夏の女王、スプラトゥーンをしていた
「もしもし、夏の女王さんですか。僕は、村人Aという者です」
(村人Aさん、こんにちは)
「こんにちは。いきなりで申し訳ないんですが、今から塔に来て貰うことは出来ませんか?」
(あー。残念ながら、それは無理ですね)
「どうしてですか?」
(私は今、スプラトゥーンをしていまして、あ、くそ、やられた)
「やられた!? だれにやられたんですか?」
(相手プレイヤーにけっこう強いのがいるんですよ。それでやられましたね。まあ、私が下手なのもあるんですが)
「そうなんですか……。なんか強いとか下手とかよくわかりませんが、どうしても来て貰えないですか? 実は今、国民や王様が冬が終わらずに困っているんです。どうかお願いします」
(無理です。そもそも、なぜ私なんですか? 冬の次は、春でしょう。どうして春の女王ではなく、夏の女王の私に来て貰おうというの?)
「春の女王様には何度も電話をしましたが、来てくれないのです。それで、夏の貴方に来て貰えれば、寒い冬と相俟って、春っぽい良い塩梅になるんじゃないかと、妙案が浮かんだんですよ。だから国民の為だと思って、一度来て下さい」
(ええー……)
夏の女王は悩んでいる。
ようし。もう一押しだ。
「どうかお願いします」
「うーん……ぶち。ツー、ツー、ツー」
「!?」
村人Aはとつぜん電話がきれて驚いた。
わざと切ったのだろうか。くそう! もう一度だ!
ぷるるる、ぷるるる。
ガチャ。
(……)
「夏の女王さん。わざと切りましたか? 嘘は通用しませんよ。いいから、さっさと来て下さい。わかりましたね? 言いましたよ」
ぶちっ。
こんどはこっちからきってやった。
夏の女王は押しに弱そうだった。今度こそ、来てくれるはずだ。
これで、一攫千金はぼくのものだ!
村人Aは、再び夢がふくらんだ。




