第1章 とっておき
ウルミスト学園内にて。
*「どうだ?闘技会の準備は進んでいるか?」
星が描かれた五角形の机、星の頂点の位置に座っている男が話す。
*「えぇ、今年も大いに盛り上がるよう一工夫入れたわ」
答えたのはその右に位置する人物。
*「、、、、」
頂点の左に位置する人物は何も答えない。
*「なに寝てんのよ、いっつも寝てんじゃん」
左下に座る人物が注意する。
*「そいつが寝ていても、起きていても話は進む、続けよう」
そう言って右下に座る人物は、カイトが入学初日に助けてもらったガルハート・クインス。
*「では話を続ける、今年の闘技会は新しい会場を学園で作ったため、例年と違い規模が大きくなる、動員数、日程、そして予選の形式だ何か案はあるか?」
*「動員数と日程は問題ないとして、予選の形式を見直さないと行けないわね、会場も広いですし何かいい方法は無いかしら」
*「んー、アタシはその辺決めるの得意じゃないしパスー」
「魔力計測はどうだ?一番シンプルで、分かりやすく、そして早めに終わることが出来る」
*「いいじゃんガルハート!その案で行こうよ会長!」
*「なかなかいい案だな、しかしこれを見ている客は楽しいものか?」
*「そうですわねぇ、アイデアは良いですが、いまいちインパクトが欠けるのでは?」
*「、、んぅ、、、あぁあ、、ったく何考えてんだテメェら、んなもん戦わせて一番強えー奴が次の日の本戦に出れるでいいじゃねーか」
*「だ・か・らー!そうすると1日じゃ終わらないし、お客さんも疲れるから、どうするかみんなでアイデア出し合ってんじゃない!
*「キィーキィーうるせぇよメス猿、1日で終わらせたらいいんだろ?それだったら最初から各学科で強い奴を4人予め選んでもらって、其奴らを予選で戦わせたらいいだろうが、いちいち全員出させて見せるとしょぼい奴も混じっててつまんねぇだろ」
*「キィ〜!!!だーれがメス猿よー!!この万年居眠り豚野郎ー!!!」
*「それはいい案だな」
「私も賛成だ」
*「たまにはいい案だすじゃないの」
*「アタシは反対よ!!断固反対よ!!」
*「じゃーテメェが案出してみろよメス猿」
*「そ、それはー、そのー」
*「ハッ、それじゃあ“寝ていた”俺の案で決まりだな、俺はこれから用事があるから先に失礼させてもらうぜ、それと、今年こそはお前達と本気の戦いが出来ることを期待している、本気でこいよ?」
ブワァンッ!!!
部屋全体にプレッシャーがかかる。
*「アンタなんか私の拳でぶっ飛ばしてやるから今年こそは覚悟しなさい!!!」
*「今年は私も本気で行かないと行けないですわね」
*「今年は弟も見ている、悪いが優勝は貰うぞ」
「誰が最強なんて興味ない」
ビキッ
1人を除く全員の魔力が室内でひしめき合い、部屋中にヒビが入る。
バタン!
*「では以上を以って、本日の五星会議を終了とする」
場所は変わり、修練場にて。
「という事だ」
ヴァイスの闘技会予選ルールの説明が終わる。
「なるほどな〜、んじゃその学科の中で一番を決める予選はいつやるんですか?」
「それについてだが、ちょうどこの学園は5つ学科があって、五星も丁度5人だ、今年は予選の審判を五星が取り繕うみたいだ。日時は向こう側が指示するらしい」
「ヘぇ〜五星の見ている前で戦えるのか〜」
「変な事考えないでねカイト?」
「考えてねーよ」
「という事で今日からは、お前達を本気で鍛えようと思い2年生の訓練場を借りた」
「やった〜!」
「「「「えぇー」」」」
「なんで俺だけ喜んでんだよ」
「お前どんなとこか分かってんのか?」
メルトが呆れた感じでカイトに喋りかける。
「だって1年生の訓練場はもう飽きたし、やる事ないし、、、」
「まぁ簡単に分かりやすくいうと、1年の訓練場の3倍はキツイって言われている器具や“場所”って言われている」
「場所?」
「行ってみるとわかるぜ」
「では向かうぞ」
着いた先は1年となんの変わりようのない訓練場だった。
「おいおい、なんも変わらねーな」
そう言って、訓練場の広場に入る。
ズンッ!
「なっ!、、、、身体が、、重い、、」
身体強化をフルで使ってかろうじて動ける。
「ハァーーー!!!押しつぶされるかと思ったぜぇ」
「これで分かっただろ?」
「でもこれ以上良い訓練場はないな、ここ来た後戦えばかなり動きやすくなるだろうし」
「あ、こいつバカだったわ」
「悪い、魔法の調整が前使った人の方でセーブされていて、通常の10倍になっていた」
「「「、、、、、」」」
「え?それって結構危なかったよな俺?」
「ま、まぁ結果大丈夫だったしいいんじゃない?」
「では訓練を始めるぞ」
そして重力が2倍の訓練場でいつもの訓練が開始された。
「2倍に慣れたら次は3倍だ、3日後までには3倍にする、それまでにしっかりと鍛えておけ」
1年生の訓練場に重力空間がないのは単に筋力不足で、重力空間に入ると練習所ではなくなるためだ、学園は1年で肉体を、2年で技を、そして3年でそれらを全て完璧にさせる事を方針としている。なので1年は基本的な身体能力を身に付ける事を目的としているのだ。
「よし、それでは最後にこの重力空間にどれだけ耐えれるかテストをする、因みに2年に上がった時の耐えれる平均重力は3.5倍だ」
全員が横一列に並び、限界を感じた人は手を挙げる。
「尚、身体強化や他の魔法を使って耐えるのは無効だ、まず2.5倍からだ」
ズン
「今から10秒測る、限界を感じたら手を上げろ」
「「「、、、、」」」
「よし、では次は3倍だ」
ズン
「んっ、、」
スッ
「ソロカとタリカだな」
「では次は3.5倍だ」
ズンッ
スッ
「マシュー、メウィン、メイダ、オーロン、ルシータ、ニューロ、モルス」
(一気に減っていったな)
アルベルトの方を見ると、少し苦しそうだ。
(絶対負けねーぞ)
「次は平均以上の4倍だ」
ズンッ
スッ
「グレイル、メルト、ロン、オルグだな」
「すげぇ、Top3が残ったぞ」
「4.5倍だ」
挙手なし。
「5倍」
スッ
「セニカ」
残りはカイトとアルベルト。
「お、、おい、、無理すんなよ、、手を挙げてもいいんだぜ」
「だ、、だまれ、、、そういう貴様、、は汗を掻いているでは、、ないか」
「5.5」
ズド ズド ズド
カイトがアルベルトの前まで歩く。
「た、、たつだけなら、、なんぼでも行けるわ」
「お、、おのれ、、」
「6倍だ」
ズンッ
「「ぐっ、、、」」
「次は6.5倍だ」
ガクンッ
先に倒れたのはアルベルトだ
(よっし!!!後10秒耐えろ!!!)
9...8...7...6...5...4...3...2...1...
「次は7倍だ」
ズンッ
(やばっ)
ガクン
「はぁ、はぁ、見たかこの野郎」
「最高記録はカイトの6.5倍だ、よくやった歴代1と位同列だ」
「まじ!?1年でですか!?」
「「「すげぇ!!」」」
「ハーッハッハッハ、どうだ!見たか!バカベルト!!」
「くっ、、、」
「これで少しは近づいたな」
「最近マジで化け物じみてきたなカイト」
「そうか?才能だろうな!」
「それでは今日の授業はここまでだ」
「「「ありがとうございました」」」
シャワーを浴びて訓練場から出る。
「おまたせカイト、いつも待たせてごめんね」
「いいよいいよ、ていうかそろそろ髪でも切りに行こうかな」
「結構伸びて来たね、私が通っている美容院教えてあげようか?」
「そんなのあるのか?」
前世では全て自分で切っていたカイト、美容院に通った事がないのだ。
「闘技会に向けて、少し気合を入れるためにも一緒に切りに行こうよ」
「そうだな」
「それじゃあ今日の放課後にする?ちょうど武活ないし」
「よし、そんじゃあそれで決まりだな」
(なんかデートみたいだな、、、ダメだ!そんな事考えてる場合ではない、、、でもここ3ヶ月頑張って来たしご褒美でそういう気分で行くのも悪くないな、うんこれは自分への頑張ったご褒美だ)
魔法修練場に着く。
「うーす」
「あ、カイトとセニカー」
ラゼッタとルフトが先に着いていた。
「まだ先生来てないのか?」
「うん、もうちょっとしたら来るんじゃない?」
「てか思ったんだけど、槍術科って今どういった練習してるんだ?ほら、闘技会も近いわけじゃん?」
「いつもと変わらないよ〜」
「へぇ、結構呑気なもんだな」
「まぁな、カイトも会ったんだろ?うちの担任に」
「まぁ、ハッキリ言ってうちの担任と比べたら覇気のなさには正直びっくりしたよ」
「あれでも昔は歴戦の勇士だったんだぞ?槍を持たせると人が変わったように強かったらしいんだけど、今は槍を持つ事すら怖がってるみたいだし」
「なんで怖がってんだろ」
「聞いた話だと、昔槍を持って人が変わったらしくて、生徒の1人を怪我させたみたい、本人はその間の記憶が無いらしいんだけど」
「なるほどな、それから槍を持つ事がトラウマになったって訳か」
「今槍術科でね、闘技会が近いから、先生に槍を持たせて、もっと鍛え上げて貰いたいと思って、作戦考えてるんだー」
「危なそうね、話だけ聞いてると」
「ところでさ、槍術科で1番強い奴って誰なんだ?」
「ん?あたしだよ?」
「ん?冗談はいいからさ、もったいぶらないで教えろよルフト」
「それが、、本当なんですよね〜」
「、、、えぇーー!!」
「何よそのリアクションは」
「だってお前、魔法すらろくに使えてないのに」
「ま、魔法は関係ないでしょ!?槍さえ上手くなれば問題無いんだから!」
「私もラゼッタが1番強いとは思って見なかったわ」
「それなら2週間後の闘技会で私の力見せてあげるわ!!勝負よ!剣術科!」
「おう、いいねぇ、まぁ優勝するのは剣術科の俺なんだけどな」
「私も負けないよ、1番は譲れないわ」
「俺はそーゆうのパスー」
「何言ってんのよ槍術科2位」
「え?お前槍術科で2位だったのか!?」
「ま、まぁね、ラゼッタの修行に毎日付き合わされてるから、気がついたら2位だった」
「俺ですら3位なのに、、、あ、そういえば槍と剣以外に後何の学科があるんだ?魔法以外に」
「拳術科と弓術科よ」
「へぇー、拳と弓かー」
「闘技会の今年の優勝候補が拳術科らしいわよ」
「嘘だろ?」
「本当よ、今年から担任が変わったんだけど、その担任があの拳聖の称号を持つ人らしいよ」
「どれくらい凄いんんだ?」
「拳術を習っている人物たちには段位と言うものが存在していて、1年から2年に昇級する時までに規定された段位を取らないと留年するんだけど、段位には上から闘神、闘王、拳聖、拳王、皆伝、3段、2段、初段よ、因みに闘神はこの世で1人しか名乗る事を許されない最強の称号よ」
「闘神か、、名乗ってみたいな、かっこいい」
「大体学園卒業までに取らないといけない段位が3段、拳術科の中に五星の1人がいて、その人は僅か2年生で拳王までの段位まで登り詰めたそうよ」
「やばいな、最強まで後3つじゃん」
「そうね、話が逸れたから戻すけど、その拳聖の先生が入って来たことによって、今の拳術科の1年生は僅か1年生で闘気を纏えるようになってるって話よ」
「え、1年生で闘気を纏えるのは無理じゃなかったっけ?」
「闘気は身体に危険が訪れたり、死にそうになったら自然と誰にでも現れるわ。本当は色々行程があって生徒に闘気を纏わせるように学園側は段階を踏むようにしているのだけど、その先生の教えが良いのか、それとも無理矢理死の恐怖を与えたのかは分からないけど、ほとんど全員が纏えるらしいわ」
「やばそうだな、これは気を引き締めないとな」
ジリリリリリッ
授業の鐘が鳴り、同時にファミルがやってきた。
「それでは授業を始めようかしら」
「「「よろしくお願いします」」」
「今日は何を教えようかしら、一応1年生までに教えないといけない事は全部教えたし、、、」
「え、俺たちってそんなに早く進んでるのですか?」
「えぇ、みんなの上達速度が素晴らしいからよ、嬉しいわ」
「じゃあ、先生のとっておきみたいな魔法を教えて下さいよ!」
「それじゃあ、とっておきを教えてあげましょうか、セニカちゃんには火と水のとっておきを、坊やには風魔法のとっておきを、カイトくんには無と光を、そしてラゼッタちゃんはいつも通り魔力のコントロールを教えてあげましょう」
「あのー先生!全員一緒にそのとっておきを教える事は出来ないのですか」
「今回は少し厳しいわね、ここから先の魔法は、適正によって進む速さが分かれるわ、だから一緒に教えるより、個別に教えた方が効率がいいのよ」
「でも、先生は1人だし、、、」
「あら、これでも私は3賢王の1人よ」
『クローン』
ファミルが魔法を唱えると、体から3つの別々のファミルが出てきた。
「これで問題はないでしょう」
「すげぇ」
そして個別の授業が始まった。
「それではまずは無属性魔法から教えましょう」
「よろしくおねがいします」
「では此処にある鏡の前に立ってちょうだい」
「はい」
そう言って鏡の前に立つ。鏡の前には自分がはっきりと写っている。
(結構筋肉ついてきてるな、入学当初の頃とは全然違うな)
「それでは今鏡に映っている自分を目を閉じて頭で描けるかしら」
「はい、何となくですけど」
「今から教える魔法は、先ほどわたしが見せたクローンという魔法よ」
「クローン?意味からしてもう1人の自分、分身って事ですか?」
「そうよ、使えるには、魔法の形状変換と維持が必要だからすぐには教えられなかったわ」
「思い描いた後は、どうしたらいいですか?」
「魔力を練って、今頭で思い描いた自分を体全体から推し出すようなイメージよ」
(んー、あ、イメージは幽体離脱だな)
そう思い、仰向けで地面に寝転がる。
(自分自身をイメージ、、、)
『クローン』
体から何かが出てきた感覚がした。
「あら?」
「ん?成功か?」
「一応成功なのかしら?」
目の前に転がっているクローンを見ると、、
「なっ!!!」
それは24年間もの長い付き合いがあった、前世の自分が目の前で倒れている。
『フレア』
慌てて、前世の自分を魔法で消す。
「あらまぁ、いきなり自分と違うクローンを出して、それを自分で消すなんて、なかなか恐ろしいことするじゃない」
「ま、まぁ!!な、なんか知らない人が出てきたので!!その、、、慌てて消してしまいました!!!」
「とりあえず今の感じで合っているわ、後は維持するだけよ」
その後もう一度使うとなんとか今の自分の姿が出てきた。
「それを魔力操作と維持で、操作するのよ」
倒れているクローンを立たせて、その状態を維持する。
「後は、自分のさせたい事を刻印で予め入力するとその通り動くわ」
(ロボットみたいなもんか)
「それより刻印っていうのは?」
「これも2年生になったら教えようと思っていたのだけど、刻印というのは無属性の適正がある人じゃないと使えない魔法よ」
「先生も無属性の適正だったんですね」
「私は全属性が適正なの」
「、、失礼ですけど、言わせてもらいます」
「何かしら」
「化け物め!!!」
嫉妬を全てぶつけ、刻印について教えてもらう。
「刻印というのは魔法や物質に命令を刻む魔法で。魔法を生成する前に魔力と一緒に練ると、刻印で自分が付けた効果や行動、軌道、命令などが魔法の発動と共に出てくるのよ」
(分かりやすくいうと、魔法に自分の命令や色んな事をプログラムする事が出来るのか)
「見てもらった方が分かりやすいわ」
そう言ってファミルは火の玉を出し、練習用の木人に向かって放つ。すると木人の手前で4つに分かれ、4方向からさらに大きく燃え、木人を捉える。
ドゴォン!
「今わたしが刻印したのは、目標にあたる寸前で分裂つするのと、魔力を上乗せさせた状態であの小さな火の玉を出し、分裂した瞬間に上乗せしていた魔力を吸い、更に大きい炎になるようしたのよ」
「なるほど、大体分かりました」
「少し難しいけど、練習していき、慣れれば、発動させたい魔法と同時進行で刻印を魔法に刻む事が出来るわ」
「頭がもう1つ欲しいですね」
(色々工夫したらめちゃくちゃ強くなれそうだな、雷魔法もかなり早く発動させる事も出来そうだし)
「取り敢えず、今日はここまで教えとくわ、もうすぐ闘技会があるでしょう?そこで私の生徒が1番になってもらわないと賢王の名が廃るわ」
(なるほどな、どの先生もやっぱり自分の教え子には闘技会で活躍して欲しいんだな)
「ありがとうございます!」
そしてクローンを刻印で色々プログラミングして、なんとかクローンに魔法を撃たせられるレベルまでには授業の終わりに出来るようになった。
ジリリリリリッ
「今日はここまでよ」
「ハァ、ありがとうございました」
「お疲れ様、、あ、そういえば、今日教えた魔法はセニカちゃん達には教えてはいけないわよ?」
「え?なんでですか?」
「聞くところによると、貴方達もうすぐ何やら大会みたいなのに参加するみたいじゃない、お互いの実力は隠しておいた方がいいんじゃないかと思ってね、一応他の生徒にも同じ事を言ってあるわ」
「それもそうですね、分かりました」
「大会頑張ってね、負けたらお仕置きよ」
「、、、はい」
魔法修練場を出るカイト。
「あれ?ラゼッタとルフトは?」
「なんかこれから大会に向けて特訓があるみたいだから、先に帰ちゃったみたい」
「そうか、んじゃ俺たちは俺たちで髪切りに行こうか」
「うん!」
学校から歩く事10分。
「着いたわ、ここよ」
「お、おぉーこれが美容院、初めて来たわ」
「取り敢えず入りましょ」
「おう」
カランカラン
「「「いらっしゃいませ」」」
「あ、セニカお嬢様、今日はお連れ様と一緒ですか?」
「えぇ、私はいつも通りの髪型で、カイトはどうする?」
「ん?あぁー、俺は取り敢えずお任せで」
「かしこまりました、ではご案内させて頂きます」
そう言って奥にある部屋へと案内され、髪を切ってもらった。
「このような感じです」
最後に合わせ鏡で後ろと横の出来栄えを見せてもらう。
「なんか凄いおしゃれですね」
後ろと横を風魔法で短く切ってもらい、アップバンクをずっと魔法でキープ出来る様ににしてもらった。
「セニカ様はもう少しお時間頂きますので、少しお掛けになってお待ちください」
「分かりました」
そう言われ、ソファに座って待つカイト。待っている間どうしても落ち着かないので刻印の練習をする。
〜20分後〜
「セニカ様のスタイリングが終わりました」
「おっ」
セニカの髪を切り終えた事を聞き、見に行くとそこには入学当初のセニカがいた。
「改めて切ってみると、やっぱり伸びてたんだな」
「もうー最初の一言がそれー?」
「あー、その、、俺が最初に惚れた姿に戻って、、その、惚れ直したっていうか、」
「フフ、ありがと!カイトも更にかっこよくなったね」
「そうか?ありがとう連れて来てくれて」
「じゃあ行こっか」
そう言って銀貨4枚払い店を出る。何故かセニカだけ無料だったから理由を聞くと、美容院のオーナーがセニカの父親の友人で、セニカの親父が出した金で店を立ち上げたみたいだった。セニカが貴族という事を忘れていたカイトだった。
「それじゃあこの辺でバイバイだね」
「あぁ、また明日な」
「うん、バイバイ」
そして今日は家まで歩いて帰る。テレポートは便利だが、何故かずっと使って移動していると、面白くないと最近思い始めたカイト。もちろん家にすぐ帰ってとっくするのもいいが、たまにはこうして歩くのもいい。
「ただいまー」
「あら、かっこよくなって帰って来たね」
「そう?カッコいい?」
「えぇ、父さんに似てきてかっこいいわ」
「なんか嫌だな」
「あらあら、父さんに聞かれると落ち込むわよ」
「にーに!かみきったのー?」
「ニーニ!」
「そうだよ、、、って!アルト喋れるようになってるじゃん!」
「ニーニ!」
「うぉー!よしよし!可愛い弟だなぁ!」
アルトを抱っこして頭を撫でる。
「アルちゃんだけずるい〜!エリーもしてほしいー!」
「ほーらよしよし〜」
わしゃわしゃ
「ほら、早くご飯食べないと冷めちゃうわよ?」
弟と妹を存分に撫で回した後、ご飯を食べ始める。
「今日は豪華じゃん」
「アルちゃんが喋れるようになった記念ともう一つお知らせがあるの」
「なんのお知らせ?」
「なにー?」
「ナー」
「ルミラが明日帰ってくるのそうよ」
「げっ、、姉ちゃんが、、もっと早く言ってよ、てかなんで帰ってくんの?」
「やったー!ねーねが帰ってくるー!」
「ネーネ!」
「4ヶ月前、父さんが片腕無くしちゃったでしょ?それを手紙で知らせたら帰って来るって言い出して、でも向こうも色々と忙しいらしくて、明日になったの」
「なるほど、、最悪だ」
その後の豪華なご飯の味はしなかったカイトであった。
「よし、んじゃ行ってくる」
「いってきまーす!」
「気を付けてらっしゃい」
「行こうか、エリー」
「うん!」
今日は魔法の特訓をするのでエリーゼを連れてきたカイト。
「きょうはなにするのー?」
「今日はエリーに面白い魔法を見せてあげるぞ!」
魔力を集中させる。
『クローン』
ブワァン
「にーにがふたりー!」
「どうだ?凄いだろ?」
「すごーい!」
魔力操作でクローンを操り、エリーゼに肩車をする。
「わーい!たかーい!」
「それ!」
クローンがエリーゼを肩車した状態で走り出す。
「キャッハハ、わーい!」
バシッ
「なっ、バカっ!」
シュン
ドテンッ!
興奮のあまり、クローンの顔を叩いてしまったエリーゼ、叩いた瞬間にクローンは消え、そのまま地面に落下したエリーゼ。
「エェェェェン!!!いたいよー!!にーに!!!」
「大丈夫だ、どこ怪我したんだ?」
すぐさま駆け寄り、何処を怪我したか聞くと。エリーゼ片足を出すと、膝から少し血が流れていた。
「よしよし、泣くな、にーにが今治してあげるからな」
『ヒールライト』
暖かい光がエリーゼの傷口を包み込み、やがて傷口は元どおりに戻った。
ギュッ
エリーゼがカイトに抱きつく。
「痛かったよな、ゴメンな」
「ひっぐ、、、もうだいじょうぶ」
「帰るか?」
「ううん、もうすこしいたい」
「そうか、じゃあこれをあげるから大人しく見とくんだぞ?」
そう言って、土と光の複合魔法の丸いライトストーンを色んな色に光る様に刻印入りで作る。
「わぁー、きれい」
そして特訓を始める。
(今日は取り敢えずクローンを身代わりぐらいにはできる様になるまでやるか)
そしてカイトの特訓は始まった。最初は楽しそうに見ていたエリーゼも気がついたら寝落ちして、家まで連れて帰ってから、また特訓を再開する。
(よし!取り敢えず自分の思うようには動かせられるようになったな!)
(ていうか明日どうしよう、ルフトん家泊めてもらおうかな、もし無理だったら師匠の家でもいいな)
そして家に帰り就寝する。