村人A、冬の女王をなんとか塔の外に出させることを諦める
「うーん……」
「いい加減、あきらめたら?」
村人Aが冬の女王をなんとか塔の外に出させる方法を考えていると、冬の女王が言った。
「そんなぁ……。せっかくここまで頑張ってきたのに」
「何もしてないじゃない」
「しましたよ。電話で春の女王と夏の女王を呼びました」
「2人とも来ないじゃない」
「まあ……」
「じゃあもういいでしょう。いつまでもここにいられても迷惑だから、そろそろ帰って」
「もう少しだけ、考えさせて下さい」
「ええー……」
冬の女王が嫌そうに顔をゆがめる。だが、ここで引き下がっては村人Aの名に恥がついてしまう。村人Aだって、やるときはやるんだってところを、見せてやる。
村人Aはそう考え、再び、しばし考える。
そして、閃いた。
「そうだ。四季の女王様同士で集まって、ゲーム大会をするというのはどうでしょう」
「いやよ」
「そこを何とか」
「めんどう」
「お願いします」
「そもそも、私たちは好みのゲームのジャンルが違うの。お互いに集まったって、やることはバラバラよ」
「じゃあどうしたら出てくれますか」
「あーくそ、こいつ、つよい」
村人Aの質問に、冬の女王は答えない。冬の女王はゲームに戻ってしまったようだった。
もう諦めよう。村人Aはそう思った。
「わかりました。ぼくはもう、諦めます。その代わりに、ひとつだけ、ぼくのお願いを聞いて下さい」
「あ! あーあ。死んじゃった」
「聞いて下さい、冬の女王様」
「なによ、うるさいわね」
「出て行く代わりに、ぼくのお願いを、ひとつだけ聞いてくれませんか?」
「いいわ。言ってみなさい。ただし、塔から出て行けっていうのはなしよ」
「はい」
村人Aは深呼吸をすると、言った。
「最後に、そのゲームというのを、一度だけやらせてくれませんか?」




