第1章 実戦訓練
第2戦
マシューvsメルトは、メルトは得意の風魔法でマシューと距離をとって戦うが、マシューがメルトの魔力切れを狙って長期戦に持ち込んだ、しかしメルトの魔力量がマシューのスタミナを上回っていたため、スタミナ切れを起こしてメルトの勝ちとなった。
第3戦
モルスvsタリカは、モルスの流派が攻めに特化したウェルトーア流だが、カンターを主としたタリカの女性限定メルティア流剣術でいなされバランスを崩したところをタリカが寸止めをしタリカの勝ちとなった。
第4戦
セニカvsニューロ
「頑張れーセニカー」
「スゥー、ハァー」
(ニューロって名前、顔も相まってなんかやだな)
ニューロは実は入学当初からセニカの事に対して好意を抱いている。辺境伯の嫡子で見た目は少し太っていて、目が細く、「デュフフ」という笑い声が似合う男だ。
「始め!」
「行きますよぉ、セニカたん」
(ゾクッ、頼むセニカ、強めに攻撃してやれ」
ニューロがセニカに向かって走り高くジャンプする。それを見たセニカはすぐさま飛んでカウンターをしようとするが、
ズルッ
(これは土と水の複合魔法泥?最悪だわ新しく買ったばかりの靴なのに)
「これでぇ、終わりで〜すぅ」
「あいつ自分でフラグ立てやがったな、終わりだな」
ガキィン
泥にはまったままニューロの剣を受け止める。
「なにぃ!?」
「わたしの〜靴ぅ!!!」
スパパパ
身体強化で元々速いセニカの剣が身体強化で剣の動きが見えないくらい素早く的確にニューロの丸裸にした。
「勝負あり!」
「セニカ、あれは正直やり過ぎじゃないか?」
「だってぇー、わたしの買ったばかりの靴が〜」
「ちょっと靴脱いで貸してみろ」
「ん?」
そう言ってセニカの脱いだ靴をもらい、魔力を集中させ手のひらの靴を水の玉の中に入れ、風魔法で素早く洗濯する。
「わぁ、すごいカイト!」
「ファミル先生の魔法を留める授業で一応今思いついた、そして後は」
風魔法と火を極限に弱くした魔法で熱風を作り素早く乾かす。
「よし!履いてみろ!」
「すごーい!乾いてる!ありがとう!」
「あぁこれくらいどうって事ない」
「ブーブー、なーにイチャイチャしてんだよー馬鹿ップル〜」
「いいなぁ私もあんな事された〜い」
「ヒューヒュー見てるこっちまで熱くなるぜ」
「ばっ、ばかやろう!そんなんじゃねーよ!こっち見んなし!」
「や、やめてよみんな〜、そんなんじゃないって〜」
「次始めるぞ」
「あ、次俺か」
「頑張ってーカイトー」
「あんなリア充に負けんなルシータ
第5戦
カイトvsルシータ
「ばっちこい!」
「悪いけど彼女の前で負かすぜ」
「始め!」
「オラァァ!!」
先に動いたのはルシータの方だった。カイト向かって身体強化で走ってくる。ルシータは最近まではオルフォルト流だったが流派の授業以来我流で戦うようになった。
『フレイムスラッシュ!!』
剣に炎を纏わせ斬りかかってくる。
「よっ」
バシッ
「何!?」
誰もがその光景に目を疑う。何故ならルシータが放った渾身のフレイムスラッシュをなんとカイトは片手で掴んでいるのだ。
「隙あり〜」
チョン
首に剣を当て、カイトの勝利となった。
「勝負あり!」
「なっ、なんだよ今の?」
「ん?普通に闘気使っただけなんだが?」
「それもずるいけど、なんで剣を素手で掴んでるんだ?」
「闘気に手に集中させる掴めるんだ」
「そんなのありかよ」
「なんでもありだからな」
「あれが今朝言ってたやつ?」
「そうだよ」
「相変わらずさっきの魔法といい無茶苦茶よね」
「褒め言葉として受け取っとく」
そして第6戦から8戦が終わり準々決勝。
準々決勝第1戦
アルベルトvsメルト
「始め!」
今度は合図が掛かった瞬間メルトが先に風魔法で先制攻撃をする。
「『ウィンドスピア』からの『フレア』」
炎の槍がアルベルトを襲う。
「ハァ!!」
飛んできた炎の槍を真っ二つに斬る。
「やっぱつえーなアルベルト」
「こんなものかメルト?」
「言ってくれるじゃねーか」
『アイスジャベリン』
今度は5本の氷の槍がアルベルトに飛んでいくが全て斬った後すぐさまメルトの目の前まで移動する、それにすかさずメルトは氷で二本の剣を作り。
『クワドラブレイド』
『ヴリズンセイバー』
アルベルトの4連撃とメルトの氷の二刀流がぶつかり合う。
ギリギリギリ
パキッ
パキィン!
「勝負あり!」
「やっぱつえーわ」
「最後の切り替えは良かったな」
「すげーなメルト、あいつあんな事できたのかー、やっぱみんなちゃんと頑張ってんだな」
「そうよ、わたし達だけが頑張ってると思ってたら足元すくわれるわよ」
「ますます頑張らねーとな」
「うん」
準々決勝第2戦
タリカvsセニカ
「頑張れー似た名前同士ー」
「決着をつけるときがきたねセニカ」
「うん、手加減はしないよタリカ」
「始めっ!」
「セアッ」
先に仕掛けたのはセニカだった。
キィンッ キンキンキン ジャキン
2人の素早い剣戟が繰り広げられている。
『ウィンドスラッシュ』
3枚の風の刃がセニカに向かって飛んでいく。
『ストームバレット』
石つぶてで相殺し、、再び魔力を集める。
『アクアショット』
水の弾丸がタリカに向かって飛んでいく、それを見たタリカは水を避けようとした途端、、、
ドカァン
カイトがセニカに教えた水蒸気爆発がタリカの目の前で起こる。
(結構派手にぶっ放したな、大丈夫か?)
ヴァイスの方を見るとただ静観している。
(って事はまだ大丈夫か)
そして煙が立ち込めている中剣戟の音だけが聞こえる。
キィンキィンキィン
ガキィン!
ガシャン
「勝負あり!」
(待て待て何にも見えないぞ)
ゆっくりと煙が消えていき人影が見える。やがて煙が完全に消え、セニカが立っているのを確認できた。
(焦ったー)
「マジで一瞬負けたかと思ったぞ」
「実際危なかったしね、強かったー」
「後はアルベルトだな」
「うん!」
準々決勝第3戦
カイトvsメイダ
(女かー、やりにくいなー)
「始めっ!」
「最初に仕掛けたのはメイダ、ファルシアン剣術の使い手だ、その華麗な動きでオーロンを惑わし1戦目を勝ち取ったメイダ。
キィンキィン!
(くそ、剣が掴めねぇな、やっぱ最初に見せるんじゃなかった、だったら!)
スッ
「っ!?」
メイダの肩に手を当てるカイト。
『テレポート』
真上にメイダとテレポートするカイト。魔力を集中させ巨大扇風機をイメージする。そして溜めた魔力を風に変換。
「吹き飛べぇぇぇぇ!!」
ブウォンッ!!!
「なっ!!」
「場外!」
「よし!」
「なんでわざわざテレポートで上まで上げたの?」
セニカに不思議そうに聞かれる。
「なぜって地上にいたら色々と抵抗できるだろ?剣を地面に挿したりとか、土魔法で足を埋めたりとかで」
「でもその間攻撃できたじゃない」
「場外がありなら傷つけるよりマシだろ?」
「そうね、、」
どこか機嫌を損ねてしまったカイト、女心というのはまだカイトには理解出来ないようだ。
準々決勝第4戦
オルグvsロン
ロンはクラスの授業だと何か突出した目立った能力はない、しかし一方のオルグはクラスで3番目、セニカの次に強いと言われている人物だ。クラスの誰もがオルグの勝利を確信していたが。
「勝負あり!」
「まじか?ロンが傷1つ付かずに圧勝だと?」
「すげぇー!」
「あんなに強かったんだロンって」
オルグが弱かったわけではない、普段よりも動きにキレもあり、魔法の実力も高かった。しかしロンには傷1つ付けることは出来なかった。ロンにはクラスのみんなに内緒にしていた事があった。それが異能であった。その能力とは『イメージマジック』
イメージマジックとは、自分の想像した形の魔法が放てる能力、本来ならイメージしてから魔力を変換し、その形を留めた状態で放出しなければいけないが、ロンはその工程省いて出すことが出来るのだ。大きさで消費する魔力は異なるがロンは剣術志望だが1年の魔法学科の授業はすでに入学前に取得済みで仕方なく2年になるまでは剣術を志望していた。
「ふぅ、危なかった〜、思った以上にオルグの攻撃は早かったよ〜」
「くっ、無念」
(次は俺があいつと当たるのか)
「少し休憩を取るぞ」
「んじゃあちょっと外でようかな」
「どうしたの?」
「外の空気吸って集中する〜」
修練場から出て階段に座り休むカイト。
(ふぅ、どうすっかなー)
「あ、いたいた」
「お?ロンか」
「こんなとこで何してんの〜?」
「お前を倒す方法考えてるんだ、邪魔すんなよ」
「それは悪いことしたね、それじゃあ先に入って待ってるね」
「おう」
「あぁそれと、五星になるのは僕だから?本気で行くよ?」
ゾワッ
「へっ、上等だ」
背後で魔力による威圧をかけてきたロンからの挑発を受け取るカイト。
「それでは準決勝を始める」
準決勝
アルベルトvsセニカ
「今日こそは勝たせてもらうよ、アルベルト君」
「どれ程のものか見せてもらおう」
「始め!」
「セアッ」
「フンッ」
ガキィン!
ギィギィ
力はアルベルトに利が出た。鍔迫り合いで押し負けそうになった瞬間、重心を後ろにそらせ、いなすセニカ。アルベルトはすぐさまいなされた剣を捨てた。
『双打』
2つの剛拳がセニカの腹部を狙う。
ガギィ!!
剣でギリギリガードしつつ、剣に炎を纏わせた瞬間剣を取り少し後ろに飛ぶアルベルト。
『フレア』
アルベルトが魔法を放つ。
『アクアショット』
煙が立ち込める。
『ウィングスラッシュ』
煙を風で飛ばすセニカ。すると煙の奥には誰も立っていない。
「上ね!」
「遅い!」
ガキィン!
(くっ、、やっぱり強い)
剣に炎を纏わせる。
「もうその手は聞かん」
『アクアソード』
バシュー
『エレクトロソード』
バチバチバチッ!
「ぐっ、、なん、、だ」
「最初に火を纏わせたのは、これのための布石よ!」
『オルフォルト流・閃双』
「ぐ、がぁぁぁ!!!」
ガキィンッ!!!
(動いた!?)
『オルフォルト流・天昇斬』
「焦って、俺の前で使ったなオルフォルト流を使ったな」
「しまっ!!」
『オルフォルト流・岩流し』
天昇斬を岩流しでいなされ、バランスを崩すセニカ。
『オルフォルト流奥義・黒閃』
ガキンッ!!
「勝負ありだ」
セニカとアルベルトの間にヴァイスが入り、アルベルトの剣を止める。
「すいません、つい、、すまないセニカ」
「いいよ、そこまで本気にさせたのはわたしだから」
「「「すげぇー」」」
「やっぱあの2人は違うよなー」
「これで実質アルベルトの一位は決まったな」
「いや、まだロンがいるぞ」
「そういえばカイトはどこ行ったんだ?」
「ちょっと探してくる」
メルトが修練場から出て行きカイトを探す。
「おーい、カイトー、あ!いたいた」
10メートルくらい離れたところにカイトが立っていた。
「おい次お前の番だぞ、早くしろー」
「、、、」
「ったく、俺は戻るぞー」
そう言って修練場に戻る。
「何してたんだメルト?」
「あれ!?カイトなんでここに!?さっき修練場の外にいたじゃねーか」
「ハハッ、気づかなかっただろ?」
「どうせテレポートでも使ったんだろ?」
「まぁこの試合で見せてやるよ」
準決勝
カイトvsロン
「休憩の時はよくも挑発してくれたな」
「じゃないと本気を出してもらえないって分かってたか、、、」
「、、、、」
スッ
すぐさま構えるロン。直後、、
ズドォンッ!!
10メートルの距離を僅か1ステップでロンの目の前に近づくカイト。
(やばっ、はやい!)
『ストーンシールド』
ロンとカイトの目の前に一枚の岩の壁が現れる。
ズゴォーンッ!!
岩の壁に穴があき、穴からカイトの拳が見えた。
(あともう少し壁が薄かったら届いてた、、、)
「いきなり危ない事するじゃん」
拳を岩の穴から抜くカイト。
「今のでいけたと思ったんだけどなー、踏み込みが浅かったか?」
「話の途中でそれはないよ〜」
「悪りぃ、五星の話が本当ってとこしか聞いてなかった」
「まぁいいや、もう油断しないよ」
「本当か?」
背後から声が聞こえる。
『ウォーターロック』
水の中に瞬時に閉じ込められる。
「君がセニカの靴を洗ってるのを見て今想像したんだ〜」
風の魔力で水の中でぐるぐる回るカイト。
シャキン!
バシャン!!
「危なかったー」
「今の抜けるんだ、じゃあこれは?」
『ストーンロック』
地面から岩が生えてくるのを見てジャンプしたが片足だけ掴まれた。
「オラァ!!」
ドゴォン!
岩を闘気で纏った素手で砕く。
「もう終わりか?」
「まだだよ〜」
『ウィングバード』
4体の鳥が出てくる。
「それ中級魔法じゃねーのか?」
「さっきからの魔法は全部中級だけど?」
「んじゃ大した事ねーな」
「そうかな?」
飛んでくるウィングバードを順番に斬っていく。
「1、、2、3、、、っ!!」
最後の1体を斬ろうとした途端。
ブフォン!!
最後の1体が突如燃え始め、小さな鳥から段々と姿を大きくしていき。
『フレイムイーグル』
(これはやべーな、まともに喰らったら大怪我だぞ)
『アクアショット』
ブシュウゥ
(消火できねぇな、テレポートできる魔力ももうないし、師匠はよく魔法を剣で切ってるけどやり方聞いたら、魔力の集まっている部位に攻撃するとって言ってたけどどこだか分かんねーよ)
(こうなったら一か八かだ)
魔力を集中させ、剣に水属性を付与。魔力で冷やし、氷にする。
(メルトにやり方聞いといてよかったぜ、そんなに難しくなかったしすぐ出来たけど、、、これで消せるかわかないんだよなー)
もう一度じっくりとロンの魔法を凝視する。鷲の胸あたりから火が出てくるのが見える。
(、、、もしかしてあそこか?)
「来ないならこっちから行くよ〜、魔力結構消費するんだよねこれ〜」
「それっ」
炎の鷲が猛スピードで飛んでくる。
「オラァァァァァ!!!」
ギリギリ当たるか当たらない距離でしゃがみ、、
「ここだぁ!!」
グサッ
ブフォンッ
「よし!」
「アレを消す!?先生じゃあるまいのに!!」
「これで終わりだ!」
「ちょっと待って!タイム!!」
ピタッ
「勝負あり」
「「まじかぁ!!」」
「クラス1の雑魚がロンに勝ったぞ!」
「剣術だけならへなちょこの癖にめちゃくちゃつえーじゃねーか」
「弱いのにすごいねカイトって!!」
「おいお前ら、褒めてんのか貶してんのかどっちなんだ?」
「アッハハ、おつかれカイト!」
「ったく人の事貶しやがって、どうだったんだセニカの方は?」
「負けちゃった」
「そうか、あんまり落ち込むなよ?まだまだこれからなんだから、俺が勝ってセニカの仇を討ってやるよ」
「フゥー、強いかったよカイト〜」
「お前俺のこと殺しに掛かってただろ?」
「そうでもしないと勝てないと思って」
「これからはお互い五星を目指すもん同士頑張ろうぜ」
「あー、あれ嘘だから」
「へ?嘘?」
「うん、ああでもしないとカイトの本気見れないなって思っちゃって」
「なんだよそれ〜、そんな事しなくなって本気で言ってるよ」
「そう?アッハハごめんごめん!」
「それでは決勝始めるか?」
「ターイム!あいつも俺も結構消耗してるし万全な状態でやらせてください!!」
「分かった」
〜30分後〜
「そろそろか?」
「ばっちしです!」
「私はいつでも行けました」
「強がってんじゃねーよ、セニカに負けかけた癖によう」
「フン、あのまま戦っていれば確実につまらなく私の勝ちになっていた」
「バァーカ、こっちのセリフだよ」
「それでは始めるぞ」
決勝
アルベルトvsカイト
「始め!」
『アクアショット』
パシュン パシュン パシュン
シュイン!
「きかんな」
前にステップしてアルベルトに斬りかかる。
ビチャ
少し手前で止まるカイト。
ビリビリッ
最大出力の電撃を水を伝って通す。
(これはセニカと戦ったときの、、、)
「オラァァァァァ!!」
ガキィン!!
(魔法を内側から外に放って解除しただと)
「2度同じ手は喰らわん」
バッ
『チカチカフラッシュ』
「なっやめろっ!!眩しいぞっ!!」
「貰いー!」
ガキィン!
「冗談だ」
「うっざ」
「結局貴様の本気はその程度か?」
「今から見せてやるよ」
「フンッ!」
ブワァン
剣を右手で持ち、左手と両膝に闘気を纏わせる。
ドガァンッ
ロンとの最初にやってみせた高速の刺突をする。
ガキィ!!
剣を縦に構えガードする。
『オルフォルト流・斬破」
アルベルトは後ろにステップし距離を取り、剣撃のエネルギーを飛ばす。
闘気を腕に集中させ、斬破をいなし返す。
『オルフォルト流・岩流し』
斬破を跳ね返され、即座に岩流しで背後へといなした直後、目の前にもう一つ風の斬撃が飛んできた。
『ウィンドスラッシュ』
すぐさま態勢を崩しながらも避けるがすぐさま他の攻撃が飛んでくる。
『フレイムスピア』
炎を纏った槍が飛んでくる。
「舐めるなぁ!!」
シュイン!
フレイムスピアを斬って、すぐさまカイトに飛びかかる。
『オルフォルト流・獅子噛ミ』
上からの剣をガードした途端、即座下からの斬り上げが来る。
ガシッ
「この技を掴んだだと?」
「お陰で少し手が切れたぜ、離さねぇぞ?」
「だったら徒手でやるまでだ」
『焔相寺拳法・火撥』
カイトの腹部めがけて掌底が飛んでくる。
「ぐふぅっ」
(何だその技?そんな事も習ってやがったのか?
アルベルトの剣を持ったまま吹き飛ぶ。
「場外か、」
「勝負ありとはまだ言ってないぞ?」
パラパラ
煙から二本の剣を地面に突き刺してギリギリ耐えたカイト。よく見ると腹部に闘気が見える。
「耐えたか」
「ハァハァ、まだ終わらせねぇよ」
「フゥ、ならばすぐに終わらせてやる」
『オルフォルト流無手ノ奥義』
「あの技は!?先生!あれをまともに喰らったらカイトが!」
「勝つまで止めるなと試合前に言われている。勿論危なければ止めに入る」
『赤地四海』
アルベルトの拳が赤く光る。
「これで最後だ、、」
闘気を両腕に集中させる。身体強化を限界以上に引き上げる。このまま攻撃をすると自分の腕ごと破壊されるため負担のかかる部位に闘気を全て集中させる。カイトがロンと戦う時にみせた突進も実は身体強化を極限まで高め闘気で体を保護した上であの速さが出せる訳であった。
一歩前に踏み込み左右から剣で挟み撃ちにするカイト。それを見たアルベルトはしゃがみ回避したが、、
「ゴフッ」
なんと身体強化と闘気でカバーした腕を囮に使い、膝でしゃがんだ所に膝蹴りを入れる。
そして拳に闘気を纏い殴る。アルベルトもすぐに態勢を立て直し殴る。もはやお互いガードをせずにただ殴り合っているだけだ。もはやどちらかが倒れるまでの我慢比べとなっていた。
「オラァァァァ!!!」
「ハァァァ!!!」
バキ ドゴォ ドゴ
「ハァハァ、、さっさとくたばってもいいんだぞ?」
「たわけ、、貴様に負けるなど、、一生の恥だ、、」
そしてだれしもが次の一撃で勝敗が決まると理解する。拳を赤く光らせるアルベルト、体中の闘気を全て拳に纏わせる。
『崩拳!!』
「くたばれぇぇぇ!!」
ドゴォ
お互いの顔に拳が命中する。
ドサッ
ドサッ
「、、、どうなった?」
「ひ、ひきわけか?この場合?」
「おい待て、見ろ!」
ズルッ
立ったのはアルベルトだった。
ズルッ
そしてカイトも立ち上がろうとするが、、
「やっぱ、、」
「つぇや、おま、、え」
ドサッ
「勝負あり!」
「「「うぉぉぉぉ!!!」」」
「いい勝負だった2人とも!!」
「熱かったぞ!!」
パチパチパチ
拍手をされるがアルベルトとカイトにはその拍手は届いてなかった。
ドサッ
アルベルトも倒れる。
======================
「あぁ〜、負けたのかー」
アルベルトとの一戦から授業が終わり、魔法修練場に向かうセニカとカイト。
「でもすごいかっこよかったよ2人とも」
「俺が勝ったら最高にかっこよかったのにな〜」
「まさかあんなにアルベルト君相手に善戦するとは思ってもいなかったわ」
「闘気がなかったら絶対負けてたな、あいつが闘気まだ無くてよかったよ」
「どれくらい強いんだろうね、闘気があったら」
「まぁいいや、これからもっと強くなるし」
「おぉーい!」
「あ、ルフトだ!」
「お?ルフトか、どうだ?身体の調子は?」
「この通りバッチしよ!それよりなんで今日はお前の方がボロボロなんだ?」
「実戦訓練があってな」
「そうかそうか、そういえば今日俺たちの魔法教室に新しい生徒連れてきたぞ」
「お?誰だそれは?」
「もうすぐ来ると思う」
*「おぉ〜い」
「ん?だれだ?」
*「とおっ!!」
「グヘッ」
いきなりルフトに飛び蹴りをかますラゼッタ。
「ラゼッタか!!」
「ご無沙汰ー!」
「カイト知り合い?」
「そうだ、セニカには言ってなかったな、ルフトが倒れた日にお世話になった槍術科のラゼッタだ」
「どうもどうも〜」
「はじめまして、私はセニカ」
「なんで急にラゼッタが俺のたちのところに?」
「なんかラゼッタの所の魔法の先生がラゼッタにいくら魔法教えても出来ないから、「やる気がないならこの教室から出て行けー」って言われたらしく、それで俺たちの所を紹介したわけ」
「なるほどな、あの事は言ったのか?」
「まだだ」
「なになに〜」
「ここの先生めちゃくちゃ凄い人だから入ったら絶対誰にも言うなよ?絶対だぞ?」
「う、うん、2人とも怖いよぉ」
「それじゃあ行きましょう」
「これでいつ通り明るいクラスに戻ったな」
「お前が帰ってきたことによって騒がしくなったんだよ」
「もうっほんとは嬉しいく・せ・に♡」
「ラゼッタ、コイツもっと虐めてくれてもいいぞ」
「何やってんのよバカルフト」
ギュウウウ
「イテテテ、耳引っ張らないでー」
こうしていつもの授業に1人追加され、さらに賑わうファミルの魔法教室。ちなみにファミルの正体を知ったラゼッタは授業中にずっと放心状態だった。