第1章 武活
「、、んぅ」
寝返りをうつ。
「、、あれ、腕の痛みが消えている」
腕を色々な方向に動かす。
「ほぅ、改めて魔法って便利だな、ラムカ先生に礼を言って行かないとな」
ベッドから降りて、病室から出る。
「あれ?どこ行ったんだ?」
診療所を探し回る。
(一応聞いてみるか)
「あのーラムカ先生はいらっしゃますか?」
「ん?確かさっきここから出て行ったのを見かけましたけど、、」
「分かりました、ありがとうございます」
診療所の外に出るとラムカの姿が見えた。
「あ、いたいた!ラムカ先生!」
「ん?カイトかい?ちょうど良かった、さっきルフトが病室から出て行ったんだ」
「なに!?まだ完治していないんですよね?」
「さっき目が覚めて、あんたが運ばれた事を教えたら飛び出て行ったんだ」
「ったく、何やってんだあのバカ」
「悪いねカイト、何かマズイこと言ったようで」
「大丈夫ですよ、それにラムカ先生のおかげで腕も無事治りましたし」
「あら、もう治ったのかい?てっきりもう少し掛かると思ってたんだけどねぇ」
「そんなことよりルフトの事探してきます」
「えぇ、でもまた怪我しないように気をつけるのよ!」
「約束はできませんけど、なるべく心がけます!」
そう言って診療所を後にし、2年生の校舎へと走る。すると道中でヘトヘトになっているルフトを見つける。
「おい!ルフト!馬鹿野郎何やってんだ!」
「ハァ、カイトか、、迷惑かけてごめん、、きっちり自分で始末つけるから、、」
「いいって、取り敢えず戻ろう?な?もうかたは着いたんだ、これからアイツが俺たちに手を出してくることは無い、だからもう心配すんな」
「でもアイツ、お前をあんな目に遭わせたんだ、ただではすまさねぇ」
ポカン
「痛て」
「それは俺も同じだ、お前をこんな目に遭わせたアイツを今のお前みたいに探し出そうとして一発殴ろうとして返り討ちに遭った。このままだと一生お互いがやられてるのを見て返り討ちに遭うだけだ」
「、、、」
「だからもういいんだ、お前がへんにイジメられていないって分かっただけで安心したわ、まだやろうってんなら強くなってからだ、アイツだけじゃなく他の五星にも引けを取らないくらいに」
「、、わかった」
「よし、それとシュリカおばさんには俺の家に泊まっていた事にしてあるから安心しろ」
「ありがとう」
「それとだ!今後女には無闇に手を出すんじゃねー分かったか?」
「違うんだよ、俺でも他人の女か見分けをつけれる。スカーレットちゃんはアイツにただつきまとわれているだけなんだ、それをアイツは勝手に勘違いをしてだな、、なんだ?その顔?」
「あいつあの頭で、そんな気色悪かったのか」
「全くだよ本当に、まぁいいや取り敢えずテレポートで送ってくれないか?」
「やだ、迷惑かけたんだし自分で歩けよ」
「えーヤダヤダー、お願いー、送って送ってー」
「じゃあな」
『テレポート』
「あいつやっぱ鬼だわ」
======================
「すいませーん、遅れましたー」
「調子はどうだ?大丈夫か?」
「迷惑かけました本当すいません」
「友を助けるのはいいが無茶をするな」
「はーい、でも師匠が助けに来てくれた時はほんとかっこよかったっす、あいつの技をあんな簡単に避けて、やっぱり凄いっすね俺の師匠は!」
「フッ、呑気な奴だな」
この1カ月と泊まりに行った事がきっかけでヴァイスとカイトの関係は先生と生徒ではあるものの、どちらかと言えば師匠と弟子のような関係の方ががしっくりくる。なのでカイトやセニカと話している時のヴァイスは他の生徒から見るとどこか穏やかに見えるのだ。坊主頭の元八星の変態にカイトがやれているのを見て、ヴァイスが怒りを露わにしたのは今の2人の関係がより親密になっている何よりの証だ。しかしヴァイスもプロである、多少弟子のような2人には贔屓もするが、他の生徒にも変わらないようにしっかりと教えを施している、なので誰も今の現状に不満を持っていない。ただ1人を除いては。
「フン、下らん」
誰にも聞こえない小さな声ボソッと呟く。
「アルベルト!今日はお前との打ち合いの約束だったな」
「はい」
「では始めるぞ」
「その前に1つ聞いてもよろしいでしょうか?」
「なんだ?」
「なぜあの2人をそこまで贔屓にしているのですか?」
「贔屓?そう見えるか?」
「えぇ、みんなもそう思っている筈です。先生の教えは的確で悪いところがなくみんなの事を一人一人ちゃんと見ていますがあの2人に対する教えの姿勢は他とは違います」
「そうか、すまない、なるべく気を付けるようにしよう」
「いえいえ、そういうつもりで言ったわけではありません。ただどうしてかあの2人なのか聞きたくて、セニカは分かりますが、どうしてあの平民を」
「そうだな、そう言われても分からないが、ただアイツは他の誰よりも質問をしてくるし、人と話す時の壁を感じないからとしか言いようがないな、お前たちは未だに俺の事を何処かで恐れているだろう、無理もない、何故なら俺は昔多くの命をこの手に殺めてきた」
「私はそんな事はないとおmっ!!」
ガキィン!
いきなり目の前に突きつけられた剣をすぐさまガードするアルベルト。
「その反応が証拠だ、俺は今お前に完璧に不意打ちをした、しかしそれを防いだ、何故だか分かるな?」
「私が潜在意識のどこかで先生を恐れて、、」
「そう言う事だ、本当に尊敬している、親近感を覚える相手には不意打ちは必ず当たる物だ、しかし何処かでその人物を恐れていたり或いは警戒をしていると不意打ちをされていても体が勝手に瞬時に反応することが出来る。俺とお前の間には、まだ壁があると言うことだ」
「しかしアイツは過去の俺など知った事ではないと言わんばかりに接してくる、まるで昔一緒に戦場で戦った仲間達のように」
「それ、だけですか?」
「人と話す時に壁を張っていると、相手側も無意識のうちに壁を張るものだ。今の俺とお前たちのように。俺とアイツは特別仲がいいわけではない、ただアイツが俺を先生と慕いつつ俺に信頼を置いてくれているから自然とそうなる」
「そうでしたか、決して贔屓しているわけではなかったのですね」
「当たり前だ、お前達は全員平等で同じ俺の生徒だ、信頼関係がなくとも俺はお前達にしっかりと剣を教える義務がある、ただそれだけだ」
「これでスッキリしました、それでは手合わせお願いします」
「あぁ、長くなったな、今日は少し加減を減らすぞ」
「こい!」
======================
「セニカ、この前言ってた、武活見つけたか?」
「まだ見つかってなーい」
「今日放課後行くか?」
「いいの!?やった1人じゃ心細かったのよね!」
「その武活の情報ってどこで見れるんだ?」
「確か学校の1年校舎の一階の廊下にチラシがいっぱい貼ってあるよ!」
「んじゃ今日一緒にそれ見てから決めるか!」
「うん!」
「ねぇねぇあんた達最近クラスで噂になってるけど、付き合ってるの?」
「はっ!はぁ!?別にー?」
「つ、付き合ってないよ!」
「ほんとぉ?怪しいわね」
「本当だって!もうっ!」
「ったく、おどかすんじゃねーよ、焦っただろ?」
「ふーん」
「そ、それじゃあ俺はちょっと型の練習にー」
「わ、わたしも、先生に聞きたい事がー」
スタスタスタ
ジリリリリリッ
こうして今日の昼の授業は終わった。そして魔法の授業は今日もひたすら魔法を留める練習をした後、自分の教室に戻る。
「それでは今日の授業はこの辺で終わりにしましょ」
ジリリリリリッ
「よし、じゃあ行こうかセニカ」
「うん!」
一階の廊下に貼られているチラシをみる。
『攻めに特化した流派ならウェルトーア流剣術で間違いなし!!!』
『その華麗な剣筋は敵をも魅了させる、ファルシアン流剣術、美しさこそ最強!!』
『大陸一の剣術“オルフォルト流剣術”最強になりたければここしかない!!』
『メルティア流剣術、女性武員のみ求ム!!』
『ガストルト流剣術、一撃粉砕!!一撃こそ正義!!!』
「んー全部微妙だな」
(全部西洋系の剣術じゃねーか!俺が想像してたのはこう、柳流剣術だとか無明一刀流とかそんなの期待してたのにー)
「そうだね、なんか入る気にならないよね」
「まぁ取り敢えず色々行ってみるかダメだったら他の探せばいいし」
「そうね」
「よし、行くか!」
2人は校舎を出て武活校舎に向かう。
「そう言えば、どうして急に流派を習おうって思ったの?」
「そうだ、言ってなかったな、俺この学園生活の目標五星を全員超えるって事にしたんだ」
「ご、五星を超える!?」
「あぁ、1年生の間に、猛烈に血反吐を吐く勢いで修行して、五星全員を超えてやる」
「にしてもどうしていきなり?一ヶ月前までは、わたしの腰巾着になるみたいなこと言ってたのに」
「あれは冗談だよ冗談、、、ただ今のままでは卒業してから旅に出た時、何にもできねぇなって思ったんだ」
「へぇー、じゃあまずは私に勝てないとね!」
「えー、セニカには本気で戦えないよ、、その、、、傷つけるのやだし」
ポッ
「バカ」
そして2人はチラシにあった所を全て回ったがお互いこれだと思う所は見つからなかった。
「ハァ、結局どこも良さそうなとこなかったな」
「オルフォルト流以外は全部実戦で使えそうにない奴ばかりだし」
「あ、そういえば武活なんか見つけなくても俺たちもっといい人知ってるじゃん!」
「それってもしかして、、、」
「そうシェインさんだよ!」
「でも毎日自宅に行くのはちょっと迷惑じゃない?」
「うーん、何か方法はないのかなー」
「武活を立ち上げて貰えばいいんじゃない?」
「え?そんな事できるのか?」
「うん、ここの学園の武活は学園の先生の推薦で武活創設の許可を学園に申請すれば、場所があればだけど作る事は可能だよ」
「それだ!それで行こう!そうと決まれば師匠を探しに行くぞ!!」
「ちょっと待って先生もう帰ってるかもしれなっ!!」
『テレポート』
「のよ、、、ハァ、それが使えるの忘れてたわ」
コンコン
ガチャ
「シェインさん!お話があります!」
シェインに自宅に入れてもらい武活について説明する。
「っていう事なんですけど、、なんとかならないでしょうか??」
「いいぞ、お前達の為ならな」
「え?うそっ!?」
「よっしゃあああ!最高の先生ゲットだぜ!!」
「しかしヴァイが許可を出すかどうかが心配だ、それにシエルの事もある」
ガチャ
「帰った」
「いいタイミングで帰って来たな」
「師匠、お邪魔してます」
「なぜお前達がここにいる?」
ヴァイスにも一通り説明をする。
「俺は賛成だ、刺客の問題も学園の中では大丈夫だろう、学園長にも俺たち2人の境遇は理解して頂いている。明日俺から話をつけてこよう」
「やった!これでもう何も心配はいらないね!」
「そうだな!シェインさんに教えてもらえば五星超えもすぐだぜ!」
「まったく、まだ決まっていないのにはしゃぐな」
「最後に流派の名前だ、これがないと申請できない」
「んー正直なところ、俺とセニカ以外の武員は欲しくないんだよな、武員が多くなると色々面倒だし、弱そうな名前をつけて武員が来るのを妨げましょう」
「ではどういった名前にする?」
「うーん、、そうだな、シンプルに『へなちょこ流剣術』でいいんじゃないですか?」
「絶対バカにされるね」
「まぁいいじゃん?シェインさんを2人じめ出来るんだし、それにへなちょこ流剣術って聞いて試合とかすると絶対敵も油断するだろ?名前に反する強さを見せつけて、ビビらせてやろうぜ!」
「そうと決まれば明日申請に言ってくる、結果はまた後日放課後に伝える」
「はーい」
「じゃあ、取り敢えずもう決まったみたいだし帰ろうかな」
「もう帰るのかセニカ?」
「なんなら泊まっていってもいいのだぞ?うちの娘もセニカの事気に入ったみたいだしな」
「そう言って頂けると嬉しいですが、2日連続は流石に親も心配になると思いますので、また日を改めてから遊びに来ます!」
「んじゃ俺も帰ろかな」
「そうか、それは残念だな、それでは気を付けて帰るのだぞ?2人とも」
「はい、ありがとうございました」
こうして武活の話はトントンと進んだ。
「それじゃあまたねカイト」
「学校まで送って行かなくていいのか?」
「先生の家からの方が近いし大丈夫」
「そう、、か」
「どうしたの?」
「まぁ、、その、、あれだ、好きだよセニカ」
カァーッ///
「う、うん、、、私も、、す、好きだよカイト」
付き合いはしないがこれを最後に自分の意思を伝える、前回はかもしれないとだけ伝えたが、今回はハッキリと、そして卒業するまでお互い修業に集中する。
「何してるのですかお2人共?」
「うわっ!びっくりした〜シエルちゃんかー」
「ただいま帰りました、お2人は帰られるのですか?」
「う、うん、今日は帰るの」
シエルが少し寂しそうな表情をする。
「また今度遊びに来るよシエル」
「その時はまた色々お話しよシエルちゃん!」
「はい!」
そして3人は別々の方向に帰っていく。
ガチャ
「ただいま〜」
「に〜に!どこ行ってたのー?」
「ちょっと先生の家に修業ついでに泊まって行ってた」
「しゅぎょー?」
「エリーゼにはまだ早いな、今は可愛くにーにに甘えてればいいんだ」
「エッヘヘ、にーにだっこー」
「結構クタクタだけど、、それっ!」
「キャッハハ、たかーい!」
「ところでアルはどこいったんだ?」
「ねたー」
「全く泊まって行くなら一言言ってくれなきゃ心配するでしょ?」
「ごめんごめん母さん」
「取り敢えず、ご飯の用意はできたし、食べて来なさい」
部屋に戻り着替えて食卓にいく。
「カイト、最近剣術の方はうまく言ってるか?」
「剣術はまだまだひよっこだけど戦闘訓練はかなり良くなって来たよ」
「ほう、一昨日今日こそは一本取るって言って張り切っていたが、どうだったんだ?」
「一本は取れなかったけど、師匠からはお前は一本以上の物を俺から取ったって言ってもらった」
「あの傭兵ヴァイスからの一本以上ってなんだ?」
「本気だよ、先生から本気を無理矢理引き出したんだ、あのままだったら危なかったって言って」
「ガッハハ、やっぱり俺の息子もたくましくなって来たな!」
「カイト?今日の訓練はもう終わったの?」
「あ、そうだ、忘れてた!」
「にーに、エリーも行くー」
「ダメよエリー、お兄ちゃんを困らせないの」
「いいけどエリー、またあそこに行くんだぞ?いいのか?」
「やっぱイヤー!」
カイトのいうあそことは、以前エリーゼがカイトの訓練に付いて行くとあまりにもしつこかったため、夜の森(魔物は出ない)に連れて行き、魔法で煙を出し、お化け屋敷の雰囲気を作ってエリーゼを怖がらせると、そこからエリーゼはあそこに訓練に行くと言うと付いてこなくなった。
「まったく、あそこってどこなの?」
「母さんには秘密だよ」
(夜の森にエリーゼを連れて行ったって知ったら間違いなく拳が飛んでくる)
「それじゃあいってきまーす」
「早く帰ってくるのよ」
「よーし、今日は何の練習をしようかなー」
今現在のカイトのステータスを表すとこうなる。
======================
『剣術』
力: 68/100
技: 46/100
流派: なし
闘気: あり
『魔法』
火:初級 フレア
水:初級 アクアショット
風:初級 ウィンドスラッシュ
土:初級 ストーンバレット
光:初級 ヒール、フラッシュライト、パージ(浄化)
無:初級 テレポート、身体強化
複合魔法『雷』『水素爆発』
刻印:未取得
魔力操作:取得中
魔力量: 68/100
======================
(この前もらった今の自分の能力はこんな感じだったな)
(それに、この100点満点中の100点は1年生基準だしな、今の能力を2年生基準にすると全て二桁にすら行かないみたいだしな)
(やっぱりそのくらい1年と2年の間には大きな壁があるんだなぁ)
(まぁ、それでも後10ヶ月近くあるし、この間に全員超えてやる)
(とりあえずまずは闘気についてだな)
(確かヴァイス先生によると、闘気は体の内から出る自分の防衛本能みたいなもんだと言ってたな)
(何か他に使い道があると思うんだけどなぁ)
「取り敢えず出してみるか」
ブワァン
右手で左手を触る、そして次に力強く左手を右手で殴る。
「自分の攻撃は痛くても通すか」
石を拾い真上に投げる、そしてカイトの頭上に落ちる。
ブワァン
「これは通さないのか」
次に闘気を一箇所に絞る。
「まずは頭、次にお腹、そして太もも、膝、足、肩、腕、手」
「手にも纏えるのか、てことは」
試しにそばに生えている木を殴ってみる。
「痛くないな」
今度は力一杯殴る
グシャ
「めり込んだぞ?」
闘気を解除してもう一度力いっぱい殴る。
ゴキン
「痛ってーーーー!!」
殴ったカイトの手が折れそうになる。
「フーフー、攻撃にも使えるな、普通だったら自分にも通るダメージも一箇所に集めて殴るとほとんどゼロにしてくれる」
「これはいい発見だな」
自分の剣を取り出し、刃の部分を持つ。
「握っても痛くないな」
「今日の修行はこれで決まりだな、好きなタイミングで好きな所に纏えるようになるまでやるか」
そして結果朝になるまで練習したカイト。
「げっ、もう朝じゃん、帰んないと」
ガチャ
扉を開けると、リビングに母さんとエリーゼが寝ていた。あの日カイトが襲われてから、夜の訓練から帰るといつもこうして2人で待っている。
「ありがとうな、エリーゼ、母さん」
床に落ちた布団を2人にかけ、暖炉に薪をくべ、魔法で火をつける。
チュンチュン
「、、んぅ、ん?、、なんか臭いぞ?」
目を開ける。すると自分の布団の中にアルトがいる。恐る恐るアルトのオムツの中をみる。
もわぁ〜ん
「げっ、、こいつまた漏らしやがったな」
すぐさまアルトを抱え、リビングに行き、手慣れた手つきでアルトのオムツを替える。
「この野郎、、ぐっすり気持ちよく寝やがってぇ」
「スゥー、スゥー」
「普通漏らしたら起きるだろ」
「あら起きたのねカイト」
「最悪だよ」
「フフッ、またアルが漏らしたのね」
「俺の部屋にどうやって入ってきてるのか知りたいよ」
「アルを部屋に置いた後、エリーゼの事起こしてきて」
「うん」
アルトを自分の部屋に置いたあと、エリーゼの部屋に入るカイト。
「エリーゼ」
「スゥー、スゥー」
「まったく、寝ていると可愛いのに」
「ほら、エリーゼ、起きるんだ」
「、、んー」
そのまま寝ているエリーゼを抱っこして、洗面台に連れて行き、顔を濡らす。いくら起こしても起きたことがないエリーゼにはいつもこうして起こす。顔を自分の手で水をすくってエリーゼの顔を洗い、歯ブラシを持って洗面台にエリーゼを座らせ歯を磨いてあげた後、食卓に行く。
「にーに、ご飯あーんしてー」
「ご飯くらい自分で食べろよ」
「ほーらエリーゼ、パパがあーんしてあげようかー?」
「自分で食べるー」
「ありがとう父さん」
「いや、そういうつもりで言ったわけではないのに」
朝からエリーゼに嫌がられ凹むルドガー。
「ご馳走さま〜、行ってきまーす」
『テレポート』
診療所の前までテレポートし、ルフトの様子を見に行く。
ガラガラ
「よっ」
「おいっす」
「どうだ調子は?」
「今日から訓練開始していいみたい」
「そうか、これ差し入れだ」
「おぉ〜気がきくねぇ」
「そういえば言い忘れてたけど、お前の友達のラゼッタにも色々と助けてもらったし俺の分の礼もしておいてくれ」
「まじか、、あの子に借りを作るといいことないんだよ、あぁ〜教室戻りたくねー」
そのあといつも通り何気ない会話をした後、教室に向かう。
ガラガラ
「はわぁ、眠た」
自分の席に着き少し仮眠を取る。
「スゥー、スゥー」
〜10分後〜
「カイトー」
「、、んぅ?」
「おはよ」
「おぉ、セニカか」
「朝から寝てるなんて珍しいわね」
「昨日の夜から今日の朝まで特訓してたからな」
「何の特訓?」
「今日の授業で見せてやるよ」
「楽しみにしてるね、あ、それと聞いた?闘技大会の話?」
「闘技大会?なんだそれ?」
「年に2回ある学年で誰が一番強いか決める大会だよ」
「なんだそれ!?誰でも参加出来んのか?」
「ま、まぁね、出たいの?」
「当たり前じゃねーか!学年で一番を決める大会だろ?そこで一番になって、ほかの学科の奴ら倒せばもう後は、もう五星じゃん!」
「そんな簡単な話じゃないと思うよ?」
「いつあるんだ?」
「まだまだ先よ、確か3ヶ月後」
「時間はたっぷりあるな」
「言っとくけどわたしも一番狙ってるからね」
「もし決勝であったらどっちが強いかそこでちゃんと決めないとな」
「そうだね!」
「フン、平民は所詮予選で消えるだろう」
「あぁん?なんだテメー?最近陰が薄いからって何無理やり俺たちの会話入ってきてんだぁ?」
「やれやれ、剣もろくに使えない奴が吠えているな」
「バァーカ、世の中剣だけじゃねーんだよ、まぁ剣を振る事しか知らないおバカさんは俺の魔法と闘気でチョチョイのチョイだよ」
「まぁまぁ2人とも、アルベルトくんも出るの?」
「勿論だ」
「じゃあお互い頑張ろうね」
「そうだな」
「んのぉやろう、なんでセニカに優しく出来て、俺に出来ないんだよ」
「まぁまぁ、喧嘩するほど仲がいいっていうじゃん」
「「仲良くない!」」
剣術の授業の時間になる。
「よし、それでは今日もいつも通りランニング、素振りそして最後に始めて実戦練習入る。
「「「はい!」」」
いつもの様にランニングをして、素振りをした後初めて聞く実戦練習の時間になる。
「実戦練習て何するんですか?」
「今までは、剣術だけでの試合をしてきた、しかし今日はお前たちの全てを出して試合をしてもらう」
「っし、やっとなんでもありの試合だな」
「傷つけたりしたらどうしよう」
「そうだな、今までは先生相手に本気を出してきたから加減とか考えなくて良かったもんな」
「安心しろ、俺がちゃんと見ている、危なくなったら止めに入る」
「んじゃ大丈夫だな!」
「それでは、今からくじ引きを始める」
くじの結果。
第1試合
======================
アルベルトvsグレイル
マシューvsメルト
モルスvsタリカ
セニカvsニューロ
カイトvsルシータ
メイダvsオーロン
オルグvsソロカ
メウィンvsロン
======================
まずは第1戦アルベルトvsグレイル、アルベルトはオルフォルト流、対するグレイルはガストルト流、剣術の試合ではまだセニカ以外にアルベルトに勝てる人は出てきてない。
「頑張れグレイルー、そんなバカやっつけちまえー!!」
「それでは試合、、、始めっ!!」
ズドンッ
刹那アルベルトが一瞬にしてグレイルの目の前に出て剣を喉元に突きつけている。
「勝負あり!」
「何か言ったか?平民?」
(嘘だろ?俺ですら見えなかったぞ?)
「さすがアルベルト君、速いわね」
「、、やるじゃねぇか」
「フンッ」
(やっべ、燃えてきたわ)