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⑫-B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ3】おおかみは七匹目の子ヤギを狙う

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美衣or苺愛?


 ゴール地点。


「後から来て、どこで抜いたんだ?」


「え・・。さぁ?道、見ずに・・」


走ったから・・とは、言いたくない。


「それにしては、息が切れてなかった?」


美衣が、不思議そうに訊いた。


「・・っ、運動不足だ!!」


鋭い草樹は、ニヤニヤしている。

近道したんだ・・。

二人が、イチャついているのが・・頭の中をグルグルと巡って。


「ふぅ~ん?」


到着した人から順番に並んで、確認のため・・名前を記入。

そして、部屋割りを確認・・。作業が詰まっている。


「なぁ、効率悪くね?」


「あぁ。けど・・俺の担当は、強制参加までだから。知らない。」


ヒョウヒョウと、涼しげに・・笑っている草樹が、怖い。


「あ、美衣!女子は向こうだよ。」


草樹は美衣の肩に手を乗せ、女子が並んでいる方に向かせる。

触った・・美衣に・・肩に、自然と・・。

美衣も、嫌がることなく・・


イラッ!!


『体も、心も・・許さない・・』


美衣、意外と間抜けなのか?!

草樹は、気を許せる相手では・・。・・ある・・。


「草樹・・お前、美衣のこと・・」


「ん?好きだ・・って言ったら、どうする?」


どうするか・・?

分からない気持ちに、苛立つ。


「・・別に。」


草樹は、美衣を・・?


「はい、特別室の鍵。」


草樹は鍵を、俺の前にぶら下げる。


・・?

言っている意味が分からなくて、眉間にシワが入る。


「受け取れよぉ~~。手がだるい・・」


とりあえず手にとる。

不思議そうな俺に、苦笑。


「覚えてないのか?小部屋が、くじで取れるかもって・・。

代わりに、俺が引いたんだ。」


・・・・。


「あぁ!」


記憶が微かにある。


「誰と一緒なんだ?」


ニヤリと、意味深な笑み。


「草樹なのか?」


俺の質問に答えず「俺、まだ他の係りがあるから!」と、手を振る。


「・・?」


眠いが、男子の入浴時間にはまだ時間がある。

この学園の設備には、温泉とシャワー室が設置されている。

シャワー室は、女子専用にされてしまった。

温泉も金をかけ、源泉をひいたとか・・?


「ふぁ~」


あくびをしながら、部屋に移動する。

最上階の、個室が5つ。確か、練習試合や大会に・・優秀な選手用に作られたとか言っていた?


鍵を開ける。

オートロックの造りになっているんだ・・と、ドアをゆっくり閉めていた。


「きゃっ!!」


中から、女の声??!

部屋を間違え・・いや、鍵は合っている。慌てて声のほうに、向きを変えた。


「・・み、美衣・・?」


「采景・・??」


重い沈黙が続く・・


【携帯のコール音】


草樹!!


「おい、これは・・どういうことだ?」


「何がぁ?きちんと、くじに従っただけだよ?

ただ、采景の引くの忘れてて・・残っていた女子の方のが混じってたなんて・・

てへっ。結果オ~ライ?」


【プツッ・・ツ~ツ~・・】


切れた?!

掛けなおすが、電源が切られている。


「くそっ!!」


ドアに手をかける。


【ガチッ】


鍵が・・?!!


ずっと黙っていた美衣は、小さい声で

「無駄・・。この、特別室・・朝まで開かないの。」


「へ・・?」


今、何て??


「もう、9時過ぎたから・・朝まで開かないわ。

特別な造りで、選手が逃げたり・・遊びに行くのを防ぐようになってる。

お風呂は、部屋に設置されているのを利用することになってるわ。」


つまり、朝まで・・二人きり??


「マジかよ・・」


「中に入れば?」


美衣は、平然とベッドに寝転がってテレビを見ている。


「・・・・。」


前もって運ばれた鞄が、ベッドの上にある。

隣に、美衣・・。


「何?欲求不満なの~?

今日は、お腹・・一杯でしょ?」


足をバタバタさせながら、横目で俺を見る。

やっぱり、何かが違う・・。


「食あたりになりそうで止めた。

いつ襲うか、わかんねぇぞ~?」


「ふぅ~ん?」


どうでも良い・・みたいな表情をして、テレビに目を向けチャンネルを変える。

ムカッ


「おい、美衣・・」


「なぁにぃ?」


俺から視線を逸らしたまま、返事をする。

男と同じ部屋なのに、動じない・・。


何かが違う、何だ?


「なぁによぅ?」


面倒臭そうに、俺の方に寝転がる。

まるで、猫みたいだ。


「ぷっ・・」


つい、仕草がツボに入る。


「お前っ・・くくくっ」


不機嫌そうに、見る表情が・・近所の野良猫に似ていた。


「ははっ、野良!近所の、ブッ細工な猫と同じ!!

ぷぷっ・・くっはは・・」


ベッドに座り、ハラを抱えて笑う。


「・・・・。」


無表情な顔に、怒りマークが見える。

美衣は、ゆっくりベッドから立ち上がり、俺の前に立った。


【ドンッ】


「へ・・?」


勢いよく突き飛ばされ、油断していた俺は後ろに倒れた。

その上に、軽い美衣が乗る。


「美衣、悪かったって・・。くくっ・・」


ダメだ、ツボに入って・・笑いが止まらない。


「誰が、不細工なの?

じゃあねぇ、試してみる?その、不細工な女に・・どれだけ反応せずにいられるか・・」


色っぽい表情で、見下ろしている美衣。

長い髪が俺の頬に触れる。


「・・・・。」


無言で、美衣の目を見る。

・・本気・・か?


「止めろ。お前、そんなこと言ってるけど・・手、震えてるし。

退けよ・・。分かってるか・・ら?」


起き上がろうとした俺を、ベッドに沈める。


「何を・・何を知ってるって?」


いつもは、強気な目から・・大粒の涙が溢れ零れる。

ポタポタ・・と、俺の頬に伝う。


「美衣・・?」


胸座を掴み、俺の唇にキスをした。


「・・美・・むっ・・んん?」


舌が入る。


「・・っ・・」


何だ?

今までに感じたことのない、温かい気持ちが・・心を満たす。

俺の冷静な目が、必死で俺を求める美衣を・・捉えて離さない。


愛しさに、胸が熱くなる。

手を伸ばし、美衣の首の後ろを引き寄せ・・唇に吸い付いた。


「んっ・・んんんっ・・あっ」


俺が応えたのに、いきなり弱気・・抵抗を始める。

逃がさない・・容赦してやらない!


腰に手を回し、体を回転させる。


「はぁ、はっ・・

上に、乗られるのも好いが・・くくっ、逃げられそうだ。

はぁ。責任取れよ?・・誘ったのは、お前なんだから。」


「待って!

嘘、ごめ・・んんっ」


口を塞ぐ。

うろたえる君は、美衣・・ではない。


「お前は・・誰だ?

抵抗しろ、そのほうが燃える・・。

はぁ・・甘い、お前・・甘い・・な。

はっ、止まんねぇ。」


抵抗が、心地いい・・

本気ではない。


「やっ・・」


愛しい・・頬の赤み、息の切れる口。

唇は、潤んで・・俺を誘う・・。


頬に、目元にキスをする。

手は、柔らかい胸に触れた。


「やっぁ・・」


興奮する・・今までにない・・

理性が飛ぶ・・。


「ん・・采景・・」


呼ばれた・・名。

この声を・・シッテ・・いる・・


「・・お前・・は、・・」


「呼んで、・・苺・・と・・」


え?




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