表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
⑫-B 【 大上家シリーズ】おおかみはかぐや姫を食べた  作者: 邑 紫貴
【大上家シリーズ1】おおかみはかぐや姫を食べた

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/77

第一幕

ここからは【大上家シリーズ1】遠矢と美彩の子供、保志の恋物語がスタートします。


『かぐや姫』・・

おじいさんが、竹やぶの中から子供を見つけ育てる。

きれいに成長した姫は、5人の貴公子の求婚。時の帝の召しにも応ぜず・・月に帰った。



「歌毬夜、知ってるか?

本当は、かぐや姫は・・おおかみに食べられたんだ。」と、オオカミは言う。


「食べたのは、赤頭巾ちゃんだろ。

さ、行って・・。フェロモンで、お前を誘ってる。猟師も一緒だ。」



 築嶋つきしま 歌毬夜かぐや。私立 希東けひがし高等学校1年。

婚約者がいる。大路おおじ 誠志まさし


本当は知っている・・婚約者のあなたが、本当に好きな人。

優しすぎるあなたに、いつまで依存するのか。

答えを求めるあいつは・・オオカミ。


かぐや姫は、月に帰ったのではなく・・おおかみに食べられた。

築嶋家の伝承もそうだ・・。



「オオカミ・・。私に近づくな。」


・・ふっ、と奴は笑う。


「歌毬夜・・。俺、大上おおがみだよ?」


・・!?!!


「顔、真っ赤・・。可愛いね~。ホント・・」


さっきまで笑っていたのに、獲物を見る目に変わる。


「・・食べたい。」


ゾワッ・・

寒気がする。


「お前なんて、獣で十分だ。

・・みんな、オオカミ様なんて呼んでるじゃないか!」


近い手を、払いのける。


「冷たい・・

ね。婚約者にも、はっきり言ってやれば・・?」


・・いつ知られた?私の弱み・・。

いや、本能で知っているのか?心を揺らす。


「黙れ!・・お前には、関係ない!」


するりと、体を寄せ・・耳元に囁く。


「・・誰を見てる?」


!!

知っている。彼が、私の友達を見ていること。

そして、私は・・見ていない。そんな・・彼を。

今はまだ、逃げている。


「オオカミ様ぁ~~」


助かった!

甘い声に、「ちっ」と、舌打ちしたオオカミは私から離れる。


「歌毬夜、俺から逃げられると・・思うなよ?」と、走り去る。


「ちょっと~?築嶋さぁん?」


赤月あかづき あん


「何?」

前にも言ったけど、彼は・・私の獲物なんだからぁ。」と、唇を色っぽく舐める。


女の私でも、ドキッとする。


「・・逃げたわよ?」


「ふふ・・。燃えるわぁ。」と、大きい胸を揺らし・・後を追う。


そして、「杏、ダメだよ!危ないから~」と、べた惚れの稜氏りょうし しげる


「・・・・。」


彼らも、一応親の決めた許婚だと聞いた。


「おはよう。歌毬夜・・?どうしたの?」


そして、私の友達・・林五りんご 白雪しらゆき

彼の視線の先にいる・・人。・・気付かないふり。



入学して数日しか経っていない。・・いつ、オオカミに目をつけられた?

誠志は、一学年上。まだ、学校で・・私も会っていない。


・・伝承は、奴の家にもあるのか?

かぐや姫は、月に帰ったのではなく・・おおかみに食べられた。


・・まさか、本当に・・食ったのか?

伝承は、口伝え・・伝言ゲームと同じ。信用度は、少ない・・。


「さっき、誠志さんと会ったよ。」


「そう・・。私は、まだ・・学校で会ってないな。」と、作り笑い。


「ん。誠志さんも、そう言ってたよ?

高校生活は、大丈夫だろうかって・・心配してた。」


にっこり笑う・・白雪。白い肌に、赤い唇・・。

純粋な彼女は、男性が優しくしたいと思うだろう。・・そして、王子様も。


「歌毬夜。きれいな、真っ直ぐの髪・・羨ましい。」と、白雪は優しく触る。


【グイッ】


・・?引っ張られ、バランスを失う。


「え?」


「本当だ。・・ね、白雪。」と。


!!?!


「オオカミ?!」


杏に追いかけられ、いなくなったのは・・ついさっき。


「いい匂い。」と、髪を口に入れた。


「ぎゃ~~!汚い!!」


オオカミの手から、髪の毛を奪い取り・・ハンカチで押さえる。

【ドンッ】と、突き飛ばして・・水道の蛇口に走った。


汚い、汚い~~!!信じられない!

石鹸で洗う。


「歌毬夜・・。必死だね~。」と、オオカミはクスクス笑っている。


お前がしたくせに~~。


「・・?白雪は・・?」


さっきまでいたのに・・?


「あぁ。あの子、天然だね~。

俺が見てるから、教室に入れって・・ぷぷ。あははは・・」


あぁ・・想像がつく。


「男は、ああいうのが可愛いんだろ?」


「・・妬いてるの?」


「・・・・。」


オオカミの手は、また髪に触れる。


「!!」


慌てて、取り上げようとした私の手をつかむ。


「・・放せ。噛みつくぞ?」


ニヤリ・・と、オオカミ。


「いいよ。噛んで・・。」


・・エロい。

何で、同じ言葉が・・いやらしく聞こえるのか。


「はぁ。・・何が目的だ?」


私は、伝承を・・思い出す。


『決して、目を見てはいけない。

耳を傾けるな。決して・・』


オオカミの目の色が、緑色。


「歌毬夜・・。俺の目を見て?聞いて、俺の声を・・」


【ドキンッ・・】


「ぃ・・嫌だ!」


目を背け、オオカミを見ずに・・その場を離れた。

何だ?・・何が、どうなって・・?

心がざわつく。奴の声が・・今も耳に残っている。

何だ、これは・・。


「歌毬夜?・・どうして、ここに?」


誠志・・!


「助けて・・。」


必死だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ