに自分の席に座る。


ジリリリリリッ


ガラガラガラ


「よし、誰も遅刻してないわね、それじゃあ早速今日本戦に出る子は私と一緒においで、残りは後で他の先生が来て案内してくれるから、それまで待機ね、それじゃあ行きましょ」


カイト、ロン、セニカ、アルベルトはジルに着いていく。教室を出て外に着くと先生が止まる。


「よし、それじゃあ今から会場までテレポートするわ、掴まってなさい」


「「「「はい」」」」


『テレポート』


シュン


着いた先は闘技会会場だった。会場の見た目は、前世でいうとサッカー競技場に昔のコロッセオを足した感じである。入り口は竜の口の作りになっている。


「すげーな、今年は結構手の込んだ作りにしたらしいけど、これはいくらなんでも込み過ぎじゃね?」


「そうね、、」


(ついつい見とれて口に出てしまったー、黙っておこう)


「それじゃあ今から控え室で待っているヴァイス先生のとこに連れて行くわ、そこで改めてルールや今日の対戦表について教えてもらえるわ」


剣のマークが描かれた扉の先に入るとそこにはヴァイス先生がいた。


「あとはお任せします」


「あぁ」


ヴァイスを見た途端みんなの表情から少し緊張が消える。


「緊張するか?」


俺とアルベルト以外みんな一斉に頷く。


「適度に緊張感は持っておいたほうがいいが、お前たちは緊張し過ぎだ肩の力を抜け」


「それでは対戦表を見せる」


そう言うとヴァイスは対戦表が書かれた紙を机の上に広げる。


======================


『1日目』


1回戦: 『剣術科カイトvs弓術科ミロ』


2回戦: 『拳術科レツvs魔術科エレン』


3回戦: 『槍術科ラゼッタvs弓術科リーラ』


4回戦: 『剣術科アルベルトvs拳術科バクト』


5回戦: 『魔術科フィリアvs槍術科ルフト』


6回戦: 『拳術科ホウケンvs槍術科レン』


7回戦: 『弓術科ウォルトvs魔術科イヴァン』


8回戦: 『剣術科ロンvs魔術科リリア』


9回戦: 『拳術科ウィスvs弓術科カルア』


10回戦: 『剣術科セニカvs槍術科フォルス』



======================



「俺いきなり初戦じゃん、、」


「魔術科が相手か〜、僕の魔法とどっちが上なんだろうねぇ〜」


「よかった〜、、知り合いと当たらなくて」


「拳術科、、どれほどのものか」


「それとルールは改めて言うが精霊と契約していると者は使えないのに変わりはないのと、先日異能についても新たに追加されて、該当者は異能の許可申請に行ってもらったがつい先程結果が届いた」


「何があったんだロン?」


「あまり強すぎる異能だとそれだけで差が出ちゃうから自分の異能を大会本部に明かして使えるかどうか申請に昨日行ったんだ、それの許可がおりたかどうかは今教えてくれる見たい〜」


「結果は許可するだそうだ」


「やったね〜」


(いいなぁ、俺も精霊が使えたらもっと楽になるのにな〜)


「もう少ししたら開会式が始まる、始まったら順番に各学科の先生と生徒が一緒に出る予定だ、剣術科は一番最初だから早めに準備して出るぞ」


「「「はい」」」


(さーてどうすっかなー)


みんな各々集中したりしている。


(ちょっと外でようか)


「少し外の空気吸ってきますね」


「早く戻ってくるんだぞ」


控え室を出て会場内を探索しに行く。


((おいカイト、まっすぐ進め))


((なんでだ?))


((いいから行け))


アッシュに言われた通り真っ直ぐ進むとそこには入学初日に助けてもらったカイトの憧れでもあり超えるべき相手、ガルハート・クインスが会場内で歩いていた。


「あ!ガルハートさん!!」


「ん?確かお前は、、」


「カイトです!ほら、入学初日に助けてもらった!」


「、、、あ、あぁ思い出した、あの時アルベルトに重傷を負わされていた」


「そうですそうです!いやー、こんな所で会うとは奇遇ですね!」


「ん?お前もしかして精霊持ちか?」


「やっぱり感じちゃいます?」


「あぁ、俺の精霊がお前の中から精霊の反応がすると言ってる」


((まさかお前、ガルハートさんの中の精霊を感じて俺を案内したのか?))


((あぁ、莫大な魔力を感じてな、契約者自体はまだまだだがやっぱり最上級精霊は半端ないな、精霊の成長が限界の域まで達している))


((って事はガルハートさんの精霊はレベルMAXって事?))


((あぁ、ありゃあ主人の成長を待っている感じだ、本気になればこの会場を初級魔法で潰せるぞ、まぁそうした場合契約者の魔力がごっそりどころか全部なくなるけどな))


((聞いた話によると契約じゃなくて精霊の方から誓約しに来たらしいぞ))


((な、、お前それってかなりすげぇ事だぞ?本来なら精霊は人間よりも上位の存在なんだ、そんな精霊が、しかも最上級精霊自ら誓約しに来るとか絶対何か理由があるな))


「俺の精霊もガルハートさんの精霊に感づいて俺をここまで連れてきたみたいでした」


「なるほどな、それよりも今日の闘技会、出場するのか?」


「えぇ、すんげぇ楽しみにしてきました、何せこの学園での大きい目標が出来たんで」


「魔法1つで意識を失ったあのお前がここまで来るとは大したものだ、できればその目標を聞かしてもらえるか?」


「え?いやー、本人を前にして言うのはー、、」


「そんなに恥ずかしい事か?」


「そのー、ガルハートさんの事尊敬してるからなんか本人の前で言うのはさすがにー、、、」


「俺の前で言うのが恥ずかしいのか?って事はなんだ?俺たち五星を超えるとかそう言う類か?」


「っ!」


「フッ、なるほどな、悪くない目標だ、今だから言えるが俺も入学当初はその様な目標を持ってこの学園に来た」


「え?ガルハートさんもですか!?」


「“も”って事はやっぱり合ってたんだな、話を戻すが、1年生にして俺は当時の八星と戦いその座を勝ち取った」


「1年で!?」


「あぁ、今の五星の座を手にしたければ戦いを挑みその座を奪うしかない。五星全員を超えたければまずは五星になる事だ、闘技会の最後では五星同士が戦うメインマッチがある。そこで優勝すれば実質そいつがこの学園で最強の名を手にする事が出来る」


「なるほど分かりました!」


「それじゃあ俺は忙しいからもう行く、剣術科は一番最初に入場だろ?早めに戻るんだぞ」


「色んなお話をしてくれてありがとうございます!」


その場から立ち去るガルハートにお辞儀をする。


「それと1つ言い忘れていたが、今年の五星は歴代の八星より群を抜いて強い、座を奪ってくるような者がいれば俺たちは容赦なくそいつを叩き潰す」


ブワァッ!!


(クソッ動けねぇ)


お辞儀の状態を魔力の圧のみで抑えられ維持させられる。


「ぐっ、、なめんなよ、、五星、、るぁっ!!」


魔力の圧を無理やり押し返す。


((もう行ったぞ))


「はぁはぁ、、なんてプレッシャーだよ、、」


((そろそろ時間だ、戻るぞ))


((あぁ))


控え室に戻るとみんなが扉の前にいた。


「ちょうどいいタイミングで戻ったな、それじゃあ行くぞ」


会場内から入場口まで歩く。


「「「「ワァアアアアア!!!」」」」


会場の歓声が聞こえる。


『さぁ!始まりました!ウルミスト学園主催、闘技大会!!!』


『実況はわたくし、マイクがお送りさせて頂きます!!』


『それでは早速!!各学科の予選通過者の入場から始めたいと思います!!』


『それでは最初に入場して頂く学科は〜?』


『剣術科でございます!!大きな拍手で迎えましょう!!』


パチパチパチ!


「カイト、ロン、セニカ、アルベルトの順で一列に並んで行くぞ、ついてこい」


先生についていき、学園長の立っている台から見て右の位置に立たされる。


「「「ワァー!!!」」」


「にーに!!!にーに!!!」


「キャァアア!!!カイトーーー!!!」


「カイトォォ!!!!全員ぶっ飛ばせぇえええ!!!」


「ニィーーーー!」


「カイトー!!!」


「カイトォ!」

「カイトォ!」



(やっべ!恥ずかしいってマジで、やめてくれー、それにルフトんちの家族も来てんじゃん)


カミラ達の立っている席に向かって一応小さく手を振る。


「セニカーーー!!!パパは愛してるぞぉぉぉぉ!!!!」


「セニカーー!!」


「ねえちゃああああん!!!」


(プフっ、セニカの顔めちゃくちゃ赤いな、さっきまであんなに集中してたの吹っ飛んだんじゃね?プフっ)


「ローーーーーン!!!負けたらご飯抜きだよ!!!」


「頑張れー!にいちゃーーん!!!」


「あっはは、恥ずかしいなぁ」


家族に手を振るロン。


(一応一年の剣術科の親御さんはみんなおんなじ場所に座ってるんだな、あれがロンの親御さんだったらー、その横にいるいかにも厳格そうな人とその横のアルベルトに似た子供があいつの家族か、静かだな、うちもあんだけ静かにしてほしいもんだよ)


こうして次々と他の学科の入場が終わり、次に学園長の話を聞き終わった後、いよいよ本戦が始まる。選手と先生は会場内にあるベンチみたいな所で座って戦いを見守り、呼ばれたら舞台に上がって戦うといった感じだ。


『それでは早速第1回戦を始めたいと思います!』


『それでは第1回戦、剣術科カイトvs弓術科ミロ!』


『両者舞台へどうぞ!!』


「行ってこい、それと実力は出来るだけあんまり見せるな」


「頑張ってカイト!!」


「頑張れぇ〜」


「おい、バカベルト、何かないのか一言?」


「剣術科の恥にならない程度頑張るのだな」


「へっ、、っし行ってくる」


両選手舞台に上がると同時に、審判も出てくる。


「それでは闘技大会第1回戦、、始め!!!」


(初戦は出来るだけ闘気を見せない感じで戦うか、、つっても向こうは予選を勝ち上がった猛者だ、油断ならねぇ)


『レインアロー』


矢の雨がカイトに襲いかかる。


「すぅー、、、セアッ」


キンキンキン


『おーっとここで先に仕掛けたのは弓術科のミロだぁああ、しかし剣術科のカイトも難なく矢を全て冷静に切り落とす!!』


『エレメントアロー』


様々な属性を纏った8本の矢が連射される。


『ストーンキャッスル』


ズガガガガ


(おいおい、ただの弓矢じゃねーな、岩を破壊するほどって、、やっぱつえーな)


『ミロ選手の弓矢を中級土魔法ストーンキャッスルでなんとか防いだカイト選手!!』


『クローン』×『テレポート』


刻印済みのクローンを壁からテレポートさせ、ミロを襲わせる。


(よく漫画とかでは弓使いは近接にも特化している奴が出てくる、コイツはどうだ?)


「くっ、、」


『おーっと、テレポートですぐさま弓使いの苦手とする近接に持ち込み、苦戦するミロ選手!!』


(なるほど、遠距離攻撃しかまだ訓練してない感じか)


クローン相手に少し苦戦しているのを見てクローンを発光させ目をくらました隙に、テレポートで近づく。


(貰った!!)


『アクアスラッシュ』


『おーっと!?カイト選手と思われていたのはなんと無属性魔法クローンだったー!刻印でクローンを自分のタイミングで発光させて隙を狙っていたカイト選手!!』


ガキィン!


バシャン


「なっ、、」


『がしかしっ!!ミロ選手はどうやら見抜いていたのか?カイト選手の本命の攻撃をいなしたぁ!!』


カイトの剣技を足技でいなすミロ。カイトがバランスを崩したのを見て攻撃しようとすると、、、


『エレクトロ』


バチバチ


『おーっと突然ミロ選手の体が動かなくなってしまった、拘束魔法か何かでしょうか!?』


「悪りぃが騙しは俺もよくやる、お前が体術を使えなくても使えても、どっちが来ても良いように手は打ってある」


「くっ、、つよい」


剣を首に突きつける。


「勝負あり!!」


『なんと第1回戦を勝ち抜いたのは剣術科カイト選手だぁぁぁぁ!!!』


「キャアアアア!!カイトォォ!!」


「にーに!!!」


「よくやったぞカイトォォォォ!!!」


(はぁ、帰ったらちゃんと言っておこ)


「ふぅ、、大丈夫か?良い試合だった」


「えぇ、こちらこそ悔しいけど良い試合ができて嬉しいわ」


舞台から下がりベンチの方へと向かう。


「よくやった、見事だったぞ」


「おつかれカイト」


「おつかれぇ〜」


「フンッ」


「なんとか勝てたわー」


見事1回戦から駒を進めたカイトだった。





































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