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B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
感謝短編

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80/90

【かぐや】②

『保志の友達』side保志・登場人物:羊二

イチャイチャは、少し休憩……保志(高校時代)の休日を書きます。

お遊びな短編……


「羊二、部屋にこもるなよ!女性陣は、おおかみを置いて遊びに行ったし。俺たちも、出かけようぜ?」

学校の寮に、独りで暮らしている羊二ようじ

割と、きれいに掃除が出来ている。……いや、殺風景??

「いやだ。俺は、インドア派……」

テレビの前のじゅうたんでゴロゴロ。

「お前、俺以上に役目で外にいることが多いくせに!」

「それはそれ。これはこれ……」

何度か接する内に、少し変わった奴だと気付いた。

面白いけど……やる気がない羊二を、部屋着のまま連れ出した。

せっかくの外見も、無駄になるような不機嫌。

「羊二、俺さ……親父の仕事を継ぐんだ。」

歩きながら、会話をしてみる。

すると、嬉しそうに微笑み……

「そうか、頑張れ。」

……可愛い。何だろう??ツンデレじゃなく、不機嫌デレ??

言葉が出ない俺に、首を傾げる。

「ふっ……。お前と、仲良くできて嬉しいよ。ただし……麗季を泣かすなよ?」

「泣かしたいわけじゃないけど、何で泣くのかな?」

……何をしたのかな?

俺の微妙な笑顔に、本気で思い出そうとする。

「鬼畜なんだよ、お前。」

「俺は、鬼畜じゃない!」

そう思ってるのは、お前だけだ。

「俺の事は、いいんだよ。で、今日は目的があるんだろ?仕事系か。」

さすが役員……勘がいい。

「ファッションの動向と、下着の流行を知りたいんだ♪親父の知り合いの店に、行こうぜ。」

「あぁ。」

何故か、頬が少し赤い……

何だろう?未だに謎が多いよな、こいつ……


店に入り、一室を貸し切る。

「羊二、好きな服を着てみろよ!」

「うん♪」

あれ?何だか楽しそうに、走って行ったけど??

興味があるのかな……参考に出来るか。羊二が戻るまで、俺も研究を……

「保志!コレなんか、どうだ?」

早いな……声の方に視線を移す。

「ぶっ!!」

どこから持ってきたのか、見たことのない恥ずかしい柄。

「ふふ……くふふ……ね、買っても良いかな?」

目が輝いている……何故に??

店の人に訊いたら、面白半分で罰ゲーム用だと答えた。

羊二が、子どもの様に服を持って放さない。

「羊二、それは駄目です。俺が麗季に怒られるよ……勘弁して?」

「嫌!!買うまで、帰らない……」

羊二とは……二度と、服を見ないと誓った。




タイトル『癒して』Side:保志やすし・登場人物:遠矢とおや歌毬夜かぐや・モブ 

時期:結婚後で、遠矢の会社を継ぐ少し前。場面:イベント打ち上げ。


オヤジの会社を継ぐことが、どんなものなのか嫌ってほど思い知る。

「さすが遠矢くんの……」

イベント成功に、オヤジの名前が一番に挙がって同じ会話ばかり。

オヤジは、出張が重なって遅れて来る。

その間に絡んでくる関係者との会話。今後の取引もあるし、好印象が大事。

俺は、この仕事を望んできたはずなのに……本当は、オヤジに憧れただけなんだろうか?

アルコールの酔いも感じないほど、痛むのは胸。

逃げたくなる衝動……オヤジ、早く来ないかな……大人になっても情けない。

無理した時間に伴い、体力が奪われていく。

待ち遠しかったオヤジの登場に、時間が止まった。

周りの視線を集め、群がる人……今までいた俺の存在が、もっと霞む。

悔しさと嫉妬と、流れ込んでくる大きな感情の波……

「保志、大丈夫か?」

いつの間にか、俺に近づいたオヤジの心配そうな表情。

それに安堵する自分の幼さ。

人払いがされて、一定の距離に見守る大勢の視線。

「よく頑張ったな。」

頭を撫でようとしたのか、それを止め……

苦笑の抱擁。そんなオヤジに気分が安らぐ。

「良い子の保志に、ご褒美をやろう。今から自由……明日は、休暇だ。この部屋で、ゆっくり……心を癒しておいで?」

ホテルのカードキーを胸ポケットに刺し、ニヤリ顔。」

オヤジは俺の肩をポンポンと軽く叩き……方向を変えた。

後姿で手を振り、俺から距離を取ったオヤジに群がる人を見ても、さっきと同じ感情は生じない。

不思議なものだ……人の感情は色を成すようで、俺の心を染める。

オヤジの方が疲れていると思うけど……社長からの休暇に甘え、会場を後にした。


オヤジの準備した部屋……

薄暗いのに、テレビの音……?人の気配はしないようだけど、何のサービスなんだ??

不思議に思いながらも、寝室に足を進めた。

大きなベッドの上に、白いドレス姿の歌毬夜が寝ている。

……夢……!?

『癒しておいで』

オヤジのニヤリ顔が頭に過る。オヤジ!?発想が……

くっ……ありがとう!!!!思わず、ガッツポーズ。

起こさないように、そっとベッドに近づいて、歌毬夜の隣に横になった。

いつから待っていたのかな?このドレスは、オヤジの趣味なのか??

まるで、ボリュームのないウエディングドレス。

純白……見える肌も白く、自分のモノだと思うと堪らない。

優しい寝息が静かに聞こえる。

癒されていく……それと同時に湧き起こる欲望……

起きないかな?無理やりは、ダメだよね??

オヤジ……これ、わざと眠らせてるとか……さすがに無いか、それは。

テレビがつけっぱなしだしね……気持ちよく寝ているのを起こすのももったいないような……

もっと、見ていたいような……

そっと抱き寄せ、髪を撫でる。感情のままにキスを落とし、首筋に舌を這わす。

「……ん」

小さな反応に、嬉しさと愛しさ。

身を起こして、足元に視線を向ける。

ドキドキしながら手を伸ばして、布を両手で少しずつ……上へとずらしていく。

服の白さと、寝ている彼女への罪悪感……急かす欲求に、抗うことも出来ない独占欲。

太ももの位置で止め、普段見せない白い足がさらけ出されて色香に惑う。

鼻血が出そうだ……

「……保志……?何を、してるの?」

【ぎくっ】

さっきまで自分の血が熱くなっていたのが、急に下がる温度。

「……へへ?あの……欲情しました。」

怒られる!!

可愛く、本音を言ってみたけど……アウトだよね?

「ご……」

「抱いて……いいよ?」

謝ろうとした俺に、歌毬夜が勢いよく抱き着いて……小さな声が耳に入った。

え??

信じられないけど、自分に触れる柔らかい身体が俺を包む。

「遠矢さんが……保志を癒せるのは、私だけだって……」

オヤジに、何を聞いたのかな……

「歌毬夜、俺の事……好き?」

「好きよ。私じゃ、癒せない?」

お互いに質問して、涙目の笑顔……

「癒して……君の元で眠る。歌毬夜……愛しているよ。」

温もりに癒されて……




タイトル『おおかみ』Side:保志やすし・登場人物:歌毬夜かぐや・下着モデル。


仕事の休みの日は、歌毬夜と出かけるようにしている。

観光地から少し離れた所に宿泊し、静かで綺麗な土地を二人で楽しむ。

父さんは孫が見たいと急かすけど……もう少し二人の時間が欲しいんだよな。

荷物を車に積んで、歌毬夜を待つ。

大きな家を見つめ、父さんの望んだ家族への想いを噛みしめる。

大切な家族を護る為に、父さんと母さんは本家と闘ってきたんだ。

俺も、家族を守れるだろうか。

仕事も不慣れで、トラブル続きだし……

ため息を漏らすと、いつのまにか近くに来ていた歌毬夜が俺を覗き込む。

「保志、疲れているのに……私、運転出来ないし……」

歌毬夜の感情は、俺を癒す。

歌毬夜を抱き寄せ、甘い身体に顔をすり寄せた。特別な俺だけのかぐや姫……

「歌毬夜……」

名を呼んで、視線を合わせ口づけを繰り返す。

こんな雰囲気に、外にも関わらず抵抗が無い。きっと、歌毬夜の頭は俺の事だけなんだ。

満たされる……なのに、もっと欲しいと願う気持ちは貪欲で底がない。


味わう時間を遮る携帯の着信音。

歌毬夜の抵抗が始まった。

ちっ……仕事用の着信音に、敏感と言うか……この間の意地悪がいけなかったのかな?

視線を向けると、何かを思い出したような赤面と悔しそうに睨んだ目。

愛しさに笑みが漏れ、通話ボタンを押した。

「……は?……んだ、それ……クソッ、今から行くから、待ってろ!」

またしてもトラブル発生。

「歌毬夜、車に乗って。ちょっと仕事場寄るけど、良いか?」

歌毬夜は黙ってうなずき、助手席に乗り込んだ。

車の中で仕事の状況を伝える。

「父さんから初めて任された仕事なんだけど、なんとか撮影に持ち込めたから安心したのに……下着モデルの機嫌が悪いみたいでさ。悔しいよ……ごめんな。」

家族を守れるどころか、仕事さえ上手くいかない。

不安に焦り……情けなさ……


車を停め、撮影現場に入ると大荒れのムードから一転……

「大上さん、やっと来てくれたぁ~」

モデルの目的は、俺なのか?

仕事しろよ、プライドは何の為にあるんだ。父さんの仕事でなければ……

いや、それこそ仕事に差はない。苛立ちを抑える。

馴れ馴れしいのは昔から嫌いだが、仕事……撮影さえ始まれば……

殺気だった視線に、冷や汗。

歌毬夜が口もとを引きつらせ、怒りを露わにして近づいて来る。

「ふふ。保志、そんなモデル使わなくても、私がいくらでも代わるわよ?」

そのセリフに、スタッフが一瞬湧いた。

そして、下着モデルのプライドに火が付く……

結果的には順調に運ぶ流れを作ったわけだが……俺の怒りは燻ったまま。

撮影をスタッフに任せ、俺は歌毬夜を引いて、駐車場へと向かう。

後部座席のドアを開け、歌毬夜を乱暴に放り込み、その上に覆い被さる。

抵抗を無視し、服を脱がしていく。

「くすくすくす……ほら、下着を晒すのは平気なんだろ?公に見てもらおうぜ……」

白い肌、俺だけの知る歌毬夜のすべて……それを……

歌毬夜の抵抗がなくなり、俺も手を止める。

歌毬夜の感情が、俺を包んで癒していく……繰り返す情けなさ。

「ごめん。」

涙を堪え、歌毬夜の胸元に沈む。

「保志、私は自分にビックリしているわ……あんな大胆な事が言えるなんて。ふふっ……嫉妬しちゃった。ごめんね……」

俺の頭を両腕で抱きしめながら撫でる。

甘い香り……心臓の音が早鳴りで、温もりと息遣いに一体感を味わう。

「歌毬夜、何があっても守りたいんだ……例え、俺に何があっても……君は、無茶をしないで欲しい。」

「嫌よ。保志、私も同じなの……あなたが嫉妬したように、私も嫉妬するわ……家族を守りたいという願いも同じよ。」

……家族?

「乱暴なお父さんね、今度からは気を付けて欲しいわ。」

顔を上げた俺に、いつも以上の穏やかな微笑み。

「……うあぁ~~、それも読み取れないなんて……くくく……ははっ。俺、もっと頑張るわ。」

心を全て知る事など不可能。

それも、喜びに変わる日がくるなんて……歌毬夜のお腹に手を当て、キスを落とした……






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