将来設計
美彩side
「美彩、これ書いて。」
私は、白い紙を受け取った。
「・・・・。」
確か、ドラマでよく見る・・
「遠矢・・?これ、何??」
紙には「婚姻届」と、遠矢が言う通りに書いてある。
「あ、俺が18になったら出すから日付は空けといてね?」
目が、点・・
「どうして、書くの?」
「結婚するには、いるだろ?」
確かに・・
いやいやいや、待って・・落ち着こう。
「夢・・??」
「ふふっ・・可愛いなぁ。」
【チュ・・】
呆然とする私にキスをする。
「いや、待って・・何かが・・
ずれてる!!」
甘えてくる遠矢の顔を押し退け、紙を机にのせる。
「遠矢、ここは・・学校。で、お昼休み・・。よね??」
「うん。
で、俺がお弁当を作って・・美彩が食べ終わったところ。」
「うん・・おいしかった!!で、デザートは?」
「うん、プリンだよ。」
「わぁ~~い。・・じゃ、ない!!」
完全に、餌付けされてる!!
口に、プリンを運びながら・・
「つ、付き合ってないもん・・」
「みんなの公認で、彼氏彼女なのに?」
ぐっ・・
「違うもん・・うまうま・・おかわり・・」
「明日は、クルミのタルトにしようかな~」
胡桃のタルト・・?
ジュル・・よだれが・・
「ね、美彩・・俺のこと好き?」
「うん!!」
あっ・・
ニッコリ笑う。
「大丈夫、お母さんの許可はもらってるよ?
ほらね・・」と、紙には母のサイン。
「げっ・・」
お母さん?!
「でもでも・・お父さんが・・」
「美彩、就職先は・・俺ね?」
「意味が、分からない!!」
「大学は行かないでね。俺、嫉妬で狂うよ?」
【ゾッ】
寒気が走る。
顔は笑ってるが、冷たい空気が身を包む。
「遠矢、あの・・」
逃げられない・・??
「美彩、俺ね~人の目って、気にしないんだ。」と、口元だけの笑み。
「・・知ってる。」
怖いほど・・
「ね、ここで・・俺、何するか・・判らないよ?」
【ゾクゥ~~】
「あの、遠矢・・父さんが・・ね?」
怖いのよ!
「今日、挨拶に行くよ?」と、笑顔。
どうして、そんなに・・余裕なの??
お父さん、頼んだわよ・・。簡単には、OK・・出さないでね??
「許さん!!お前、まだ学生だろ!」
そうよ、言ってやって!!
本当に、その日・・父に挨拶に来た。
しかも、制服のまま。どうしてなの??
手土産は、いい匂いがした・・。嫌な予感がする。
「まぁまぁ、お父さん。
少し、甘いものでも・・ね?」と、お母さんがタルトをお父さんの前に出す。
まさか・・
【ゴクッ・・】
ヨダレの出そうなお父さん・・
まさか!!
「そうだな、まずは・・腹に何か入れないと・・」と、手を出し・・
私が止める間もなく、口に入れた。
「「うまい!!」」
そう、私の口にも入って・・止められなかった。
罠だ!!
私は見た!!ニヤリ・・と、遠矢が笑った。
「・・うまい・・うまい・・」
「ね、お父さん・・付き合うぐらい・・ね?」
「・・うん。」
「いい人よ。結婚ぐらい・・」
「・・あぁ・・」
「録音、OK・・っと。くすくす・・」
「な、今のは・・待て!!」
「お父さん、娘さんと結婚したら・・これらのデザートは・・毎日・・」
「・・毎日・・?」
「はい。」
「・・毎日・・
いや、待て!学生だろ!!
仕事をして、きちんと養えるようになったら許してやる!」
・・ホッとした・・のも、つかの間。
「男に、二言はないですね?」
「あぁ、誓ってやる!!」
さっと、通帳や難しそうな書類を父の前に出した。
「あ、俺・・会社持ってます。下着のブランドなんですけど・・
あれ?美彩、知らなかった?」
・・・・。
初耳ですが!!
「そうよ!有名なブランドよぅ~~。
お金持ちの人よ!!美彩、よくやったわ。玉の輿よ!!」と、はしゃいでいたのは・・
母だけだった。
「男に、二言は?」
「・・ない・・はず・・」
遠矢side
美彩父に、甘いものを手土産で挨拶をする。
夕食が終わった時間に、晩酌を楽しんでいた美彩父・・
「遅い!!
・・何をしていたのか、訊かないが・・
畜生!!首を絞めてやりたい・・」
「あはは!大丈夫ですよ、まだ。」
「・・まだ?」
「孫が見えるのは、二年後ですね!」
俺のセリフに、美彩父が固まる。
「・・あ、そうそう・・まだ、将来の話をしていませんでしたよね?
俺が18で、結婚する時期に生まれるように計算をして・・
17の誕生日から3か月までは我慢・・」
「何の話だ!?」
「え?だって、子供が生まれるまでは十ヶ月ちょいかかるんですよね。
ま、それまではイチャイチャ・・くふふ。」
「・・・・。」
「子供は、産めるだけ産んでほしい♪」
「・・・・」
「ね、お義父さん!
早く産めば、ひ孫も見えるよ♪」
「うがぁ~~~~!!!!」
「何??何で・・あぁ、大丈夫!
子供部屋は5つ作るから。増えれば、増えた時に増築すれば良いだけだし!!」
「美彩は、貴様にはやらん!!
婚姻届を渡せ!破り捨ててやる!!!!」
「あはは♪」
さすが、美彩父・・美彩に似てる♪