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3-9

「それから、獣人盗賊団が作られたんすよねー」

 遺跡の薄暗い、ランプの灯りだけが頼りである石に囲まれた通路を歩きながら、懐かしむようにキュルが言う。

 いくつか空っぽの部屋を超えて、今はまた狭苦しい道に戻っている。その壁や床へ常に視線を触れさせ、警戒しながら、ジンはぽつりと呟いた。

「それはほら……お前らが勝手についてきただけだ」

「あ、あたしだって別に、あんたたちみたいなのがいた方が便利だと思っただけよ」

「ふたりとも素直じゃないっすねー」

 可笑しそうに笑うキュルに対し、ふたりは共に口を尖らせながら半眼を向けたが――

 そんな話をしている時、箱怪物の跳ね回る音が聞こえてきたため、三人は急ぎ、手近な階段を下り、隠れ潜むように逃げることになった。音はすぐに遠ざかったが、今は上階へ戻るのに気が引けて、ひとまず地下らしき階層の、今まで以上に窮屈な通路を進んでいく。

 こうした、通路の広さが安定しない構造なのは、建物が増築されていったためなのか、それとも本来は狭い通路だったのを、ところどころ広くしたのか――はたまた広いはずの通路を、なんらかの理由で狭くしなければならなかったのか。

 ジンはふとそんなことを考え、しかし結論など出せるはずもないまま、ともかく歩いた。

 通路は階段を下りた時点で左右に分かれており、そこから一方へ曲がった後も、いくつかの部屋――だったらしい入り口の崩れている部屋や、崩落で塞がれた脇道などがあった。

 それらを避けて進んでいくと、やがてその中でも、最も奇怪なものを発見する。

 それは、部屋だった。

 正しくは部屋の扉だろう。

 もっと正しく言えば、部屋の扉のように見えるもの、だ。

 それは――ランプをかざしてみれば、入り口を塞ぐほど密集した植物の蔦だった。

 大量の太い蔦が絡み合い、扉の形にぎっちりと詰まっているのだ。さらにそこから溢れた蔦は、狭い通路を塞ぐように縦横に伸びている。

「これは……今度こそ、ここに宝があるはずだ!」

「今度こそ本当でしょうね……?」

「だんだん親分のお宝信頼度が下がってるっすよー」

 目を輝かせるジンとは反対に、獣人たちは疑わしげな半眼を向けてきたが。

「うっせえ! 今度こそ間違いねえ。今からそれを証明してやらあ」

「でもこれ、どうやって進めばいいんすかね?」

「壁や天井にまで張り付いてるし、奥の入り口なんてとてもかき分けていけないわよ」

「はんっ、何言ってやがる」

 ジンは得意げに言うと、キュルのリュックから斧を取り出し、力強く構えてみせた。

 ばちゃんっ――と、通路を薄く濡らしている水を踏みつけて、

「こんなもん、適当に斬って進めば楽勝だろうが!」

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