う・そ・つ・き!
羊二Side
追いかけることが出来ず、立ち尽くす。
きっと、追いつくだろう。そして、この部屋で・・。
「はぁ・・」
最悪だ。
相手は、小学生・・。
優貴さんとの話を思い出す。
キスをして、胸に触れたと。押し倒して、泣かれた・・って・・。
俺が手を出していないと知って、青ざめていた。
はぁ。
「胃が・・痛い・・」
俺だって、健全な男だっつ!!
畜生!!
好きだ・・。誰にも取られたくない。
この手で触れたい・・。唇に触れるだけのキスなんかで、満足できない・・。
まして、麗季からのキス・・。
甘い・・
キスが、あんなに・・気持ちいいなんて。
まだ、小学生・・。これから、もっと・・女っぽくなる。
狂いそうだ。
少しだけなら・・いいか・・いや、駄目だ!
絶対に止まらない・・。
「麗季・・好きだ・・」
「くすっ・・くくっ・・」
気配のなかった部屋に、男の笑い声。
「・・君・・連歌・・じゃないな。」
聞いたことがある・・。
別の任務の担当に、双子がいると。
「はい。松木 草樹って、言います。
鍵が開いていたので、失礼しました。
ふふっ、鍵が掛かっていても関係ありませんけどね。」
そう、特殊な重要任務を扱う・・草樹。
「用は?」
「もうすぐ、麗季に逢いに行きます。
呪いの解放が近いんですよ・・。」
呪いの・・解放??
大上家は、呪いで・・緑色の目を持っている。
キスした相手は、一生の・・相手。麗季のそれが、俺・・。
解放・・される・・
「ふふっ。麗季の相手は、あなたでなくても・・良くなる。
安心してた?自分以外の人を、選べないと・・。」
図星だった。
「目的は?」
「麗季は、オレのモノです・・。」
モノ・・だと?
「連歌と、同じようなこと・・言うんだな。」
「くくっ。双子・・ですからね。
羊二さん、どうして・・名前を呼ばせないの?」
「お前に、関係ない。」
呼ばれると、保っている理性が飛ぶ。
「俺は中学二年生。
麗季と並んでも、可愛いカップルだ。」
そうだろう。
「でも、手を出さないなんて・・誰が決める・・?」
綾ちゃんを大切にして欲しくて、優貴さんに『世間の恋愛基準なんて知らない。
大人になったら、年の差なんて可愛いもの・・。何故、今駄目なの?
子供だから?それは、誰が決めるの?
・・失うのは簡単。手に入れて、大切にすることがどれ程大変か・・』
麗季が、そう言ったと・・聴いた。
優貴さんに、俺と付き合っている・・と・・。
「何が言いたい?」
「考え方を変えないと、俺は簡単に手に入れますよ?
面白くない・・」
解っている・・が、ゲームじゃない。
「麗季は、渡さない!」
「くくっ楽しみだ・・。
時間を少しだけあげるね。諦めるのは、今のうちだよ?」
軽い感じで、手を振って玄関に足を向けた。
「・・・・。」
お前に、何が解る・・?大事なんだ・・。
初めて逢った・・あの日が・・奇跡だった・・
俺は、裏の風紀。任務で屋上の見回りに行った。
その日は、寒さを感じない・・不思議な夜だった。
開けたドアの向こう・・手すりの上を軽やかに歩く女の子。
綺麗な・・黒い髪・・フワフワ風になびき・・白い服。
まるで、天使かと思った。
「誰?」
いきなりの突風に、君はバランスを崩した。
俺は必死で走った・・。
なのに、君は慌てる様子もなく・・嬉しそうに、俺の腕の中に・・落ちてきた。
温かい・・いい匂い。人間・・なんだと、安心した。
「大丈夫か?」
訊ねた俺の唇に、君の柔らかい唇が重なった。
目を閉じる間もなく、開く君の目が・・緑色に変わるのを見た・・。
俺は、役員でなかったら知らなかっただろう。
君が、大上家の人間なんだと・・。
君は、俺を・・選んだ・・
冷静に、「君・・。危ないから、送る。」と・・。
そう言うのが、やっと・・だった。
君に、恋に落ち・・君は、一生の相手として俺を選んだ。
どこまで本当なのかは、知らない・・。
けど、選んでくれた・・それだけで満足した。
だって、君は・・小学生。時間は、たくさんある。
もう少し・・もう少し待てばいい。
一生は・・長いから。
大事な女の子・・。
「ね、私のこと・・好き?」
「君の事、好きじゃない。」
嘘だ。
「嘘つき・・」
うん、分かっててくれている・・よね?
「ね、付き合って?」
「どこに?」
「彼氏になって!」
「何故?」
必死な君が可愛い。
君は、緑色の目にならない。本当は、それが・・少し不安だった。
俺の心を捉えていて欲しい・・。
どうせなら、その目の所為にして・・君に触れたい。
「この人、私の彼氏!!」
皆に聞こえるように叫んで、抱きつく君は・・まだ子供。
俺は、否定しない・・
俺の・・大切な女の子。
この子の心は、俺にあるから・・誰も近づかないで・・。
どうしたらいい?
卑怯な俺は、いつまで・・嘘をつき続ける?
知っている・・
俺の隠れた優しさを・・必死で受け止める。
微かな気持ちを、君は・・泣きそうな顔で・・。
『考え方を変えないと、俺は簡単に手に入れますよ?』
呪いから、解かれたら・・。君は、俺ではなくてもよくなる・・?
そんなの、一生の相手じゃない・・。
でも、解放される・・。
呪い・・そう、幸せの鎖じゃない。
俺から、解放されるなら・・。
君が、本当に・・好きになる人と・・
「はぁ・・。
頭が痛い・・頭を使いすぎて、熱が出そうだ・・。」
麗季・・




