秋の女王はポケモンをしていた
「春の女王だけでなく、夏の女王も来ないとは……」
村人Aは困惑していた。冬の女王といい、四季の女王達はどうやらゲームとやらの魅力に取り憑かれてしまっているらしい。塔から出ることも、塔に来ることも億劫になるほどに。
「ということは、秋の女王もまた、ゲームの魅力に取り憑かれてしまっているのだろうか」
村人は気になって、電話を手に取っていた。
秋の女王の文字が出たところで、決定。村人Aはもはや、電話の達人の域に達していた。ぴぽぱぽ、と素早い手つきで、電話したい相手に電話ができるようになっていた。
自分はもしかしたら、こういった機械を操る才能があるのかもしれない。
村人Aは、ゲームという箱型の機械に対しても興味がわき始めていた。
(もしもし。秋の女王です)
秋の女王が電話に出た。
「もしもし。こんにちは。ぼくは村人Aというものです」
(村人Aさん、こんにちは)
「こんにちは。率直に聞きますが、貴方は今、ゲームをしていますね?」
(!? え、ええ。私は今、ポケモンをしています……)
「ポケモンとは、どういうゲームなのですか?」
(モンスターを捕まえて、戦わせながら、旅をするゲームです)
「そのゲームは、どんなところが面白いですか?」
(うーん……まあ、全部面白いんですが。かわいいモンスターを捕まえて育てるのが、面白いですね)
「そうなんですか。参考になりました。ありがとうございました」
(いえいえ。それでは)
「それでは」
ぴっ。
村人Aは電話をきった。穏やかに会話が終了した。
秋の女王には、来て貰っても意味がなかったからだ。




