表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑫-B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ3】おおかみは七匹目の子ヤギを狙う

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/77

魔女の家系?


 円華姉の婚約者、諷汰さんの会社。会議室。

そこには諷汰さんに、保兄と『かぐや姫』がいた。円華姉はいない。

俺たち二人は、入り口にいた。


諷汰さんは、苺愛のことを調べて、知っていた。


「矢城さん、話を聞かせて欲しい。

一体・・大上家の呪いの始まりに、何があったのか。」


案内された席に座る。


「大上家は、私たちとの関係を伝承から消した・・

何が・・?それは呪いの解放者に、呪いが語ること。

ただ、私たちは・・大上家の心が欲しい。」


俺の心は、苺愛のものだ。

イラッとした。


「手に入っただろ?」


俺を見て、苺愛は悲しそうに微笑む。


「いいえ・・。

試練を乗り越え、呪いを知り・・それでも、私を選んだとき・・

私は、あなたの心を手に入れる。

魔女は、必死になる・・それも、無意識に・・」


その後、苺愛は・・差し障りのないことだけを話す。

核心は話さない。

家系内の決まりがあるみたいだ・・。


俺には、すべてがどうでもよかった。


「諷汰さん、円華姉呼んでもいい?」


俺は、円華姉を呼んだ。


苺愛は、最後に言った。

「諷汰さん。発祥の地に行くんでしょ?邪魔が入るかもしれない・・

でも、急いだほうがいい。解放の時が近いから・・」と。


円華姉が来て、苺愛の話を少しだけした。

その後、円華姉と歌毬夜さんは発祥の地へ。保兄と諷汰さんは別のところへ向かった。

俺たちは、諷汰さんの会社の車に乗って学校へ。


車の中、苺愛は口を閉じ・・ただ、外の景色を見ていた。


試練・・呪い・・

苺愛は、俺のことをどう思っているんだ?


『魔女は、必死になる。無意識に・・』

大上家の心が欲しくて・・


緑の目の契約・・は、魔女の呪い。

それを知るのは、呪いが語る時・・。



 学校に着き、苺愛は俺に言う。


「歌毬夜さんは、16才では死なない。

万樹さんの話は嘘・・。これは、諷汰さんに伝えて。

この後の話は、保志さんに。

数日後、矢城家の長たちが接触するわ。

すべてが解決するから、他の人に言わず待って・・と。」


視線は俺の方だが、俺を見ていない。


「苺愛・・俺を見ろ。」


「見ているわ。」


「黙れ!」


俺は、いつものように怒りに任せ・・唇を重ねた。


【ズキ・・ン】


激しい頭痛。


「忘れて・・。呪いが語るまで。私を・・

いえ、なんでもない。

采景・・」


声が小さくて聞こえない・・。


苺愛・・。

何をした?


昨日の夜・・苺愛の声を聞きながら睡魔に襲われた。

苺愛・・俺は、必ず・・ミツケル・・カラナ・・



「・・ん・・?」


俺は、目が覚めた。


「起きた?」


保健室の先生が、声をかけてくれる。


「俺・・?」


記憶が曖昧?


「寝不足なの~?もう少し寝る?それとも・・」


「教室に戻ります。」


思い出せない・・。

携帯の発信履歴は、円華姉・諷汰さん・保兄・・朝から俺がかけた?


キエタ記憶・・。

もしかしたら・・俺の一生の相手・・の記憶?

保兄もワスレタ・・


誰だ?何故、消えた?

いや、本当に・・?


俺は、携帯で連絡をとる・・

俺の失った何かを知るために・・。円華姉・保兄・諷汰さん・・連絡がとれない。


「もしもし、麗季?

あぁ、悪い・・。聞きたいことがある。俺は、契約したのか?」


『え・・?

2日ぐらい前?契約したって・・。』


・・俺の一生の相手・・。


逃がさない!

絶対に捕まえてやる・・見つけるからな!



 廊下。


「おい、大上!お前・・噂は本当か?」


保健室から教室に行く途中・・数人に捉まった。


「何が?」


噂・・


「お前の目が緑色になっていたって!」


「女の子を、空きの教室に連れ込んだのか?」


「相手は誰??」


うるさい・・が、俺の相手だ。


「俺が教えて欲しい・・」


俺は本気なのに、言葉が悪かったのか

「なぁ~んだ。嘘かよぉ~~。」と、去っていく。


・・あれ?今、気がついた。

女の顔が、判別できる。可愛い・綺麗・・普通。あ、多分食った?


これって・・。

見つからないように、隠れているのか?


この、身近にいるんだ。

俺の一生の相手。


匂いはない・・


くすくす・・楽しい。

見つけたら、容赦しねぇ。ふふふ・・くくっ


「楽しそうだな。俺も交ぜてよ!」


この声・・?


「草樹!!何で、ここに・・??」


「あはっ。役員の調査で、潜入してるんだ!

で、何々??」


目を輝かせる草樹は役員。

情報も、すぐに手に入る。面白くないな。


「俺、相手の記憶がない。」


俺たちは、使用されていない教室に入る。


「あ、俺の古い匂い。けど、相手の匂いがないな・・」


草樹は昨日、俺と話をした内容を教えてくれる。


「ふぅ~ん。七匹目か。

見つけたら、喰って良いんだろ?」


「くくっ。

お前、言ってたぞ。『感じる。欲情が止まらない。』って。」


【ドク・・ン】


俺の中の何かが、反応した。

これか・・。


欲しい・・


「けど、その緑の目が利かないのは・・

呪いの元凶だったからか、なるほどねぇ。」


何故か、草樹まで楽しそうに笑う。


「お前、本当は・・相手を知ってるんじゃないのか?」


質問に、草樹はニッコリ笑っただけ。

いい度胸!


「さ、まずはどうする?一匹ずつ喰うか?」


草樹は、俺で遊んでいる。


「なぁ、麗季の友達に・・お前の兄貴はこんなことしないよな?」


少し不安になる。


「ん?連歌・・?さぁ、どうだろう?」と、爽やかな笑顔。

胡散臭い・・。


「大丈夫。振られてるんだ・・。

俺より、真面目だし・・。」


・・?

双子も、色々あるのか?



「案がないなら、提供するぞ~?」


「例えば?」


一応、訊いてみる。


「まず、俺が喰う!」


「却下!!」


草樹は、ケラケラ笑っている。

はぁ・・ホント、勘弁してくれ。何しに来たんだ・・


「冗談だよ。一応は、お前が選ぶくらいだから・・

可愛いとか綺麗とか、人気ある女じゃないのか?」と、ニヤニヤ。


・・?

何か、裏があるような笑み。


「信じない。けど、頭には置いておく。」


小賢しい・・



 自分のクラスに戻る。


「矢城さん。これ、お願いしてもいい?」


「うん、いいよ。」


クラス委員の矢城・・

要領の悪い女だ。今時珍しい黒縁の眼鏡に、地味な髪型。

すっとした立ち姿が綺麗なのに、控えめなのか・・。イライラする。


「あ、矢城さん・・これも」


「私も・・」


イライラ・・


「断れよ!」


つい、叫んでしまった。

俺の声に、さぁ~っと人が散る。


「ありがとう。」


矢城は、口元だけが笑っている・・笑顔ではない。


「お前見てると、イライラする。」


要領の悪い女だ!可愛げのない・・

でも、眼鏡の奥・・綺麗な目をしていた・・?

気のせいだな!

今まで、顔の判別が出来なかったから・・


面倒臭いな。見つけられるのか・・?

保兄は記憶が戻った。

俺の記憶も・・戻る日が来るのだろうか?


イライラする・・

相手は、俺のこと・・どう思っているんだ?

他の子を喰ったら・・嫉妬するのか?

草樹との話を思い出し、考える。

なんだか、自分に危害がなければどうでもいい・・なんて、思っていそうだ。


苛立ちが募る。

何だ?何かが足りない・・。


授業も上の空・・。


「・・くん。大上くん!」


・・?


「何?」


矢城だった。


「選択の先生が、呼んでいるって。私・・」


俺は、無意識に矢城の手をつかんだ。


「何?!」


「いや、これ・・アザ・・どうした?」


手首に、縛ったような痕。

とっさに、矢城は手を払う。


「気にしないで!

・・さっき職員室で伝言を・・つ、伝えたからね!」


慌てて、逃げていくように行ってしまう。


・・?

何だ?そんな・・プレイしたのか?

まさかな~真面目そうな・・委員長だし・・ん?違和感・・?


皆は、昼食を食べ終わっていた。


「おい、大上!サッカーしようぜ!」


「食堂行って、職員室行くから。またな!」


ここの食堂は、手の込んだメニューが多い。

俺の前に一人の女の子が、針路を塞ぐように立っている。

それを、するりとかわす。


後ろから声。

「采景くん。冷たいのね、あんなに愛してくれたのに・・」と。


アイシタ?

立ち止まり、振り返る。


可愛い顔。胸もある・・。

香水か・・?悪くない匂い。


ん・・?何かが引っかかる・・?

もしかして、こいつ・・なのか?


「おい、お前・・名前、言えよ!」


体をすり寄せ、微笑んで俺の首に手を回す。

そして、唇を重ねた。

俺からしたわけではないし、何か分かるかも・・と、様子を見る。


「ふふっ。矢城やぎ 美衣みいよ。」


【ドク・・ン】


ヤギ・・?

何かが違う・・?いや、合っているのか?


「離れろ。」


密着させた体に、熱が残る。


「残念・・。」と、離れる彼女から甘い匂い。


「・・はぁ・・はっ・・」


??

息が切れる?いや、のどが渇くように・・足りない・・


「ね、感じて・・私を・・

ね?采景・・」


何だ?意識が飛びそうだ。


「無理しないで。何故、ためらうの?」


解らない・・体が求めるのに・・何故・・


「采景ぉ~~?」


遠くから、草樹の声。


「あら、邪魔が入っちゃった。

またね・・愛してるわ・・」


廊下に座り込み、壁にもたれる。

息が荒い・・


「大丈夫か?」


「悪ぃ・・」


俺は、気が遠くなるのを感じた・・


「采きょ・・ぅ・・」


草樹の声が・・遠くで・・俺を・・呼んでいる。


・・ヨンデイル・・

オンナノ・・コエ・・?


ホントウハ・・オマエ・・ダケ・・




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ