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⑫-B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ1】おおかみはかぐや姫を食べた

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猟師


「築嶋さん。捜したよ!

林五さんも迷子になるし・・?大丈夫?顔色が悪いよ・・。

保健室に行く?」


・・稜氏くん?

どうして、彼が捜すのか・・不思議そうに見た。


「・・俺、学級委員長だよ。

はぁ・・存在感ないし、いいよ。後は、オオカミ一匹・・か。」


【ビクッ】


・・オオカミという言葉に反応してしまった。


「築嶋さん。お父様が、手を持っておられる。」


・・?

何を言っているのか解らない。

・・みんな、どうして何でも知ってるの?


「お父様が?・・稜氏くんは、何を知っているの?」


オオカミ・・。築嶋家の伝承・・。


「今は、時じゃないね・・。

俺は、リョウシ・・それでいい。大路様に、よろしく言っといて。

さ、授業は始まってるよ!こっち・・。」


道案内・・守人。赤月さんの・・。

・・いい人だな。



オオカミを、その後・・見なかった。

・・ほっとした。


誠志が、白雪を想う。・・彼も、おおかみの血筋。

大路家に、幼いとき遊びに行った。彼は、血に反応し・・人格が変わる。

私は、優しい誠志が好き。優しい誠志は、白雪が好き。・・そして、おおかみの部分が・・私を求める。


私は・・おおかみに好かれるのだろうか。

誠志の心は、全て手に入らない。



「築嶋さぁん?」


この声は、・・。


「何?オオカミなら、知らないわよ?」と、先に言う。


聞きたかったことを先に言われ、ムッとした赤月さん。


「そうぅ。ならいいわぁ~。」


・・?

いつもなら、ここで・・どこかへ行くのに。

真剣な目・・で、私を真っ直ぐに見る。


「歌毬夜・・。きれいなものには、棘があるわよ。」と、普通に言った・・。


「赤月さん・・?」


彼女は、そう言うと「オオカミ様ぁ~?どこぉ~?」

いつもの調子・・で、行ってしまう。


自分の周りで、何かが動いている。


「杏~?」と、遅れて・・稜氏くん。


「あっちに行ったよ?」と、指差す。


「ありがとう。」


後を追いかける、彼の後ろ姿・・。


「待って!」


つい、引き止めてしまった。


「・・ごめんなさい。」


恥ずかしくて、顔が赤くなる・・。


「何?」


どうしよう・・。

引き止めたものの、まだ時ではないと・・さっき言われたばかり。


「ふぅ・・。杏も、判っているくせに・・。

いいよ。オオカミは、手を出さないからね。」


・・?!!


「え?・・」


意外な言葉・・だった。稜氏くんには悪いけど、もう手を出されていると・・。

女が言うのも変だけど、あんなにフェロモンたっぷりの・・おいしそうな体つき。

稜氏くんは、ん~っと考えながら。


「じゃあ、これだけ。

この学校にいる人は、大上家のことを知っている。

オオカミ様は、好きになった人にしか欲情しない。

・・もう、見たかな?緑色の目・・。

人を惑わす能力も、決めた一人にしか使えない。

・・狙った獲物は、必ず手に入れる。大上家の存続のため。

これは、ホントかな~?相手は、一生に一人だとか・・。」


一生に、一人・・?

あいつが・・?ナイナイ・・無いって!


「さ、仕事だから・・杏を捜しに行かなきゃ。」と、にっこり笑って・・走っていく。


・・仕事?稜氏くんも、謎が多い・・。


誠志は、一人・・を選んでいないのか。血が・・薄いのか。

おおかみのような性格の時でも、見たことない・・緑の目。

自分が解らない。選んで欲しいと、願っていない・・。


『きれいなものには、棘があるわよ。』


・・赤月さんが言っていた。

きれいなもの?棘って、バラとか・・花?


はぁ・・。最近、自分の思考能力が弱ったのか・・?落ち込む・・。

誠志は、訊いたら・・答えてくれるだろうか?


まずは、お父様・・。久しぶりの帰国。

稜氏くん・・知っていたのかな?誠志も・・?だから、一緒に帰るって・・言ったの?


知恵熱が・・。




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