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⑫-B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ1】おおかみはかぐや姫を食べた

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伝承



 昔々、あるところに・・。


おじいさんは、趣味の竹細工のため竹やぶに。

そこで、女の赤子を拾う。

身に着けていた、高価な布に・・欲が出た。いつか、親が捜すはず・・。

数年育てても、お礼が・・倍以上貰えるのではないか・・。


数年経っても、親は現れなかった。

5歳・・しかし、美しい容貌ははっきり分る。金の入る先が、変わっただけ。

計算だった。

誰にも見せず、噂が広がる・・。美しい姫・・。

婿候補は、どんどんランクが上がる。そして、時の帝さえも・・。


名を、かぐやと呼ばれた姫は・・結婚の話を断ろうとした。が、育てて貰った恩・・。

自分の身に、好きでもない男が・・見物にやってくる。

時の帝、5人の婿候補・・。気持ち悪い視線に、耐え切れず・・日々泣いていた。


月は、満月・・。ある夜。

出たことのない外から・・一匹のおおかみが進入し、かぐや姫を食べてしまう。

着ていた着物に、血が付き・・跡形がなかった。


力のないおじいさんは、考えた・・。相手は、時の帝たち・・。

月からの使者に、力敵わず・・連れ去られたと伝えた。

人知の及ぶところではない美しさ・・。月から迎えが来ても、おかしくはない。




これが、築嶋家の伝承。


かぐや姫は、食べられることを・・望んだのだろうか?

当時は・・好きではなくても、結婚なんて当たり前だったのでは?

死ぬほど、嫌だったのか・・相手が。


伝承は、いい加減だ。

けど、築嶋家のおおかみは・・かぐや姫を食べただけ。オオカミの方に、どんな伝承が?

・・一生に一人は、関係ないよね?


・・オオカミ。あの後、窓からいなくなった・・。

罠・・?私の体には、誠志のつけた・・痕。


「はぁ。」


ため息が出る・・。

かぐや姫の物語では、帝と・・和歌を3年交換していた。月に帰る頃には慕う心があったとか・・。


誠志、私は・・独占欲はある。

けど、求められても・・体は受け付けない。・・これが、答え。


オオカミ・・。

大上おおがみ 保志やすし・・あなたは、私をどうする?

私は・・




保志side



 昔、あるところに・・。


大上家がありまして。120年に一度生れると言う、築嶋家の『かぐや姫』を見に行ったご先祖様。

人知の及ぶところではない美しさ・・に、気が狂い。自らに呪いを科したのだか・・。

食べた・・というか、手を出して処刑されたのだとか?


伝承なんて、こんなもんだ・・。

いい加減で、理解できない。女に、いかれるなんて・・。


築島家に、120年ぶりに生れた女の子。・・まさか、同じ高校に入学するなんて。

この私立希東けひがし高等学校は、私立結南ゆひみなみ学園の中等部からの編入になる。だから、顔見知りばかり・・。


桜の木の下、呪いが刻む・・俺を。

必ず、手に入れろと・・。


周りは、歌毬夜を・・確かに綺麗だと言う。

俺は、呪われている?気が、狂いそうだ。

大上家の相手は、いつも築嶋家ではない。・・むしろ、『かぐや姫』の方が珍しい。

120年に一度生れる・・女の子。


一生に一人。

大上家存続のため、一つの能力がある。

緑色の目・・相手を見つけ、唇に契約を交わして現れる能力。

・・心を惑わす目。ただし、築嶋家の『かぐや姫』には・・16歳までしか効かない。

彼女が16になった時、立場が逆転する。


歌毬夜は知らない・・。自分の目覚めの時を。

・・そして、能力も。築嶋家の伝承には、何も残されていない。

120年毎に、犠牲になっているのは・・おおかみ。大上家の方だ・・。


一生に一人・・呪われた決まりに、逃れ道は厳しい。

杏が言っていた、心を別に移す方法が・・ないわけではない。が、あえて・・君を選んだ志を保とう・・。


契約に、誓う・・。


俺から、逃げられると思うなよ?どこまでも、追いかけてやる。

・・死ぬまで、お前一人。


分るか・・?この欲望。求めて止まない・・

匂いに誘われた時と同じ。いや、それ以上の願望。あぁ、気持ちが高揚する。


はぁ・・

抑えが利かない。が・・今は、出来るだけ歌毬夜の体に触れない。

彼女の記憶に、男が触れることを・・『汚い』と感じる“何か”がある。

あれだけ大路に甘え、依存するのに・・。


最近までの歌毬夜は、どんな生き方をしてきたのか・・。

まさか、『かぐや姫』と・・同じ?


ふふ・・、楽しい。人を想い、上手くいかない・・。

初めての恋。恋焦がれ、狂いそうだ・・。


歌毬夜・・お前だけが欲しい。

一生に一人。


誰かを選んだら?

クスクス・・。させない、とことん邪魔してやる。あぁ、楽しいな。




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