第二幕
・・?
ベッドの上・・寝てた?
【ギシッ】
・・ぼんやりする視界に、人。
【ビクッ】
・・胸に触れる手。
「あっ・・」
!!?
体が、動かない?!
薄暗い部屋は、確かに私の部屋。
見え出す目に、上半身・・裸の誠志が。
「目が、覚めたんだ。おはよう、歌毬夜。」
いつものように、優しく微笑んでいる。
「・・ヤダ!止めて。お願い・・」
何故?
誠志が、こんなこと。
「嫌だ・・」
重い体・・必死で、腕を動かした。
「薬が残っているんだ。」と、私の両手を押さえる。
「嫌!」
涙が、止まらない。
「泣かないで、歌毬夜。・・愛してる。」
嘘だ・・嘘、嘘つき。
「止めて、誠志。
・・あなたの心に、誰がいるの?
知ってる・・。私以外の、女性が・・あなたの心にいるのを。」
誠志は、ベッドから退いて・・服を整える。
「だから・・?」
誠志は、部屋を出て行った。
・・薬?いつ飲んだ?
お父様と、話をしていたとき・・口にした?
寝返りをしてみる。
「だるい・・。」
制服の上がはだけ、ブラも外れてる。スカート・下着は、はいてる。
・・時間が経って、起き上がる。頭が働かない。
電気を点ける。
!!
キスマーク。
かぁ~~。
いくつも、胸や首筋に!どうしよう?
・・一人の顔が頭を過ぎる。・・オオカミ。
言い訳を、考えた・・?
一瞬のこと。
はは、馬鹿ね~。婚約してるのよ?
・・そう、婚約。
「はぁ・・」
ため息。
誠志が、・・認めた。心に、もう一人いること・・。
私がこうなることを、望んでいないと・・知っている。
ただの、甘えたい・・拠り所。・・依存。
「・・いつまで浸かるんだ、そんなぬるま湯に。」
・・ん?
え?声が、した・・?
「!!!!お、オオカミ??」
慌てて、服を正す。ここは、私の部屋・・で、二階。
え?夢?
「あぁ。お前の、いやらしぃ~匂いに誘われて・・。」と、緑色の目。
かあぁ~~。
「出してないもん!!」
くすくす・・オオカミは、笑う。
「ま、罠に掛けられたっぽいけどね~」
罠・・?囮は、私・・で?
「で、これ以上は・・近づかないよ。今日は、ね。」
「・・いつも近づかないで。
何よ、ホントに捕まえてもらうわよ?」
窓際にもたれるオオカミは、なんだか・・綺麗。
「で、いつまで浸かるの?奴の・・嘘の優しさに。」
ドキッ・・
私の核心。
「あなたに、関係ないでしょ?」
「ある。
歌毬夜、忘れたの?俺は、君を・・一生に一人の相手として選んだ。
覚悟して?絶対、手に入れる。俺を・・独りにしないで。」
・・独り。
嫌だ・・独りに、しないで。誰か、誰か・・一緒にいて。
・・過去の記憶が重なる。
「歌毬夜、君は・・知っている。独りが、どれほど孤独か・・。
ね、歌毬夜・・一生を共に生きよう?絶対、独りにしない。
歌毬夜、愛している。」
オオカミの囁きが、心を惑わす。
『・・耳を、傾けてはいけない。決して・・』
でも、・・聴いてしまった。
惹かれる・・。




