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⑫-B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ4】おおかみ女と嘘つきな青年

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よ・け・ん・しゃ!


 朝。

学校の準備を持ち、部屋からリビングへ向かう。


「おはよう。」


「おはようぉ~」


のんびりした母の笑顔。


「みんなは?」


「父さんは、仕事ぉ!

で、麗季に伝言?『味方が現れる。』って・・。

麗季・・イジメられてるの?」と、泣きそうな顔で訊いた。


「ふふっ。まさか!

ゲームの話よ。先が見えなくて、父さんにヒントをもらったの。」


私の言葉に、微笑んだ。


『味方』・・?

疑問が多い。教えてくれる人だろうか?


幸せな家庭・・。

いつからいた?曖昧な記憶・・。



「行ってきます。」


私は、どこから来て・・どこに行く?

一生の相手、羊二・・。あなたの心は、手に入るだろうか・・?


「おい・・無視すんな!」


考え事をしながら、いつの間にか学校の廊下・・

嵐に引きとめられる。


「嵐、おはよう。」


普通に接した。


「・・おう。

麗季、俺が言ったこと・・なかったことにすんな!」


そう言って、教室に走っていく。


無かったことに・・

嵐・・あなたは、私・・。羊二から見たら、きっと・・こうなんだ。

気持ちは嬉しい・・。でも、駄目。


私には、好きな人がいる・・だから、諦めて欲しい。

傷つかないで・・他の人を好きになって欲しい。

羊二・・私が小学生だといけない?


そばにいて欲しい・・いてくれるだけでいい。

時間は、長い・・一生の相手。

まだ、誰も他の人を見ないで・・。今の私では、奪えない・・。


『あなたの心が手に入らないのは、どうして・・?』


・・?

心に、声が・・聴こえる。


呪いは、解放され・・草樹を操っているはず。

何故、雑種を選んだのかは解らないけど。


今まで、呪いは私に囁かなかった。

源は・・



 放課後。

任務がないから、新体操クラブに向かう。


「麗季、私も行くよ!」


綾が、幸せそうに笑っている。

益々、綺麗になった・・。


「ね、綾・・どこまでいってるの?」


「・・へへっ。あのね・・」


顔を赤らめ、耳元で内緒話。


「ちょっと、手前・・。」と。


・・・・。

優貴・・暴走しすぎ。


「優貴は、年齢とか・・気にしない?」


「気にするよ!だから、そこまで・・」


新体操の設備は、学校の近くにある。

・・綾とは、そこで友達になった。そう、学校じゃない・・。



「麗季、話があるんだけど。」


「草樹・・」


「え?・・連歌・・じゃないの?」


綾は、初めてだったか・・


「連歌の双子。

連歌は、クラブの入り口にいるよ?」


綾は、嫌そうな顔をした。

「はぁ。嫌だけど、先に行くね。」と、ため息。


「うん。」


草樹、あなたの目的は?



 近くの公園に場所を移す。


「私をどうしたいの?」


「手に入れたいけど、無理にはしない。

だって、隙だらけだ。羊二は、君を傷つける・・だろ?」


「・・傷つけているのは、私だ。」


私の心・・

そこにも、隙があったのかもしれない。

草樹は穏やかに微笑む。


「優しいんだね・・。」


呪いを忘れるほど・・

連歌の任務中の優しい言葉と、同じ。


「草樹。呪いは・・」


草樹は、私に近づき・・手をお腹に当てた。


「・・麗季、君は・・もうすぐ女になる。

ふふっ。君も、隙だらけだ・・。

可愛いね。」と、微笑んで離れる。


「・・それが、あなたとどう関係が・・」


緑色の目に変わる。


「子を作ることが出来るか、そうでないか・・大きな違いだ。

くく。この目は・・おおかみには、効果がない?

そうかな~気持ちは伝わるだろ?」


「草樹、先に言っとく。

私には羊二・・一人だけ。他の誰にも、心は動かない。渡さない!」


「君が純粋であればあるほど・・。

麗季、俺も言っとく。

傷ついて、休む場所が欲しいなら・・俺にもたれろ。

ただ休む・・その場所に、俺を覚えておいて。」


ヤスム・・場所・・?

草樹は、ニッコリ・・笑う。


「またね、麗季。」


クルッと方向を変え、歩いていく・・


草樹・・あなたは、どこまで呪いに支配されている?

ありえない・・。あなたが、私に固執する理由が見つからない・・。


女に・・なる?

私は、自分のお腹に手を置いた。

・・生理・・が、始まる?


かぁ~~。


草樹の言葉が、頭を巡る・・。

確かに、子供ではない。胸が大きいのとは、違う・・。

そうか、私は・・女の子から、女になるんだ。

増える責任・・



 生理が来た。体が、だるく・・起き上がれない。

夢うつつ・・何かが、私に囁いた。



『一生に一人の相手を、必ず・・手に入れて。

彼を本当に解放するのは、あなたと・・私。

麗季、何故あなたが・・最初に目覚めたのか・・

私が導いた。

呪いに苦しむのは、これで終わり・・。

試練に耐え、一生の相手の心を手に入れて。あなたの記憶も、少しずつ・・』



【コンコン】


「麗季、入るよ~。・・大丈夫?」


円華姉だった。


「うん。・・円華姉、訊いてもいい?」


「うん?」


優しく、頭をなで髪に触れ、微笑む。


「諷汰さんとは、呪いが解かれて・・何か変わった?」


「・・うぅ~~ん。私たちは、変わらないわ。

緑の目が、関係ないし・・ただ・・」と、視線を逸らし・・口を閉じる。


「何?」


「バカバカしい話。男って・・

新月に、楽しみがなくなったって・・ね。」


あぁ、耳と尻尾。


「男は、嬉しいの?」


「目を輝かせてたわねぇ・・。

呪いか。

麗季・・私は、呪いで諷汰を好きになったんじゃない。

出逢うべき相手だったと思うの・・。」


「聴かせて・・」


目を閉じる私に、円華姉は語る。


「出逢った相手は、本当に・・相手だろうか?

疑問に思った・・。」


本当の・・相手か・・?

私は、考えたこともなかった・・。


「私たちは、呪いを解放するために存在するわけじゃない・・。」


呪いを・・解放・・


「麗季、寝たの・・?」



意識が沈む・・

遠い・・円華姉の声が・・遠退く。



『苺愛の役目も・・。

・・自然に出逢い、惹かれるだろうか?

本当に出逢うべき相手なら。・・見つけるなら、奇跡。

出逢うべき相手・・心を手に入れたことになる。』


役目・・?


『麗季・・真実のカケラ・・記憶を受け取って。

歌毬夜の婚約者だった・・大路おおじ 誠志まさしに、会うといい。

試練が近い・・心を・・出来るだけ・・』


あなたは、誰?

味方でしょ・・?


『そう、あなたの味方。私は、予見者・・。

時が来たら、逢うことになる。名は明かせない。

想いを培って・・育てて・・決して、疑っては・・』




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