冬も甘く
冷たいのはヤメテ!(side:美彩)
冬の寒い日。
むふふ……あったかイヤーウォーマー♪
モフモフ。かわゆいの買っちゃった~ふふふ。
マフラーと手袋も完全装備!耳に冷たい風が当たらず、ぬくぬく……くふふ……
「美彩、おはよう。」
「……はよぅ。」
校門前に、愛しい人が待っていた。
最高の笑顔がまぶしい……
ドキドキを悟られないように、平静を装うのだ!
「ん?……美彩……」
私の顔に、手を近づける。
ドキドキ……
「くすっ」
遠矢は、何かを企んだような笑み。
スルリと、イヤーウォーマーに手を入れた。
ほかほかの耳に、冷たい手が!!
「冷たっ!!……うぅ……ほかほかが消えちゃうぅ~~」
抵抗するが、放してくれない。
「可愛い……もっと弱いところを見せて?温もりを頂戴……」
甘い囁きでも、これだけは許せない!!
「……嫌いぃ~~」
睨んでいるのに、遠矢は幸せそうに微笑む。
「俺は好き……愛してる……」
ずるい。耳は冷たいのに、体温が上昇する。
「ふふ。かわいい……」
ずるい!ずるい!!ずるいぃ~~
自信のない私でいいのだと、思ってしまう。
「美彩……俺の事、好き?」
「嫌い!!」
あなたに私の体温を奪われるように、心も……
大好きだなんて言わない……
ハート♪(side:遠矢)
クリスマスに美彩と外で待ち合わせ。
「遠矢ぁ~」
遠くから手を振る美彩の姿。
上半身はモコモコふわふわで覆っているのに。
オーバーオールのショート丈。赤色のそれは、今日にピッタリ。
寒いのに、短い黒色のブーツ。
中の白いモフモフが見え、素肌の白さと同調している。
美彩は目の前まで走り寄り、クルリと回転。
……ん?
「可愛いでしょ?これね……」
美彩の会話や太ももより、気になる。
そっと抱きしめた。
「ふふっ。声が出ないほど可愛い?」
いつもより はしゃぐ美彩も良いのだけど……
俺の両手は、おしりに滑る。
「なぁ?なっ、何?ここ、道……皆が!ちょっとダメだって、ばかぁ~~」
抵抗も気にせず、おしりにあるハート形のポケットを、なぞる様にクルクル。
「やっ!ヤメテ、嫌いぃ~~。」
やり過ぎたかな?
「ごめん。太ももに、まずは触れるべきだったよね?」
「知らない!!」
すねた美彩の頬に、キスをする。
「愛してる。可愛いね……喰っても良い?」
まだ拗ねているのか、俺を睨んで頬を膨らませる。
「……ダメ、今は。」
今は。
思わず、笑みが漏れてしまう。
「ふふ…美彩、全身可愛いけど冷えてしまうよ。どこかお店に入ろう?」
今日はいい雰囲気。
後で、ゆっくりハートを頂きます……
アイススケートで(side:遠矢)
取引先からアイススケート場のチケットをゲットし、美彩をデートに誘う。
「……寒いから、ヤダ!」
お、これは俺の期待するイチャイチャが可能かも。
何としても行って、俺に頼る美彩を見てみたい!
「温泉も、あるみたいだよ?」
何故か、温泉に目を輝かせる。
「美彩、温泉が好きなの?」
「……混浴は嫌い!」
残念ながら、スケート場施設に混浴はないよね。
俺でもそこまでは考えてなかったけど、突っ込まないでおこう。
くふふ……スケートでイチャイチャするんだ。
助けるふりして、イロイロ触れて……楽しみだなぁ。
当日。スケート靴を借りて、履き替える。
「遠矢、早く!!」
美彩は慣れた感じで履き終わり、俺の前に立つ。
そして俺の腕を引いて、ウキウキの速足。
ま・さ・か?
美彩はリンクに入ると、猪突猛進……俺を無視して、独りで楽しんでいる。
……美彩、可愛く転んで助けを求めるとか……ないの?
本当に寒いから渋っていただけか。
くすん……もう二度と来ない!!
「遠矢、滑らないの?ふふ……楽しいねぇ。連れてきてくれて、ありがとう。」
後ろ滑りを優雅にしながら。
吐く息は白く。可愛い笑顔。
くそぅ……かわいい!いつでも連れてきてやるぜ!!
その後、温泉に入り。
良い匂いの美彩も堪能できて。
こんな日もいいなぁ、と思った……
不機嫌で(side:遠矢)
忙しかった仕事が一段落。
久々の二人の時間。
「美彩、キスしてもいいかな?」
頬に手を当てて、背の低い美彩の耳元に顔を近づけ囁くけれど。
「イヤッ。」
顔を逸らして、いつものようにツンとした態度。
それでも俺から離れないのは。本気で嫌だと思っていない。
寮の俺の部屋に無断で侵入させるのは、美彩の協力がないとできないことだし。
まぁ、学園からのお咎めなどないだろうけど。
墨の手引きもあるわけで。
とにかく俺は時間を無駄にはしたくない。
「ね、お願い。好きだよ、美彩。」
髪を指に絡めて、口もとに寄せる。
「嫌だって言った。」
視線を落として、目を合わせずに小さな声。
キスしても良いという美彩なりのサイン。無意識だろうけど。
俺は美彩の腰に腕を回して抱き寄せ、強引なキスを落とす。
それに応えておきながら、君は。
「遠矢なんて、嫌い。」
「そ?俺は愛してるよ。」
上目で睨んだ美彩にキスを繰り返す。
すると、真っ直ぐな視線で。
「私も愛しているわ。」
美彩は自分の事を可愛げがないと言うけれど。そこが愛しい。
君は、さみしいと言わない。強さと弱さ。
何かが引っかかる違和感。
それでも、この時間だけは。
君が不機嫌でも匂いは甘く、得ている幸せは美彩からの愛情……




