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グリコ・チョコ・パイン

作者: ぼっち球

 学校帰り、俺は幼馴染と神社で『グリコ』をしていた。境内まで数十段の階段があるので、グリコをするには最適な場所なのだ。

 しかし、愚か者だ。小学生時代、ケンちゃんやジャコビ、ハットリと共に『グリコ四天王』として名を馳せた俺に勝負を挑むとは。


 今回は2人ということで、パイナップルの「ナッ」で一文字扱いするローカルルールに加え、ピッタリの歩数でないとゴールできない折り返しルールを付けた。

 現在の戦況はというと、俺は残り14段。対する彼女は9段だ。普通に考えれば俺が押されている。

だが、折り返しルールにより、まだ勝算はある。何故なら彼女が“残り9段”だからだ。この状況下では2種類の人間がいる。『グリコのおまけつき』で一気に勝ちを狙う急戦タイプと、≪グー≫に対する≪パー≫を警戒して敢えて『チョコレート』を出し、深い心理戦に誘うタイプだ。

 彼女が前者の急戦タイプであることは把握している。つまり、彼女が次に出すのは≪グー≫だ。俺が≪パー≫を出して5段進めば、彼女に並ぶ。そこから俺の土俵である心理戦に持ち込めば、ほぼ勝ったも同然である。

 次のジャンケン、俺が≪パー≫を出す限り、どの手を出そうが心理戦になる。要するに彼女は詰みかけているのだ。

 改めて言おう。こいつは愚か者だ。わざわざ『勝った者は負けた者に1つ、命令できる』なんて約束をしたばかりに、勝者である俺にマフラーを取られ、その可愛い顔を寒さで真っ赤にしながら家路を歩くことになるのだからな!ふはははは!


「じゃーん、けーん、ぽん!」

 掛け声に合わせて出された手は、俺が≪パー≫に対して、予想に反する≪チョキ≫だった。ふん、それで裏を読んだつもりか。

『チ・ヨ・コ・レ……』と声に出しながら階段を上っていく彼女の後ろ姿を見ながら考え――って、え!?

 彼女が3文字付け足して、境内にゴールしたのだ。

『チ・ヨ・コ・レ・エ・ト・あ・げ・る』


「チョコレートあげる!私の勝ち!」

 そう告げると、彼女はカバンからキレイにラッピングされた箱を、突き出すように取り出した。

「好き……です!付き合ってください!」


『ありがとう、こちらこそよろしく』

 境内でチョコレートを受け取ると、彼女は緊張した顔を崩して、ホッとした顔で微笑み、勝者の命令をした。

「寒いので、手をつないで帰りましょう!」



グリコについて

ジャンケンをします。

勝った人が、歩を進めます。進める歩数は以下の通りです。

グーで勝ったなら『グリコのおまけつき』9字なので、9歩

チョキで勝ったなら『チョコレート』6字なので、6歩

パーで勝ったなら『パイナップル』6字ですが、ローカルルールで今作では5歩


折り返しルールが無いときはゴールについた時点で残り文字数関係なしに勝ちます。


ローカルルールが雑多にありますので、「俺のやっていたのと違うぞゴラァ!」と思わないでください。

いえ、思ってもいいのですが、心に留めてください。

私のガラスのハートが砕け散ります。


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