村人A、妙案を思いつく
「春の女王様が来ない。どうなっているんですか、冬の女王様」
村人Aがいつまで経っても来ない春の女王にしびれを切らして、冬の女王に聞いた。
「あたしに聞かれても知らないわよ。どうせ、とびもりでもしてるんじゃないの」
「確かに春の女王様はとびもりをしていました。ですが、ぼくはこの塔にしっかりと呼びました。なのに来ません。どうなっているんですか?」
「知らないわよ。まだとびもりをしているんじゃないの」
「ええ……」
とびもりがどれほど面白いものなのかは知らないが、春の女王には来て貰わないと困る。国民のために。嘘。本当は自分のために。
そう、村人Aは思った。
「とにかく、春の女王様にもう一度電話してみます」
「勝手にどうぞ」
春の女王の文字のところで、決定。ぷるるる。なんだか使い方にも慣れてきたな。
(もしもし、春の女王です)
「もしもし、村人Aですけど」
(また貴方なの? いい加減にしてください、迷惑です。ブチ。ツー、ツー、ツー)
「あ……また切られた。やっぱりまだ、家の中か城の中か知らないけど、とびもりをしていたのか。まったく、自分勝手な春の女王だなぁ」
村人Aはもう、自分の手には負えないんじゃないかと考え始めた。そもそも、どうして冬の女王や春の女王はこんな得体の知れないすごい機械を持っているのか、不思議でならない。
「冬の女王様。冬の女王様がやっているのも、ゲームというおもちゃなんですか?」
「そうよ」
「なんというゲームなんですか?」
「モンハンよ。今、ゲリョスを狩っているの」
「へー。その箱の中で狩りができるんですか」
「ええ。毒を吐くから気をつけないといけないわ」
「毒!? それは大変だ! その箱から、今すぐ離れて下さい!」
「いやよ」
「!?」
村人Aは驚いたが、特に箱の中から毒が出てくるわけではないのだと気づき、冷静になった。
「そうだ」
村人Aは妙案を思いつき、電話を手に取った。
「春の女王が駄目なら、夏の女王を呼べばいい」
夏の女王を呼べば、冬の女王の冬と良い塩梅になって、春っぽい季節になるかもしれないぞ。
しめた! 村人Aは、そう思った。
これで一攫千金はぼくのものだ。しめしめ。
夏の女王の文字が出てきたところで、決定。
ぷるるる、ぷるるる。
「はい、夏の女王です」
夏の女王が電話に出た。




