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B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ2】おおかみ女と一匹の子狼

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新月


風呂・・?

少し、疑問に思う。


「あの~・・話・・するのに、何でお風呂・・なの?」


彼はニヤリと笑って、私に近づく。


「何?忘れちゃったの?俺たちの関係・・。

誰も知らないし、教えてくれなかったんだ?

ふふっ・・。聴きたい?」と、色気のある声に緑色の目。


私と契約したおおかみ・・。

え?もう・・しちゃったの??


「ね、大人しく風呂に行って?」


「行くから、離れてぇ!!」


私は、風呂場に向かう。

後ろで、クスクスと笑う声がする。

からかわれている?どこまで本当なの??

迷わず、風呂場に着く。


・・・・。

やっぱり、習慣なの??

えぇええ??嘘ウソうそぉ~~!?!?


シャワーを浴びる。

何だか、記憶にある気がする?

うわぁ~~ん。恥ずかしい!!

記憶に無いから、初めてなんだけどぉ??


ほんの数日前まで、はっきりした記憶がある。

異性の誰にも関心が無かった。

これから、ずっと・・相手に出逢わずいくのか・・考えていたはずだ!


・・相手は、年下?高校生?

ここは?高そうなマンションの一室。本家の人間だからなの??

この後・・私・・彼と・・?しちゃうの??


お風呂から出ないわけにはいかない・・。

入ってこられても困るし!!


お風呂を出て、新しい服が準備されている。

しかも、下着まで。サイズもぴったり?!

おかしい。記憶に、あるような気がする。


ウソダ・・

誰か、嘘だと言って!!


【コンコン】


ドアをノックする音がする。


【ビクッ】


心臓が跳ねる。


「な、何?もうすぐ出るよ?

待ってよ!ぜっっつつたいに開けないでよ!!」


ドアの向こうで、笑い声がする。

恥ずかしい!!


風呂場のドアを開ける。が、諷汰はいない。

そっと、さっきの部屋を覗く。

諷汰は、デスクに向かい眼鏡をかけてパソコンを操作している。

かっこいい・・。


契約の相手だけを、異性と認識する・・

あぁ、これがそうなんだ。


「円華?こっち来て、水分取りなよ。」


私の匂いに反応したのか、作業をしながら後ろ向きで私に言った。

馴れている・・ような??

すべてが、私にとっては初めてなのに・・。


私は、何故か無意識にベッドに座った。

作業している諷汰を見つめる。

匂いは無い。

微かにも・・意識を集中しても、匂わない。でも、この人が・・私の相手。

綺麗な横顔だ。


私の視線に、諷汰が気付く。

作業を止め、私の方に向き微笑む。


きゅ~~ん。

胸が、締め付けられるように感じる。

かわいいなんて・・少しでも思った自分に後悔・・。

ゆっくり立ち上がった諷汰が、私をベッドに自然と横にならせる。


??


あまりに自然で、気が付いたときは、上に諷汰が覆い身動きが取れない。


「・・諷汰、作業の途中・・でしょ?

いいよ?私、家に帰るし。ね、気にせず・・作業・・むっ・・んんっ」


唇が、私の言葉を飲み込んだ。

目を閉じ、幸せそうに私を求める諷汰。

満たされる・・欲しい、もっと・・。

諷汰の舌が口に入ってくる・・

キスって・・気持ちいい。

求める諷汰に応える。


「ん・・はぁ・・」


怖いぐらいに興奮する。

諷汰の手が、私に優しく触れた。


「円華・・」


私に感じている諷汰のかすれたような声に、体が熱くなる。


【ズキ・・ン】


今までに無い頭痛に、私は頭を押さえた。


「円華?!」


まただ・・意識が・・



「・・円華?」


意識を戻し、私の目には心配そうに見つめる諷汰。


「諷汰・・。」


記憶はないままだった。


「訊いていい?これ、呪いなの?」と、諷汰は私の頭の上に手をもっていき・・

そっと触った。


「ひゃっ」


狼の耳!!


「今日って、新月・・?」


おしりに手を当てると、尻尾がある。

諷汰の目が何故か、輝いていた。


「諷汰さん・・?どうして、嬉しそうなの?」


私にだけに現れた、大上家の呪い・・。

初潮の時期からずっと・・新月に、狼の耳と尻尾が生える。

もしかしたら、麗季も?まだ、わからないけど・・。


「あれ・・?

諷汰、成長・・してる?」


高校生ぐらいの印象が、大人に近い?


「あぁ、円華が感じてくれたのが嬉しかった。

俺に応えてくれたし・・もうすぐ、全部の感情が揃う。

愛してるよ」と、キス。


「・・。待って、じゃぁ・・まだ、だったの?」


諷汰は、可愛く微笑み「うん。」と。

絶句!!


「俺、ウソはついていないよ?」


確かに・・

私が勘違いしただけ。でも、・・


かぁあ~~。

顔が熱くなる。


「触らないで!!」


自分が恥ずかしくて、諷汰の手を払う。

伝承・・本家の呪いは、感情の欠如。相手が、感情を与え成長する。

まだ、してなかったんだ!!


「円華、こっち向いて。」


優しい声の諷汰。


「いや!恥ずかしいから、嫌だ!!」


ベッドの上、布団を被り諷汰に背を向けた。


「ひゃんっ」


いきなり尻尾を掴まれ、変な声を出してしまった。

顔を真っ赤にし、諷汰を睨む。

嬉しそうにニヤッと不敵な笑い。


「感じるんだ・・」と、また尻尾に触れようとする。


慌てて、尻尾を隠す。寄ってくる諷汰が怖い。


「やべ、萌える。・・悪いことしてるみたいだ。」と、息が荒い。


男の人って、欲情すると・・こういう顔・・するんだ。

なんて、のんきなことを考えている場合ではない!!


「諷汰・・サン?

そういえば、話・・するって・・言ってたよ?ねぇ?」と、ベッドのギリギリまで後ずさる。


「話?ふふっ。忘れてた・・」


諷汰の笑顔に、ホッとして警戒を解いた。


【グイッ】


腕を引っ張られ、ベッドの中央に押し倒される。


「忘れてたよ。そうそう、話が・・ね。

覚悟して?俺、怒ってるんだ。記憶が無いからって、またあいつの匂いをつけて。

許さないよ?・・どうしようか、俺のだって自覚してもらう?

印でも・・」と、胸元に唇を当てて吸った。


「・・っ」


吸われたところが、熱を帯びる。


「へへっ」


印に満足した顔。

諷汰の匂いが、漂い始める。


「・・はぁ・・。」


息が切れ始め、思考が混濁する。


「円華・・?」


短時間に、頭痛・・意識が遠退き・・

新月の影響なのか?記憶が・・戻る・・?


いつの・・記憶・・?


「千・・弐・・?」


【キィーン・・】


耳鳴りが響く。


「円華、ごめん・・調子に乗りすぎた?」


心配そうに覗き込む諷汰は、幼い子供のように感じる。

本当に・・




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