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B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ0】(改)おおかみは羊の皮を被らない

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63/90

冬も甘く

冷たいのはヤメテ!(side:美彩)


冬の寒い日。

むふふ……あったかイヤーウォーマー♪

モフモフ。かわゆいの買っちゃった~ふふふ。

マフラーと手袋も完全装備!耳に冷たい風が当たらず、ぬくぬく……くふふ……

「美彩、おはよう。」

「……はよぅ。」

校門前に、愛しい人が待っていた。

最高の笑顔がまぶしい……

ドキドキを悟られないように、平静を装うのだ!

「ん?……美彩……」

私の顔に、手を近づける。

ドキドキ……

「くすっ」

遠矢は、何かを企んだような笑み。

スルリと、イヤーウォーマーに手を入れた。

ほかほかの耳に、冷たい手が!!

「冷たっ!!……うぅ……ほかほかが消えちゃうぅ~~」

抵抗するが、放してくれない。

「可愛い……もっと弱いところを見せて?温もりを頂戴……」

甘い囁きでも、これだけは許せない!!

「……嫌いぃ~~」

睨んでいるのに、遠矢は幸せそうに微笑む。

「俺は好き……愛してる……」

ずるい。耳は冷たいのに、体温が上昇する。

「ふふ。かわいい……」

ずるい!ずるい!!ずるいぃ~~

自信のない私でいいのだと、思ってしまう。

「美彩……俺の事、好き?」

「嫌い!!」

あなたに私の体温を奪われるように、心も……

大好きだなんて言わない……



ハート♪(side:遠矢)


クリスマスに美彩と外で待ち合わせ。

「遠矢ぁ~」

遠くから手を振る美彩の姿。

上半身はモコモコふわふわで覆っているのに。

オーバーオールのショート丈。赤色のそれは、今日にピッタリ。

寒いのに、短い黒色のブーツ。

中の白いモフモフが見え、素肌の白さと同調している。

美彩は目の前まで走り寄り、クルリと回転。

……ん?

「可愛いでしょ?これね……」

美彩の会話や太ももより、気になる。

そっと抱きしめた。

「ふふっ。声が出ないほど可愛い?」

いつもより はしゃぐ美彩も良いのだけど……

俺の両手は、おしりに滑る。

「なぁ?なっ、何?ここ、道……皆が!ちょっとダメだって、ばかぁ~~」

抵抗も気にせず、おしりにあるハート形のポケットを、なぞる様にクルクル。

「やっ!ヤメテ、嫌いぃ~~。」

やり過ぎたかな?

「ごめん。太ももに、まずは触れるべきだったよね?」

「知らない!!」

すねた美彩の頬に、キスをする。

「愛してる。可愛いね……喰っても良い?」

まだ拗ねているのか、俺を睨んで頬を膨らませる。

「……ダメ、今は。」

今は。

思わず、笑みが漏れてしまう。

「ふふ…美彩、全身可愛いけど冷えてしまうよ。どこかお店に入ろう?」

今日はいい雰囲気。

後で、ゆっくりハートを頂きます……




アイススケートで(side:遠矢)


取引先からアイススケート場のチケットをゲットし、美彩をデートに誘う。

「……寒いから、ヤダ!」

お、これは俺の期待するイチャイチャが可能かも。

何としても行って、俺に頼る美彩を見てみたい!

「温泉も、あるみたいだよ?」

何故か、温泉に目を輝かせる。

「美彩、温泉が好きなの?」

「……混浴は嫌い!」

残念ながら、スケート場施設に混浴はないよね。

俺でもそこまでは考えてなかったけど、突っ込まないでおこう。

くふふ……スケートでイチャイチャするんだ。

助けるふりして、イロイロ触れて……楽しみだなぁ。


当日。スケート靴を借りて、履き替える。

「遠矢、早く!!」

美彩は慣れた感じで履き終わり、俺の前に立つ。

そして俺の腕を引いて、ウキウキの速足。

ま・さ・か?

美彩はリンクに入ると、猪突猛進……俺を無視して、独りで楽しんでいる。

……美彩、可愛く転んで助けを求めるとか……ないの?

本当に寒いから渋っていただけか。

くすん……もう二度と来ない!!

「遠矢、滑らないの?ふふ……楽しいねぇ。連れてきてくれて、ありがとう。」

後ろ滑りを優雅にしながら。

吐く息は白く。可愛い笑顔。

くそぅ……かわいい!いつでも連れてきてやるぜ!!

その後、温泉に入り。

良い匂いの美彩も堪能できて。

こんな日もいいなぁ、と思った……





不機嫌で(side:遠矢)


忙しかった仕事が一段落。

久々の二人の時間。

「美彩、キスしてもいいかな?」

頬に手を当てて、背の低い美彩の耳元に顔を近づけ囁くけれど。

「イヤッ。」

顔を逸らして、いつものようにツンとした態度。

それでも俺から離れないのは。本気で嫌だと思っていない。

寮の俺の部屋に無断で侵入させるのは、美彩の協力がないとできないことだし。

まぁ、学園からのお咎めなどないだろうけど。

墨の手引きもあるわけで。

とにかく俺は時間を無駄にはしたくない。

「ね、お願い。好きだよ、美彩。」

髪を指に絡めて、口もとに寄せる。

「嫌だって言った。」

視線を落として、目を合わせずに小さな声。

キスしても良いという美彩なりのサイン。無意識だろうけど。

俺は美彩の腰に腕を回して抱き寄せ、強引なキスを落とす。

それに応えておきながら、君は。

「遠矢なんて、嫌い。」

「そ?俺は愛してるよ。」

上目で睨んだ美彩にキスを繰り返す。

すると、真っ直ぐな視線で。

「私も愛しているわ。」

美彩は自分の事を可愛げがないと言うけれど。そこが愛しい。

君は、さみしいと言わない。強さと弱さ。

何かが引っかかる違和感。

それでも、この時間だけは。

君が不機嫌でも匂いは甘く、得ている幸せは美彩からの愛情……




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