き・え・る・な!
力尽きたのか、抵抗を止めた麗季(狼)は肩に、大人しく乗っている。
無言・・
『好きだ』
・・あの言葉は、麗季に伝わったのだろうか。
微かに、伝わったんだろう・・
『麗季は消える。これで留まったのは、奇跡・・』
君は、消えることを選んだ。
留めたのは・・俺の言葉。
「・・嘘つき」
嘘じゃない・・けど、君は信じてくれるだろうか。
卑怯な俺を・・
麗季の家(大上家)
玄関に出たのは、俺と同じぐらいの男・・多分、兄の保志さん?
俺は、狼を地面に下ろし・・服を渡した。
「麗季です。」
「麗季?!」
狼は、歩いて家の中に入っていく。
首をこちらに向け「私よ・・」と。
保志さんは、俺を睨み・・外に突き飛ばす。
保志さんは外に一緒に出て、勢いよくドアを閉め・・
俺の胸座を掴んだ。
「説明しろ・・」
麗季を追い詰めた。
・・消えたいと思うほどに・・
俺は説明をするために、彼を見据えた。
「ちっ・・」
胸座にあった手から解放される。
俺は、草樹が現れたときからのことを話し始めた。
きっと、俺の分からないことを・・教えてくれるだろう・・と。
「お前、おかしいよ・・」
おかしい・・?
一瞬の間
「どうして、手を出さない?!」
え?!!
そこ??・・って、あなたの妹に手を出していなのに??
おかしいって??
「こほっ・・すまん、話がずれた。」
ずれたとかの次元??
「そうか、親父が隠していたのは・・これか。」
隠していた・・?
「あの、どういうことですか?」
少し考えた感じで、ニヤリと笑った。
「泊まれ!命令だ。」
「え・・それは、ちょっと・・」
「いつ消えてもおかしくない。いいのか?」
俺を無理やり家の中に入れ、麗季の部屋に押し込める。
・・凄い力に抵抗できなかった。
ベッドの上に、丸くなって寝ている狼。まるで犬と変わらない。
元に、戻るのだろうか・・。
『いつ消えてもおかしくない。』
保志さんは、笑ったけど・・
嘘じゃない。あの草樹が身を引いた。
『君に任せる。これ以上、俺が関与すると・・』
・・キエル・・
「麗季、ごめん・・」
ベッドの端に腰をかけ、手を伸ばし・・触れずに止めた。
きっと、裸・・。
「はぁ・・」
ため息。
「どうして・・」
【ビクッ】
寝ていると思ったのに、声がしたので驚いた。
「れ・・」
「どうして、触れないの?」
ドウシテ・・
答えられず、口を閉ざした。
伸ばした手も、ベッドの上にそっと置く。
狼は起き上がり、背を向けてベッドの上に座った。
「消えるな・・」
「・・酷い・・」
そうだ、酷い・・。
散々、君を傷つけた。消えることを望むほど・・。
俺の、卑怯な態度が・・言葉が・・君を追い詰めた。
君は、俺でなくても良くなった・・いつか、他の誰かを好きになるかもしれない。
君を失うのが怖くて、言わなかった言葉が・・君を消すことに繋がるなんて。
酷い話だ・・
後悔しても、しきれない!
覚悟を決めた。
「麗季、好きだ・・。」
俺の声に、狼の体が跳ねる。
「・・嘘・・嘘つき・・」
涙声に、顔を下に向け・・震える身体。
「消えようとしたから、罪悪感から・・?
気にしないで!過去のおおかみは、それを望んだ・・。
あなたに心を残していけるなら・・私は、それでいい。
忘れて・・消えるように、すべて・・
忘れていい。そして、他の人と・・幸せに・・」
!!?!
狼の身体が、少し・・小さくなった!!
「麗季!!」
俺は、狼を後ろから抱きしめた。
・・狼じゃない・・大切な、俺の・・一生の相手・・麗季。
「年齢なんか、もう・・言い訳にしない。
麗季、喪ったら・・俺も生きていけない。
頼む・・元に戻って。」
「嘘ぉ~~・・っ・・っ・・酷いよ!酷い・・
嘘つき!嘘・・つ・・きぃ~~」
「うん・・ごめん。」
夕日の光が、窓に差し込み・・俺たちを優しく照らす。
俺の腕の中、麗季は・・人に戻る。
「・・きゃっ・・
ちょ、羊二!は、離れて・・み、見ないで!!」
やはり裸だった。
慌てる麗季を、放さず・・耳元で囁いた。
「ね、体・・まだ小学生だけど・・いい?」
その言葉に、麗季の体が硬くなる。
「な・・何を・・何が、いい??」
「このまま・・シテいい?」
「待って、待って!!」
裸の、好きな女の子が・・俺の腕の中・・
ここは、ベッドの上。
俺は、麗季の首筋に唇を当て・・
舌で肩まで滑らせた。
「・・ひゃ・・んっ・・」
可愛い声・・
「止まらない。
ずっと、我慢してたんだ。麗季・・好きだよ。」
麗季の体温が熱くなるのが分かる。
俺に、反応してる・・
「羊二・・でも、あの・・」
俺には、余裕なんかない。
「麗季、考える余裕があるんだ・・。
俺を、あんなに誘っておいて?悔しいな・・」
後ろ向きの麗季を、そのままベッドに押し付ける。
「やっ・・」
麗季の白い背中に、長い黒髪がかかって・・
俺を誘ういい匂い。
「待って、や・・。
ね、羊二・・待って・・見えなくて・・怖い。」
可愛い・・
耳元で囁く。
「何が怖いの?
消えるほうが、もっと・・怖いよ?」
「え・・けど、それは・・」
髪に触り、キスをした。
この一本も・・俺のものだ。
髪をよけて、うなじにキス。
【ビクッ】
「はぁ・・」
麗季の息が漏れる。
【ドク・・ン】
「は・・はぁ・・」
俺の息も苦しい・・
この、白い肌・・汚したい・・
背中に舌を這わせる。
「・・んっ・・やぁ・・」
反応に嬉しくなって、止まった場所に吸い付いた。
「っ!・・痛・・い」
白い肌に、赤く・・俺の印。
調子に乗って、次々に・・
「・・っ・・ふ・・ううぅ~~。うえっ・・」
体を震わせ、泣き声が聴こえる。
夢中で、気がつくのが遅かった。
「ひっく・・うっう~~」
泣かせてしまった。
こんなことになるんじゃないかと・・分かってた。
頭に手を置いて、優しく撫でながら謝る。
「ごめん。嬉しくて、調子に乗りすぎた・・。」
「ばかぁ~~。Hぃ~~・・っ・・」
「すみません。」
・・絶対、止まらなくて・・泣かせる自信があった。
だから、必死で我慢したんだ。
「こんなの、思ってたのと違うぅ~~。
羊二・・変態!!」
こんな状態なのに、俺の目は隙間から見える胸を捉える。
あぁ、触れたら・・怒るかな?
「羊二?どこ、見てるの?」
「胸。」
「・・~~!!今日は、駄目!!」
【ガチャッ】
保志さんがノック音なしで、ドアを開けて入ってきた。
「「え・・」」
固まる俺たち。
「あ、麗季・・戻ったんだ。よかった。
話・・後にする?それとも、今?」
平然と、俺たちに微笑みながら訊いた。
「保志さん、部屋・・出ましょう!
じゃ、麗季・・後で。」
ニヤニヤと、保志さんは満足そうに部屋を出る。
それに付いて出る。
居た堪らない!!
階段を下りながら、保志さんは俺の肩を叩き・・
うんうんと、うなずく。
「よかった・・。
お前も、ちゃんと・・男だったか。」
裸の妹に、俺を見て・・それでいいのか??
俺も、どうかしていた。ここは、麗季の家だったのに・・。
リビングに通される。
「父さん、連れてきた!」と。
父親ぁ~~??!!
自分の行動を、これほど後悔する日はないと思う・・。
「座って・・」
「はい、失礼します。」
目の前に座り、嫌な汗が出る。
殴られるだろうか・・だよな?
「父さん、麗季が元に戻ってた。最悪な状態は抜けたよ。」
消えることは、無くなった・・?
「あの、説明してください!
呪いは、うわさで聞いた程度です。解放された呪いが・・」
「すまない。
私は、『解放された呪いが、始まりに還る』と聞いただけだ。
去年の冬・・麗季を預かった。
君が出逢う、少し前・・。
呪いの源・・魔女の隠された家系が、本家の記憶を消し・・
連れてきた。選ばれた・・おおかみだと。
本当の年齢は、君と同じ高校生。
でも、成長が遅いから・・海外で教育は先まで受けている。
記憶が消されているだけだ。・・元の姿に戻れば、君と高校にも通える。
君が、麗季を・・選べば・・。」
「選ぶ・・?」
「草樹は会ったね?
彼は、『呪いの始まり』だ。・・彼は、答えを探している。
君と麗季が・・試練に耐え、答えを提出する。
試練は、俺たちの基準じゃない・・。
試練の為に、麗季が元の姿に戻ることも考えられるだろう。
羊二君。想いを培って、育ててくれ。
決して、麗季が疑うようなことはしないでくれ。消えてしまうことがないように・・。」




