【かぐや】②
『保志の友達』side保志・登場人物:羊二
イチャイチャは、少し休憩……保志(高校時代)の休日を書きます。
お遊びな短編……
「羊二、部屋にこもるなよ!女性陣は、おおかみを置いて遊びに行ったし。俺たちも、出かけようぜ?」
学校の寮に、独りで暮らしている羊二。
割と、きれいに掃除が出来ている。……いや、殺風景??
「いやだ。俺は、インドア派……」
テレビの前のじゅうたんでゴロゴロ。
「お前、俺以上に役目で外にいることが多いくせに!」
「それはそれ。これはこれ……」
何度か接する内に、少し変わった奴だと気付いた。
面白いけど……やる気がない羊二を、部屋着のまま連れ出した。
せっかくの外見も、無駄になるような不機嫌。
「羊二、俺さ……親父の仕事を継ぐんだ。」
歩きながら、会話をしてみる。
すると、嬉しそうに微笑み……
「そうか、頑張れ。」
……可愛い。何だろう??ツンデレじゃなく、不機嫌デレ??
言葉が出ない俺に、首を傾げる。
「ふっ……。お前と、仲良くできて嬉しいよ。ただし……麗季を泣かすなよ?」
「泣かしたいわけじゃないけど、何で泣くのかな?」
……何をしたのかな?
俺の微妙な笑顔に、本気で思い出そうとする。
「鬼畜なんだよ、お前。」
「俺は、鬼畜じゃない!」
そう思ってるのは、お前だけだ。
「俺の事は、いいんだよ。で、今日は目的があるんだろ?仕事系か。」
さすが役員……勘がいい。
「ファッションの動向と、下着の流行を知りたいんだ♪親父の知り合いの店に、行こうぜ。」
「あぁ。」
何故か、頬が少し赤い……
何だろう?未だに謎が多いよな、こいつ……
店に入り、一室を貸し切る。
「羊二、好きな服を着てみろよ!」
「うん♪」
あれ?何だか楽しそうに、走って行ったけど??
興味があるのかな……参考に出来るか。羊二が戻るまで、俺も研究を……
「保志!コレなんか、どうだ?」
早いな……声の方に視線を移す。
「ぶっ!!」
どこから持ってきたのか、見たことのない恥ずかしい柄。
「ふふ……くふふ……ね、買っても良いかな?」
目が輝いている……何故に??
店の人に訊いたら、面白半分で罰ゲーム用だと答えた。
羊二が、子どもの様に服を持って放さない。
「羊二、それは駄目です。俺が麗季に怒られるよ……勘弁して?」
「嫌!!買うまで、帰らない……」
羊二とは……二度と、服を見ないと誓った。
タイトル『癒して』Side:保志・登場人物:遠矢・歌毬夜・モブ
時期:結婚後で、遠矢の会社を継ぐ少し前。場面:イベント打ち上げ。
オヤジの会社を継ぐことが、どんなものなのか嫌ってほど思い知る。
「さすが遠矢くんの……」
イベント成功に、オヤジの名前が一番に挙がって同じ会話ばかり。
オヤジは、出張が重なって遅れて来る。
その間に絡んでくる関係者との会話。今後の取引もあるし、好印象が大事。
俺は、この仕事を望んできたはずなのに……本当は、オヤジに憧れただけなんだろうか?
アルコールの酔いも感じないほど、痛むのは胸。
逃げたくなる衝動……オヤジ、早く来ないかな……大人になっても情けない。
無理した時間に伴い、体力が奪われていく。
待ち遠しかったオヤジの登場に、時間が止まった。
周りの視線を集め、群がる人……今までいた俺の存在が、もっと霞む。
悔しさと嫉妬と、流れ込んでくる大きな感情の波……
「保志、大丈夫か?」
いつの間にか、俺に近づいたオヤジの心配そうな表情。
それに安堵する自分の幼さ。
人払いがされて、一定の距離に見守る大勢の視線。
「よく頑張ったな。」
頭を撫でようとしたのか、それを止め……
苦笑の抱擁。そんなオヤジに気分が安らぐ。
「良い子の保志に、ご褒美をやろう。今から自由……明日は、休暇だ。この部屋で、ゆっくり……心を癒しておいで?」
ホテルのカードキーを胸ポケットに刺し、ニヤリ顔。」
オヤジは俺の肩をポンポンと軽く叩き……方向を変えた。
後姿で手を振り、俺から距離を取ったオヤジに群がる人を見ても、さっきと同じ感情は生じない。
不思議なものだ……人の感情は色を成すようで、俺の心を染める。
オヤジの方が疲れていると思うけど……社長からの休暇に甘え、会場を後にした。
オヤジの準備した部屋……
薄暗いのに、テレビの音……?人の気配はしないようだけど、何のサービスなんだ??
不思議に思いながらも、寝室に足を進めた。
大きなベッドの上に、白いドレス姿の歌毬夜が寝ている。
……夢……!?
『癒しておいで』
オヤジのニヤリ顔が頭に過る。オヤジ!?発想が……
くっ……ありがとう!!!!思わず、ガッツポーズ。
起こさないように、そっとベッドに近づいて、歌毬夜の隣に横になった。
いつから待っていたのかな?このドレスは、オヤジの趣味なのか??
まるで、ボリュームのないウエディングドレス。
純白……見える肌も白く、自分のモノだと思うと堪らない。
優しい寝息が静かに聞こえる。
癒されていく……それと同時に湧き起こる欲望……
起きないかな?無理やりは、ダメだよね??
オヤジ……これ、わざと眠らせてるとか……さすがに無いか、それは。
テレビがつけっぱなしだしね……気持ちよく寝ているのを起こすのももったいないような……
もっと、見ていたいような……
そっと抱き寄せ、髪を撫でる。感情のままにキスを落とし、首筋に舌を這わす。
「……ん」
小さな反応に、嬉しさと愛しさ。
身を起こして、足元に視線を向ける。
ドキドキしながら手を伸ばして、布を両手で少しずつ……上へとずらしていく。
服の白さと、寝ている彼女への罪悪感……急かす欲求に、抗うことも出来ない独占欲。
太ももの位置で止め、普段見せない白い足がさらけ出されて色香に惑う。
鼻血が出そうだ……
「……保志……?何を、してるの?」
【ぎくっ】
さっきまで自分の血が熱くなっていたのが、急に下がる温度。
「……へへ?あの……欲情しました。」
怒られる!!
可愛く、本音を言ってみたけど……アウトだよね?
「ご……」
「抱いて……いいよ?」
謝ろうとした俺に、歌毬夜が勢いよく抱き着いて……小さな声が耳に入った。
え??
信じられないけど、自分に触れる柔らかい身体が俺を包む。
「遠矢さんが……保志を癒せるのは、私だけだって……」
オヤジに、何を聞いたのかな……
「歌毬夜、俺の事……好き?」
「好きよ。私じゃ、癒せない?」
お互いに質問して、涙目の笑顔……
「癒して……君の元で眠る。歌毬夜……愛しているよ。」
温もりに癒されて……
タイトル『おおかみ』Side:保志・登場人物:歌毬夜・下着モデル。
仕事の休みの日は、歌毬夜と出かけるようにしている。
観光地から少し離れた所に宿泊し、静かで綺麗な土地を二人で楽しむ。
父さんは孫が見たいと急かすけど……もう少し二人の時間が欲しいんだよな。
荷物を車に積んで、歌毬夜を待つ。
大きな家を見つめ、父さんの望んだ家族への想いを噛みしめる。
大切な家族を護る為に、父さんと母さんは本家と闘ってきたんだ。
俺も、家族を守れるだろうか。
仕事も不慣れで、トラブル続きだし……
ため息を漏らすと、いつのまにか近くに来ていた歌毬夜が俺を覗き込む。
「保志、疲れているのに……私、運転出来ないし……」
歌毬夜の感情は、俺を癒す。
歌毬夜を抱き寄せ、甘い身体に顔をすり寄せた。特別な俺だけのかぐや姫……
「歌毬夜……」
名を呼んで、視線を合わせ口づけを繰り返す。
こんな雰囲気に、外にも関わらず抵抗が無い。きっと、歌毬夜の頭は俺の事だけなんだ。
満たされる……なのに、もっと欲しいと願う気持ちは貪欲で底がない。
味わう時間を遮る携帯の着信音。
歌毬夜の抵抗が始まった。
ちっ……仕事用の着信音に、敏感と言うか……この間の意地悪がいけなかったのかな?
視線を向けると、何かを思い出したような赤面と悔しそうに睨んだ目。
愛しさに笑みが漏れ、通話ボタンを押した。
「……は?……んだ、それ……クソッ、今から行くから、待ってろ!」
またしてもトラブル発生。
「歌毬夜、車に乗って。ちょっと仕事場寄るけど、良いか?」
歌毬夜は黙ってうなずき、助手席に乗り込んだ。
車の中で仕事の状況を伝える。
「父さんから初めて任された仕事なんだけど、なんとか撮影に持ち込めたから安心したのに……下着モデルの機嫌が悪いみたいでさ。悔しいよ……ごめんな。」
家族を守れるどころか、仕事さえ上手くいかない。
不安に焦り……情けなさ……
車を停め、撮影現場に入ると大荒れのムードから一転……
「大上さん、やっと来てくれたぁ~」
モデルの目的は、俺なのか?
仕事しろよ、プライドは何の為にあるんだ。父さんの仕事でなければ……
いや、それこそ仕事に差はない。苛立ちを抑える。
馴れ馴れしいのは昔から嫌いだが、仕事……撮影さえ始まれば……
殺気だった視線に、冷や汗。
歌毬夜が口もとを引きつらせ、怒りを露わにして近づいて来る。
「ふふ。保志、そんなモデル使わなくても、私がいくらでも代わるわよ?」
そのセリフに、スタッフが一瞬湧いた。
そして、下着モデルのプライドに火が付く……
結果的には順調に運ぶ流れを作ったわけだが……俺の怒りは燻ったまま。
撮影をスタッフに任せ、俺は歌毬夜を引いて、駐車場へと向かう。
後部座席のドアを開け、歌毬夜を乱暴に放り込み、その上に覆い被さる。
抵抗を無視し、服を脱がしていく。
「くすくすくす……ほら、下着を晒すのは平気なんだろ?公に見てもらおうぜ……」
白い肌、俺だけの知る歌毬夜のすべて……それを……
歌毬夜の抵抗がなくなり、俺も手を止める。
歌毬夜の感情が、俺を包んで癒していく……繰り返す情けなさ。
「ごめん。」
涙を堪え、歌毬夜の胸元に沈む。
「保志、私は自分にビックリしているわ……あんな大胆な事が言えるなんて。ふふっ……嫉妬しちゃった。ごめんね……」
俺の頭を両腕で抱きしめながら撫でる。
甘い香り……心臓の音が早鳴りで、温もりと息遣いに一体感を味わう。
「歌毬夜、何があっても守りたいんだ……例え、俺に何があっても……君は、無茶をしないで欲しい。」
「嫌よ。保志、私も同じなの……あなたが嫉妬したように、私も嫉妬するわ……家族を守りたいという願いも同じよ。」
……家族?
「乱暴なお父さんね、今度からは気を付けて欲しいわ。」
顔を上げた俺に、いつも以上の穏やかな微笑み。
「……うあぁ~~、それも読み取れないなんて……くくく……ははっ。俺、もっと頑張るわ。」
心を全て知る事など不可能。
それも、喜びに変わる日がくるなんて……歌毬夜のお腹に手を当て、キスを落とした……




